指名停止措置の文書が死亡災害発生後に書き換えられた
ある県(甲県)発注の建設現場で、死亡災害が発生した。死亡したのは、元請けA社の下請けとして仕事の一部を請負ったB社の作業員。
一般論として、当該死亡災害の発生がB社の法令違反によるものであれば、A社はB社の法令違反を見逃したとして労働基準監督署から是正勧告を受ける。当然、発注者から指名停止処分をくらう。通常の場合、B社に法令違反がなければ、A社におとがめはない。
ところが、B社に法令違反がないにもかかわらず、法令違反のないA社が指名停止になるという異例の事案が発生した。
今回の事案で最も不可解なのは、甲県の指名停止措置の文書が、死亡災害発生後に書き換えられたことだ。書き換えにより、指名停止の理由に、監督署による法違反の無い事例に対する「指導票」が唐突に追加された。
「これじゃ、A社の指名停止は狙いうちじゃないか」。同業他社など関係者の間には憤りの声が上がる。同時に「法違反ではない指導票を理由に、指名停止にされては商売できない」という悲鳴も聞こえてくる。
今回のA社に対する指名停止措置がいかに下されたのか。そこにどのような問題があるのか。今後に影響はあるのか取材してみた。
なお、県や会社などが特定される可能性があるので、事実関係に関する詳細な記述は避けている。