株式会社フォトラクション カスタマーサクセス リーダー 野崎華弥さん

「建設業が大好き!だから現場監督をやめた!」建設×ITの情熱を持った女性

土木系建築会社の内定を断ったのは、建設業が好きだから

野崎華弥さんは大学を卒業後、ハウスメーカーで設計・営業を担当し、ゼネコンでは現場監督としてビルの新築工事や改修工事に携わってきたバリバリの建築技術者だ。

建築畑を歩んできた彼女は、次のキャリアとして土木の領域も学びたいと転職活動を始め、すぐに土木系建築会社から内定をもらった。「勤務先は海外の現場で、1年も行けば日本の5年間に匹敵するほど経験を積めるのではないか、国づくりに携われるのではないかと期待に胸がふくらんだ」。

しかし、そこで思いがけない事件が起きた。

土木系建築会社の内定が出た頃、ある企業の社長から「ITで建設の世界を限りなくスマートにしたい」という一通のスカウトメールが転職サイトを通じて届いた。その文面をみた野崎さんは「雷に打たれた」。現場経験があったからこそ、心に響く言葉だったという。

スカウトメールの送り主は、株式会社フォトラクションの中島貴春CEO。野崎さんは「何か使命感のようなもの」に背中を押され、内定を蹴ってフォトラクションに入社した。

内定辞退は、土木や海外赴任の道を断つだけでなく、現場監督としてのキャリアも捨てることを意味していた。彼女に未練はないのか、なぜ建設現場を限りなくスマートにしたいという使命感に燃えているのか聞いてきた。


唯一の不満は「技術者が本来の仕事に集中できない」こと

野崎さんは、根っからの「建設好き」だ。

「日々の生活の中にある家とかオフィス、橋や道路など、身の回り全てのものが建築物で、それら全て人の手でつくられてるってスゴいですよね!」

「完成されたものよりも、建築物を作るプロセスに惹かれています!」

野崎さんは建設業の魅力をキラキラした表情で語る。

可愛らしい笑顔で目を輝かせながら建設業について語る姿からは、真摯で熱い想いが伝わってくる。

しかし、そんな彼女にも、業界に対して不満に思うことが、一つだけあった。

それは、雑務に追われることによって、技術者が本来あるべき仕事に集中できないことだった。

現場監督時代、写真整理や日報日誌、書類整理やファイリング業務など技術者らしくない仕事が山のようにあった。特に図面などの紙モノは、一つの現場でも辞書のような厚みになるほど。こうした紙モノの書類たちは捨てることが出来ないため保管専用の倉庫もあったりする。

雑務は技術者の本来あるべき仕事ではないはずなのに「建設業界の当たり前になってしまっている」状況に野崎さんは疑問を持っていた。

その疑問を解決するために、技術者として海外で活躍できるチャンスを断ってでも、株式会社フォトラクションというIT企業への転職を決めた。周囲は驚いた。


技術者として成長でき、技術者の可能性を引き出すために

野崎さんが転職したフォトラクションは、建設業の生産性を向上させるクラウドサービス「フォトラクション」を提供している。

例えば、現場で撮った写真をリアルタイムでクラウド上で共有し、そのまま台帳などの書類を作成することや、クラウド上で図面を確認し注釈を入れることが出来る。

技術者にとっては痒いところに手が届くオールインワン型のクラウドサービスとして、大手ゼネコンをはじめ約25,000現場で導入が拡大している。

フォトラクションのサービス概要

野崎さんの担当業務は「カスタマーサクセス」。直訳すると「顧客の成功」だ。

要するに「フォトラクション」を導入したゼネコンの現場監督が、フォトラクションのサービス機能を最大限活用できるようにフォローし、現場の生産性向上に貢献する役割だ。

「サポートのお仕事とよく間違われるのですが、サポートはお客様からの問合せやクレームなどが発生したタイミングで動き始め、解決に導く仕事です。一方、私が担当しているカスタマーサクセスという仕事は、お客様のことを常に見守り、こちらから能動的にフォローしていきます」。

「すべての建設会社に同じフォローをしても意味がありません。会社の状況や課題に合わせた完全オリジナルの攻略法を提案する事により、サービスをスムーズに活用できる状態を提供しています」。

まさに野崎さんが現場監督時代に悩んでいた雑務の部分を解決するサービスと言える。

自分自身も現場監督の経験があるからこそ、「売ったら終わりのサービス」とは一線を画す。

野崎さんは多くの現場、多くの技術者と伴走しながら、無駄な業務を削減し、技術者一人ひとりの成長と成功をサポートしている。


建設業界全体をスマートな世界へ変えるフォトラクション

フォトラクションがあれば技術者の可能性をもっと引き出せると熱く語る野崎さん。

しかし、野崎さんはフォトラクションに転職したことについて「後悔したこともある」と正直だ。

「今でも、現場に戻ってモノづくりをしたいと思っています。建設業が大好きですから!」

「でも今は、自分の技術力を高めるより、日本中の技術者が本来あるべき技術者らしい仕事に全うできる方向へ導くことで、もっと多くの人たちに建設に携わってもらいたい。

そして、それが結果的に建設業界全体がスマートな世界へと変わると本気で思っているので、今はそこに向かって突き進むのみです」。

さらに野崎さんは「フォトラクションがあれば技術者として成長でき、技術者の可能性を引き出すことができる」「フォトラクションを広げていくことで、アナログでクローズドな日本の建設業界全体を活気に満ちたスマートな世界にできる」と熱く語る。

現場監督時代に感じていた「技術者らしい仕事」に専念できる環境を増やすべく、野崎さんは今、「現場の外」から、建設業界をよりスマートな世界に変えようとしている。

野崎さんと共に「スマートな建設業界を目指す」技術者が増えることを祈るばかりだ。

ピックアップコメント

大手のヤツが考えそうな事やな

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