現場の中を覗ける仮囲いには「けんせつ小町を探してみよう!」の文字。異常だと思わないのだろうか?

【衝撃】女性を”見世物”にする現場が出現!「けんせつ小町」のゴリ押しに吐き気…

建設業界で飛び交う「けんせつ小町」という言葉

私は新卒でゼネコンに入社し、施工管理として働き始めてまだ2年目の新人技術者です。しかし、早くも建設業界に対して違和感を感じています。

なぜなら、「けんせつ小町」なる言葉までつくって、必死に女性の技術者・職人を欲しがっているからです。

建設業界紙をめくれば「けんせつ小町」のインタビュー記事。建設現場のそばを通れば「けんせつ小町」のピンク色の垂れ幕。どこもかしこも「けんせつ小町」。

果たして、これらは正しい取り組みなのでしょうか?


「けんせつ小町を探してみよう」に鳥肌

とある地方都市の繁華街の一角で、大規模ビルの建設が進んでいます。

大通りに面していて、人通りも多いその現場は、「けんせつ小町」を喧伝するには恰好の立地だったのでしょう。ピンク色の看板をこれみよがしに掲げ、「けんせつ小町」をアピールしていました。

私はそこで異様な光景を目の当たりにしました。その現場では「けんせつ小町を探してみよう!」という言葉とともに、なんと仮囲いの一部を透明化し、囲いの中を覗けるようにしていたのです!

透明になっている仮囲いには「けんせつ小町を探してみよう!」の文字が。覗く物好きはいるのか・・・?

実際に女性が働いているところを見せることで、「建設業界はもう女性も働ける環境です!」「女性も活躍できる仕事です!」・・・そんなメッセージを伝えたいというのが、設置者の意図なんでしょう。

「けんせつ小町」は珍しい生き物

わざわざ「建設現場をのぞいてみよう!」なんて物好きがどこにいるのかはさておき、冷静に考えてみてください。繁華街のど真ん中で見世物のように大勢の人に晒されて、「建設業界で働いてみよう!」と思う女性がどこにいるんですか?

私は「けんせつ小町を探してみよう!」というキャッチフレーズを見た瞬間、気持ち悪くなり、鳥肌が立ちました。こんな取り組みに、なぜ誰も疑問を抱かなかったのか、不思議で仕方ありません。

女性がより活躍できる業界となるために、新聞・雑誌のインタビューを受けたり、現場見学会で主役を務めてもらうなど、女性自身に前面に出てもらって活動することは必要不可欠だと思います。建設業界が身近なものだと感じてもらうには、同じ女性の言葉が一番だからです。

しかし、自ら出てもらうことと、晒すことは違います。たとえ、その現場で働いている女性が容認していたとしても、外から見て異常だと思わないのでしょうか。

建設業界は、女性がいるべき場所ではないという考え方が長らく蔓延してきました。建設現場では「女性=珍しい生き物」だと。

こうした考え方が表に出てきてしまったものが「けんせつ小町を探してみよう」などというおかしな取り組みなのではないでしょうか。


「けんせつ小町」なんて一般人は誰も知らない?

建設業界で働いていると、「けんせつ小町」という言葉をよく見掛けますが、建設業界以外の人には全く浸透していません。20代の女性の友人に聞いても、知っている人は一人もいませんでした。

「けんせつ小町」と銘打った周知・啓発活動は、まずは業界内の意識を変えるために始めた取り組みであることは理解できます。しかし、これだけではこれまで「女性だから」という理由で不採用になっていた人材を各社で採用するようになっただけです。

毎日毎日、いたるところで「けんせつ小町」が取り上げられるので、多くなったように錯覚してしまいそうですが、「けんせつ小町になりたい」と考える女性が増えたわけではありません。まだ、マイナスからゼロになっただけです。

「けんせつ小町」はブームで終わる?

安易なイメージ戦略で、女性と建設現場を結びつけ、労働力として獲得しようと奔走するのはいかがなものでしょうか。そもそも、男性にとっても建設業界の労働環境は良くありません。やっと改善されてきた程度です。策を弄するのではなく、もっと長い目で、女性が当たり前に活躍できる産業を形成するべきではないでしょうか。

まずは、いま建設業界で働いている女性たちがこれからも辞めることなく働ける環境を作る。彼女たちが自ら率先して女性を誘える業界にする。それが正しい順序ではないですか?

国や業界団体は、あまりに改革を急ぎすぎてはいないでしょうか。このままでは、「けんせつ小町」が一過性のブームで終わってしまうのではないかと、不安に思っています。

「けんせつ小町」のみなさん、どう思いますか?

ピックアップコメント

女の子は、職場の花。男は敵いません。

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