「1C」の「C」のポーズを決めるデミマツと大分高専都市・環境工学科1年生の学生ら

デミマツから土木技術者の卵に送る特別授業。「当たり前のように使っている構造物をつくる仕事が土木だ」

デミーとマツが高専生に特別授業

噂の土木応援チーム・デミーとマツ」(以下、デミマツ)が7月某日、大分工業高等専門学校(以下、大分高専)都市・環境工学科の1年生(1C)41名を相手に特活とALHの時間を使って特別授業を行った。

デミーこと出水享さん(長崎大学職員)、マツこと松永昭吾さん(株式会社共同技術コンサルタント)がそれぞれ教壇に立ち、自身の土木経験を振り返りつつ、土木の魅力などについて語りかけた。

学生はどう受け止めたのか。講座後のデミマツと学生の対話とともに、レポートする。

デミこと出水亨さん(左)、マツこと松永昭吾さん(右)と、担任の名木野晴暢・大分高専都市・環境工学科准教授(中央)

デミ「当たり前のように使っている構造物をつくる仕事が土木だ」

デミマツはどんな話をしたか。それぞれの講座内容(抄録)を掲載する。まずはデミさんから。

デミ 私は福岡県出身だが大分県の高校に通っていた。その後、長崎大学に進学し土木を学んだ。その後、建設コンサルタント会社に就職して、橋梁の維持管理の仕事を行った。長崎大学に戻り、博士号をとり、土木構造物に関する研究、教育、社会貢献を行っている。今から研究について話をします。研究に少しでも関心が持てたら、将来、研究者としての道があることを頭にいれてほしい。

世の中のインフラは、建設から50年以上経過して、老朽化した構造物が増加している。構造物のメンテナンスにはお金が必要だが、人手も不足している。私がやっている研究は、いかに効率良く、効果的な点検をするかを目的としている。その中で、ドローンを使った橋梁検査の開発を行っている。高さのある橋梁は、足場を作る必要があるため、点検が難しいが、ドローンを使えば、写真を撮って、それを3次元(3D)データ化できる。そのデータを使えばコンクリートのひび割れや鉄筋の露出の検出も容易だ。

この技術を使ったのが、軍艦島の3Dデータアーカイブ化だ。軍艦島は4年前に世界文化遺産に登録された島だ。見た目が軍艦に似ていることから、軍艦島と呼ばれるようになった。石炭を掘るための島で、多くの人が生活していたが、石炭が不要になり、今は無人島になっている。島内には、鉄筋がむき出しになって、ボロボロになった構造物が残っているが、日々壊れていっている。この軍艦島をそのままの状態で記録しようというのが、3Dデータアーカイブ化だ。ドローンで2万枚ほど写真を撮り、約2千枚を使って3D化した。

3Dデータ化によって、軍艦島の状態をそのまま保存できる。データ保存は定期的に実施している。過去のデータと照らし合わせることで、その間の損傷変化も把握できる。3Dプリンタで模型も作れる。軍艦島3Dプロジェクトはグッドデザイン賞を受賞した。別の研究では国土個通大臣表彰をもらった。

登壇するデミーとマツ

長崎大学では海外の土木技術者にメンテナンス技術を伝授する活動も行っている。みなさんには、日本のインフラメンテナンス技術は、世界的に見ても高いということを知っておいて欲しい。構造物はつくるだけでなく、その後のお守りもしなければならない。構造物を見守る技術は非常に大切だ。

土木とはなんだろうか。例えば道路や橋、みなさんが当たり前のように使っている構造物をつくる仕事が土木だ。長崎県には多くの島があり、多くの橋が架かっているが、橋によって、県民は便利で豊かな生活を営むことができる。

土木構造物を守るのも土木の仕事だ。土木構造物は、人間のように痛いと言わない。傷んでいないか調べるには、人間が歩み寄って、土木構造物の心の声を聞いてやらなければならない。多くの技術者が五感を使って構造物の点検、メンテナンスを日々行っているので、みなさんの便利な生活が守られている。

水道、下水道も土木の仕事だ。道路の下には水道管、下水道管、ガス管、電気などのライフラインが埋まっているが、やはり土木の仕事になる。地下インフラをメンテナンスするための出入り口がマンホール蓋。マンホール蓋は、地域毎にデザインの違いがある。最近はカワイイものも増えているので、機会があればじっくり見て欲しい。そして、マンホール蓋にある地下インフラのことを少しでも関心をもってほしい。

災害はどうだろうか。災害が起きると、まず土木の人たちが道路を作る。道を作らないと、自衛隊も現場に入れない。東日本大震災では、自身が被災者だったにもかかわらず、現場に出て、道を作った土木の多くの人たちがいた。災害からの復旧も土木の仕事だ。土木工学は、英語で「civil engineering」。土木は「市民のための工学」だということを覚えていて欲しい。

現在、土木業界は担い手が不足しているし、人気もない。また、誇りをもって働いている人が少ない。このようなことから、土木を応援しよう、PRしようということで、デミマツの活動を始めた。今回のように、全国のいろいろなところに行って、講演を行い、土木のPRを行っている。子どもたちに、土木のお仕事体験イベントも行っている。活動はボランティアで行っている。昨年、活動が評価され、土木学会から土木広報大賞優秀賞を受賞した。

土木の現場では「ご安全に」という言葉を使う。みなさんが土木工事の現場を見かけたら、「ご安全に」と言葉をかけて欲しい。土木の人たちはすごく喜ぶし、自分の仕事に誇りを持ってくれる。みんなで応援しよう!


マツ「土木工学は社会を幸せにし、人を優しく包み込むことができる学問」

マツさんの講座内容は以下の通り。

マツ 私は佐世保市にある「西海橋」に憧れて、橋の技術者を志した。その後、建設コンサルタントに入社し、阪神淡路大震災で倒壊した阪神高速の橋梁復旧のほか、沖縄県初の長大橋となる「ワルミ大橋」の設計を手がけた。東日本大震災後、津波の流れのメカニズムの研究にも携わった。アフリカなど海外プロジェクトとの関わった。生活を便利にしたり、災害時の避難ルートとなる道路をつくるのは、土木という仕事の醍醐味だ。

日本は、明治の近代化以降、欧米のお雇い技師のもと、鉄やコンクリートを使った欧米のルールブックに基づく国づくり、まちづくりを進めてきた。明治維新によって、土木は大転換した。それまでの日本のまちづくりは、例えば、堤防をつくるにしても、人が暮らす側の堤防を高くし、田畑のある側を低くし、水で人が死なないようにしていた。

ところが、近代化の流れの中で、より合理的に土地を活用するようになり、川の両側に工場を設置し、それぞれに人が暮らすようになった。洪水などが起こると、多くの人が死ぬようになった。

昔、東北地方では内陸に人が住んでいた。100年に1回程度津波が発生するからだ。幕府は、臨海部には大都市をつくらせなかった。ところが、明治維新に向けて、釜石に製鉄所ができ、山から海へ人が移住するようになった。鉄道や道路などの様々なインフラも整備された。津波が起き、1万5千人が亡くなった。

その後、また人が住むようになり、再びインフラが整備された。そして東日本大震災が起こり、2万2千人が亡くなったり、行方不明のままになった。欧米型近代化に乗っかった土木が生み出した惨事だ。

「できるだけ人が死なないまちづくり」。あるいは「一人も死なないまちづくり」に向け、土木はこれから大転換していく必要がある。便利さを残しつつ、どうやって人が死なないまちづくりをするか。この大きなグランドデザインに関わること。これが、みなさんをはじめとするこれからの土木技術者の仕事になる。

まちづくりを変えることは、ライフスタイルを変えることを意味する。そのとき必ず土木技術者が必要になる。みなさんには、これからの土木技術者には、責任は重いけれど、やりがいのある仕事を任せられる時代が来るということを知っておいて欲しい。

寺田寅彦の「天災と国防」中の言葉を引きながら、日本語には、雨だけでも、五月雨や長雨など数十種類の言葉がある。日本人はそれだけ自然の変化に敏感だと言える。より自然に近く、より災害に接した者が日本人らしい人間になる。

人間は、堤防をつくり、道路を舗装し、鉄筋コンクリート構造物の中で暮らし始めたら、自然の変化に気づきにくくなる。大雨が降っても避難しなくなる。自然に対して横柄な国民性になると、災害が起きるたびに多くの人が死んでしまうというのではないか、と寺田は考えたのだと思う。

明治から150年を迎えた。日本で一番古い建設会社は金剛組で1500年近い歴史を持つ。今15、16歳のあなたたちが、土木という長い歴史の中で、これから何を残していくのか。それをしっかり考えながら、5年間の高専生活を過ごしていって欲しい。きっと、土木工学が社会を幸せにし、人を優しく包み込むことができる学問であること知ることになるだろう。

公務員志望が9割

講座後、デミマツは、何人かの生徒と対話した。対話には、名木野先生も加わった。その内容も収録したので、掲載する。

学生と対話するデミマツと名木野先生

デミ 今日の特別講演どうだった?

男子学生 面白かった。

デミ 何が?

一同 (笑)。圧迫面接みたい。

男子学生 将来ためになるいろいろな話が聞けたから。

デミ どうして高専に入ったの?

男子学生 寮生活。

デミ 寮生活に憧れたんだね。

マツ 寮生は半分ぐらい?

男子学生 そんなにはいない。

デミ 出身はどこなの?

男子学生 中津です。

デミ 中津東高校(旧中津工業)の土木科があるよね?

男子学生 あ、あります。ぜんぜん違うんで。

デミ いつ高専に行こうと思ったの?

女子学生A 友達のお兄ちゃんが高専に通っていて、機械科だったんですけど。お母さんが小5ぐらいからそれを教えてくれていて。どんな科があるんだろうと、オープンキャンパスとか行って、ココが良いかなって決めました。

デミ 親の勧め、知り合いもいるのか。親は反対しなかったの?

女子学生A 「好きにして良いよ」みたいな。

デミ 寮生活とか不安じゃなかった?

女子学生A 楽しみ。

デミ チャレンジャーだね。高専に入ったきっかけは?

男子学生 きっかけはあんまりない。公務員とか給料の良いところで働きたいなあと。高専から公務員になれると教えてもらって、それで良いかなと。

デミ もともと思いがあって、中学校の先生に相談したら、教えてもらったわけだ。みんなちゃんと考えてんだねえ。将来どうしたいの?

名木野 公務員? みんなも公務員になりたいの?

一同 はい。

女子学生A とりあえず公務員。

名木野 とりあえずみんな公務員か。ここにいる9割は、現状公務員希望ね。公務員希望ではない子はいるかい?

女子学生B 公務員は、地元に縛られる感じがあるじゃないですか。

マツ うん、あるある。

女子学生B 早く大分から出たい。

マツ ステキ。故郷から離れた動機はまったく一緒。え、どこ行きたい? 東京?ヨーロッパ?

女子学生B 東南アジアとか。大雨とか降って、工場(不明)できないかなあって。

マツ できるできる。行こう行こう、一緒に。なんか自衛隊に勧誘しているみたい。

デミ このおじさん、気をつけてよ(笑)。

マツ 危ない?(笑)。インドネシアとかタイは日本人すごい多いからね。良いかも。

デミ 公務員の就職率は?

名木野 公務員の就職率はそんなに高くないです。

マツ 半分ぐらい?

名木野 そんなにいないですよ。公務員試験は、それなりに厳しいです、やっぱり。この子たちの夢を潰しちゃうかもしれないけど、そんな簡単に公務員にはなれません。

女子学生A (笑)。

マツ あなたはいけるから大丈夫。

名木野 公務員になるなら、5年間しっかり勉強すること。加えて、対人能力も高めていかないといけないよ。土木の仕事は、多くの技術者との共同作業なので。

大分県からは、人手が足りなくて困っていると聞いています。

マツ 県はだいたい欠員が多いですよね。

名木野 はい。大分県も欠員が出ている年度もあります。また、倍率(競争率)がやや下がっていると聞いています。数年前、専攻科にて就職担当をしていたとき、”しばらくは退職者が多いために採用予定者数は増える”とも聞いています。ここ何年かで若い職員の比率が高くなり、若手が活躍できる場面も増えると思っています。

年度

試験区分

総合土木

採用予定者数

(a)

申込者数

(b)

受験者数

(c)

最終合格者

(d)

競争率

(c)/(d)

2019

上級試験

(一般)

22 60 37 14 2.6
上級試験

(社会人経験者)

6 28
中級試験 3 11

2018

上級試験

(一般)

15 40 29 15 1.9
上級試験

(社会人経験者)

5 18 11 5 2.2
中級試験 2 5 3 1 3.0
2017 上級試験

(一般)

18 51 36 15 2.4
上級試験

(社会人経験者)

2 25 20 2 10.0
中級試験 2 6 6 2 3.0
2016 上級試験

(一般)

16 35 31 15 2.1
中級試験 1 4 4 1 4.0

出典:大分県webサイト (1) 過去三か年の試験の実施状況(https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2039279.pdf 2019年9月18日参照)、(2) 2019年度の申込み状況(https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2053780.pdf、https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2060774.pdf 2019年9月18日参照)。2016年度と2019年度の一部のデータは大分県に提供していただきました。

デミ 長崎県なんか島ばっかりだから。場所によるね。

名木野 県内異動に抵抗のある学生は、市役所を目指す傾向にあります。災害から県民を守りたいという強い意志がある学生は、「勤務地はどこでも良い」、「若いうちは経験を多く積みます」という考えの下、大分県を希望します。

マツ 例えば、上下水道やりたいと思っても、市町村はやるけど県はやらないから。基礎自治体はより生活に近い。住民とも仲良く慣れる。

基礎自治体に入りたい人いる? 県は広域なことができるんで、やりがいはあるんだけど。なんとなく人の思いやりを感じたいという人が最近ちょっと増え始めている。瀬戸大橋架けたいよりも、橋が落ちそうだったら、知恵を絞って長持ちさせたいとか。地に足ついた大人のエンジニアが、新卒では増えてきている。

ウチの会社もそう。まちの、駅前をやりたいとか、公園やりたいとか。大きな会社では仕事が小さ過ぎてできない仕事がいいらしい。

デミ なかなかイメージ湧かないよね。

マツ 建設コンサルタントも知らないよね。

名木野 まだゼネコンとコンサルの違いもしっかりと教えていない。他の先生からざっくりとは聞いているかもしれないけど。

デミマツのチラシを見入る女子学生

――高専を卒業したら就職なのか、大学進学なのか。

名木野 1年生には、まだわからないかもしれない。担任として、進学の情報はまだ与えていません。後期の特活を利用して情報提供する予定です。

一つだけ間違いないことは、高専から他大学への編入学は高専生の特権のようなもの。この環境は最大限に活かすべきです。このことを踏まえた上で「本科で卒業して就職します」というなら教員の立場としては「よし、頑張れ!」と言える。

他方で、先輩の話だけを真に受けて別の方法で情報を収集せずに進路を決める学生は「本当に大丈夫だろうか・・・」と心配になる。

早い段階で将来の目標が定まり、その実現のために大学院までの進学を考えるなら高専の専攻科に進学するとよいです。もちろん、他大学へ編入する選択肢もよいです。どちらの選択にもメリットとデメリットは存在しますので、専攻科へ進学するか? 他大学へ編入学するか? は、やはり学生自身が決めることです。

デメリットの話ばかりを鵜呑みにして、専攻科に進学したいのはもったいない。自分にとってメリットしかない環境は、きょうあり得ないと思うので。

デミ 名木野先生はどんな先生?

女子学生C 空気読む(笑)。

男子学生A 怖いけど、優しい。

一同 あー、そうだな。

名木野 どうしても「怖い」がついてしまうんですねえ。

デミ やっぱ怖いよね。

名木野 (苦笑)。

デミ 良い意味での怖い。怒るときは怒るわけね?

女子学生C いや、あんまり。

デミ 女の子には優しい?

名木野 いやいや、そんなことないですよ(汗)。

マツ 先生、土木は優しさをカタチにする仕事です。常に優しさを。

名木野 わかりました(笑)。「女の子だから叱らない」ではなく、現状、叱る必要がありませんでした。叱る理由がなければ叱りません(笑)。

何回言葉で諭しても教員の言うことにまったく耳を傾けないとき、教員から注意を受けたときの学生の態度などよっては、この子たちの今後のことを思ってきつく叱りますね。これは、昔からずっと変わっていません。

マツ 僕らが若い頃は、優しくなくなったら、土木技術者である必要はないとまで言われたんです。足が不自由な人とか、高齢者とか、どうすれば社会が安全になるか、快適に過ごせるか、常に考え続けることが技術者だと教わって、生きてきたんで。

常に人に対する優しさの根を失わないようにし続けるのが、土木屋としては一番重要なことです。


伝えられずにいた土木を感じてもらえた

デミマツは、授業の前後に学生にアンケートを実施した。「授業を聞いて『土木』に興味を持ちましたか」という質問に対し、19名が「興味を持った」と回答。その理由には「災害から命を守れる国造りを行いたいと思ったから」、「これから土木で何をしていけばいいのかなどがわかったから」、「土木の世界って思っていたよりも奥深いなと思ったから」などがあった。

「講義前後で変化しましたか」の質問には、15名が「変わった」と回答。その理由では「土木は大切な仕事だけど、地味な印象があったが、土木が昔の偉人から受け継がれてきた話を聞いていて、とても華やかな世界だと感じました」、「今までは土木は力仕事をするというイメージであったけど、技術をたくさん使って仕事をすることが素晴らしいと思ったから」などがあった。

特別授業の手応えについて、デミマツの二人はこう話す。

デミ 今回は、一方的な講義だったので、手応えとかはあまり感じることができませんでしたが、アンケート結果から高い評価をしていただいていたので、やり方自体は間違っていないんだろうなと思いました。次回は、双方向の講義をして、本音や不安を引き出し、それの解決方法を一緒に考えたりするとともに、さらなる土木に対する憧れを醸成していきたい。

今回、一番印象に残ったのは、子どもたちが目的意識を持ち進学していることである。この目的意識を削ぐことなく、教育することができれば、きっと世界で活躍する土木技術者の卵として成長してくれるでしょう。将来が楽しみです。デミーは応援しています!!

マツ まずは土木の価値と使命を理解し、我が国の数千年の歴史の中で土木がどのように社会に貢献してきたかを知ってほしい。そして、高専で学んだ専門知識を活かして、楽しんで仕事ができる技術者に育ってくれたらうれしい。

名木野准教授はこう振り返る。

名木野 物事には、色々な視点からの景色(多面性)がある。今回、新入生への土木工学の動機付け教育の一環としてデミマツのお二方に特別講義を依頼した。普段の都市・環境工学概論の授業では課題や試験などの評価に加え、授業担当者(小生)の教授力不足も相まって、学生達に本当に感じてほしい”土木”を伝えられずにいた。

今回の特別講義の最大の教育効果は、デミさんとマツさんのこれまでの経験に基づいた視点から学生達に”土木”を伝えてくれたことに尽きる。学生達は評価を気にすることなく、伸び伸びと受講していた。講義の効果は、アンケート結果から確認できる。

自分が進むべき道(自分の将来の目標や夢)が分からず、悩むのは誰もが同じ。その悩みのトンネルの出口は、様々な経験や体験により知識(情報)を増やし、人との出会いなどにより”心が動かされたとき(感動や憧れなど)”に見えてくると思う。

“土木を正しく知ること、感じること”は、トンネルの出口の明かりに繋がっている。焦らず、自分のペースで色々なことに挑戦し、悩み、考えることで、自分の進むべき道を”自分”で見つけてほしい。もう一つだけ欲張ると、これからも人との出会いを大切にし、まわりから必要とされるような思いやりのある優しさを持った技術者・研究者に育つことを願っている。

――人は、知らないことに対して、興味を持つことはできない。興味を持つということは、まず知ることに尽きる。この点、今回の授業を通じて、多くの学生が「土木を知る」ことができたことは意義深いと言える。

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