ブルーシートの2枚掛けで雨水対策
災害に見舞われた方々の家の屋根補修について話がありました。というのも、屋根の一部が崩壊し雨水が入ってくるのを対策したいと。
しかし、それには人手が必要。修理をしてくれる業者すらままならない状況の中で、仮設の方法は何が良いか?
とりあえずブルーシートを掛けている屋根が多いです。でも、これでは風の心配がありますよね。そこで、上の写真のように土嚢を設置したりしています。
別にこの方法が悪いというわけではありません。問題は無いのですが、ブルーシートは耐候性に悪く、すぐに劣化してしまいます。
復旧まで1年以上待つ方もいる中で、ブルーシートでは保たない可能性が高いです。
我々土木に携わる者はほとんどが知っているのですが、ブルーシートには安い輸入品のペラペラのモノと#3000番のしっかりしたモノがあります。
この厚みによって耐用年数にある程度の基準があるんです。
番手 | 厚み | 耐久期間 |
#3400 | 約0.28mm | 約10~16ケ月 |
#3000 | 約0.26mm | 約9~12ケ月 |
#2500 | 約0.19mm | 約7~9ケ月 |
#2200 | 約0.17mm | 約5~7ケ月 |
#2000 | 約0.15mm | 約3~6ケ月 |
#1500 | 約0.13mm | 約1ケ月 |
#1100 | 約0.10mm | 約1ケ月 |
参考:https://www.kensetsu-shizai.com/
だいたい3000番を使用していれば、1年近く保てる訳です。
しかし、ココでとりあえず安全を加味します。
3000番の2枚掛けです。
というのも、我々公共事業者は地滑りや土砂崩れなどの場合や対策に、のり面(崖)上にブルーシートを張ります。
役所の計画が1年以上先の場合もあるため、そのような時は2枚重ねで使用します。そうすることで雨水に対する安全を担保しているわけです。
ブルーシートの上からグリーンネットで防風対策
そして次に、風対策ですね。
ブルーシートは風の影響を受けやすいため、土嚢を置いたりしていますよね。
それでも十分対策になるのですが、出来ればもう1つオススメしたいのがグリーンネットです。
よくゴルフ場等にある、あのグリーンネット。これをブルーシートの上に掛けます。
なぜかと言うと、ブルーシート+土嚢は1土嚢の荷重が1箇所にしか伝わらないです。
例えば、1m×1mのシートの角に4つ土嚢を置きます。真ん中に風が一気に入り込んだ時に真ん中が押し上げられて土嚢が外れてしまう可能性があります。
この上にグリーンネットを掛けて、土嚢を置いたとします。真ん中に風が入っても、ネットにも力が分散されているのである程度抑えることが出来ます。
これって土木の台風養生ではかなり一般的なんです。チカラを分散させるためにネットを使用するんです。点で抑えるよりも面で押さえるってイメージです。
この考えを家屋等に使用した時にこんな感じですね。
屋根破損個所の養生方法
破損している以外の所も覆ってください。
なぜかと言うと、一部が破損しているということは、その他の部分も破損している可能性があるからです。
何度も仮設工事するよりも、1度でしっかりやった方が安全です(最終的に修理する意味で書いてます)。
ブルーシートを2枚掛けるコツですが、4つのカドを合わせてロープなどで縛ります(針金・番線・インシュロック等でもOK)。2枚がズレないほうが極力良いですね。
屋根にシートを張り(破損部を中心に出来ればなお良い)、その上からグリーンネットを張ります。
グリーンネットとブルーシートは、出来ることならハトメ等を使用して一体に出来ればなお良いです(ハトメ強度は気にせず)。
グリーンネットは地面まで来ていればそこに土嚢なりを置いてください。出来るだけグリーンネットはピンっと張った方がブルーシートに荷重が掛かります。
上記では屋根の上に土嚢が書いてありますが、無くてもOKです。
恐らくですが、2人いれば1家であれば半日くらいかと思います。
1家当たり、15万円前後で施工可能
そして、お金の話です(全てインターネット調べ)。
〇材料代
- 3000番ブルーシート1枚 10m×10m 約6,000円~約10,000円
- グリーンネット1枚 5m×10m 約7,000~13,000円
〇上記の図で必要とした数量
- ブルーシート×2枚=12,000円~20,000円
- グリーンネット×4枚=28,000円~52,000円
- 合計=40,000円~72,000円
〇人件費(実際は半日で終わるので、段取りや安全設備対策費を含むものとします)
- 1人当たり25,000円~
- 2人×25,000円=50,000円
上記を足すと、1家当たり90,000円~122,000円(最低価格)となります。
会社の規模にもよるでしょうが、15万円前後であれば普通の価格だと思われます。これが高いか安いかハッキリしたことはわかりませんが、この位じゃないかと思います。
もしも仮設で台風養生されるようであれば、この方法は非常に効果的です(正確に行った場合)。土木現場では日常的に使用される仮設方法です(土嚢は多めですが)。
試す価値は十分にありますが、その際は自己責任でお願いします。
※上記記事はあくまでも土木工事で行われている対策です。全ての家に万能かと言えば分かりません。有効な手段ではありますが、全ては自己責任の元で実施して下さい。私は一切の責任を持ちませんので、ご了承下さい。
※この記事は『新エンタの法面管理塾』の記事を再編集したものです。