写真はイメージです。

トイレを無断使用したら、新品交換を要求してきたオバハン

リフォーム現場でクレーム

どの業界でも悪質な客はいるものです。

明らかな言いがかりや、理不尽な客が相手なら、毅然とした態度を示せば良いので簡単です。

しかし実際の現場では、白と黒の間の灰色のクレームが多く、落とし所を探さなければならないのが難しいところです。

今回はそんな、ちょっと黒に近い灰色のクレームを紹介しようと思います。

少し潔癖症のオバさんからのクレームです。

このオバさんは、潔癖症だからなのか、おっさんもお嫌いとのこと。

しかし、そんな態度は微塵も感じさせない態度をとります。育ちが良いのか悪いのかよくわからないオバさんです。

前置きはこのぐらいにして、クレーム対応の教材としてご活用いいただければ幸いです。

トイレ使用不可の工事依頼

事件の経緯はこうです。

オバさんからユニットバスの交換を依頼されたリフォーム会社の営業マンが、ユニットバス屋に施工を依頼しました。

営業マンは、ユニットバス屋の親方に対して、壁や床の養生を徹底すること、トイレを使用しないことを指示しました。

オバさんから使わないでほしいと言われたようです。

工事当日、撤去と組み立てを1日でするため、3人体制で施工に臨みました。

親方は普段通り養生を徹底してから仕事を始めましたが、トイレの使用禁止を部下に指示していなかったようです。

養生をびっちりしているため、家の奥にいるオバさんにトイレの使用許可を取るのも面倒だし、ユニットバスの近くにトイレや洗面所はあるものです。

部下はトイレを使ってしまいました。


トイレを使用した代償

工事は無事終わりましたが、潔癖なオバさんの目にかかればトイレを使用したことは一目瞭然です。

すぐにオバさんは営業にクレームを入れました。

「もうあのトイレは使いたくない。新品に交換して欲しい!」

営業マンはユニットバス屋にトイレを使用したのかを確認した後、謝罪し交換を約束しました。

もちろんユニットバス屋にトイレの交換費用を請求します。

新品交換は必要か?

さて、常識的にトイレの交換は受け入れなければならないでしょうか?

仮にこれを飲食店で例えたら、店員さんが客のお気に入りの服にビールをかけてしまい、怒った客が服の弁償を求め、店側は店員さんに服代を支払わせた、という感じでしょうか。

飲食代を割引くか、クリーニング代を店員でなく店側が支払うぐらいなら理解できますが、服代全額を店員が支払うなど、いくら非があるからといっても常識の範囲外と思います。

確かにトイレはデリケートな場所ですし、使用しないように指示されたのに勝手に使った非はあります。

しかし、それを考慮したとしても何年も使い込んだトイレを新品に交換しなければならない責任まではないでしょう。

謝罪して清掃する程度でいいはずです。


事の本質と満足気なオバハン

では、なぜユニットバス屋は弁済させられるのか?

職人の立場が弱いから、と言ってしまえばそれまでですが、営業や現場監督の力量不足も否めないでしょう。

客や上司の言いなり、事なかれ主義、保守的姿勢、などの言葉がぴったりで、正しい判断より簡単な判断をする人が多すぎます

職人は自分の身は自分で守るべく、細かい気遣いとしたたかさを合わせ持たなければならないようです。

ちなみにそのトイレ交換は、私が施工しました。

新品の養生を使い、営業とオバさんに生温かく見守られながらトイレを入れ替えました。

新しくなるだけでなく、ちょっとグレードアップしたトイレに交換されてオバさん、いや、オバハンは満足気でした。

ピックアップコメント

なんか、筆者が叩かれてますが、それ程までに人格否定されるようなことなのか?と思ってしまいました。トイレを無断で使ったのは確かに悪いです。悪いけど、それだけのことで新品交換は行き過ぎだと思いませんか?少なくとも、私はそう思います。潔癖症を分かってない、との意見もあますが、全ての事件で潔癖症の人基準で対応しなければならないのでしょうか?勿論、賠償はすべきですが、一般常識の範囲内において賠償すれば足りると思うのです。この場合なら、例えば、プロのクリーニング業社でクリーニングなり消毒なりするとか。それでも結果として、新品に交換したんですから、十分過ぎるぐらいに対応していますよね?むしろ事後対応としては完璧では?本当のダメ業社っていうのは、しらばっくれて逃げるような業社のことだと思うのです・・・

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町の小さな工務店をしてます。ほとんど設備屋の職人です。大きな現場から小さな現場まで経験。現場監督と職人、両方の視点から現場で起こるトラブルや面白いエピソードを紹介していきたいと思います。
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