品質管理に妥協なし!高品質・耐久性コンクリート構造物へ
今、従来の方法から脱却し、高品質で耐久性のあるコンクリート構造物を造る動きが加速している。
この動きは、山口県を筆頭に、国土交通省東北地方整備局、群馬県、熊本県、新潟県と全国に広がりをみせており、これまでの「ものづくり」の概念を覆しそうだ。
品質管理に真正面から向き合いながら妥協を許さず、美しい構造物に魅せられた技術者たちの拘り。そこには「良いもの残したい」という技術者たちのプライドが見え隠れする。
全国各地に広まっている高品質で耐久性のあるコンクリート構造物を造る取り組みについて、連載形式で紹介していく。
コンクリート構造物のひび割れ問題
高品質で耐久性のあるコンクリート構造物を造る取り組みは、山口県から始まったといっても過言ではない。
その陣頭指揮を執ったのが、山口県庁を退職後、西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社の山口支店長を務める二宮純だ。

西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社 山口支店 二宮純支店長
山口県では、コンクリート構造物の施工初期段階にひび割れが多数発生していた。
ひび割れが発生した場合、その調査や補修に掛かる工程や経費、事務量等の負担増加につながる。ひび割れの責任の所在や調査・補修・検査等については、受発注者間の対立が深刻化していた。
しかし、ひび割れに関する知見が発注者・施工者ともに不足しており、対策は閉塞状況にあった。
こうした状況下で、県職員時代に抱いた「どうしたらコンクリート構造物のひび割れが回避できるのだろう」との想いが二宮を奮い立たせた。
コンクリート施工記録データベースと山口システム
山口県は産官学による協働で、2005年に山口宇部線をフィールドとして実構造物(橋台7基、橋脚9基、ボックスカルバート31ブロック)による試験施工を開始。
翌2006年にはその調査結果を踏まえ、さらに対策工を絞り、試行施工を実施した。