複数の民間(半官半民)発注の工事の共通点
以前、ある民間発注の工事に従事したことがあった。民間といっても半官半民の企業である。しかも公共インフラの工事だ。そこで、ある疑問が浮かんだ。
「工事費が決まる前に工事に入っていいのか?」
という疑問だ。
もちろん、まったく工事費が決まっていないわけではなく、発注時点で予定価格はあった。それより安く・適正な価格であっただろうから、そのゼネコンが受注しているはずである。ところが、いくつかの共通点があった。
- 設計変更が多く、追加で指示された工事が多数
- 追加工事や変更工事の単価が未定
- 変更工事や追加工事の設計図面や数量計算書が無い
- コンサルの設計成果はあるが、どれもこれも全く使えない成果
- 監理でコンサルが入っていたが、発注者のグループ会社だった
それまで国交省や自治体発注の工事ばかりやってきた私には、「?」で頭が埋め尽くされていった。まず、工事の単価が決まっていない段階で工事に入るなどありえなかったからだ。
単価が決まっていないということはその工事の工事費が決まっていないということであり、受注者からしたら予算が立てられない。赤字になるのか黒字になるのかわからない。リスクが高い。そんな段階では発注者も工事を発注できないはずである。
ところが、その民間工事ではそんなのおかまいなしで発注されていた。どれもこれも使えなかった。数量は合わないし、図面は施工できない図面ばかり。受注者側ですべて描き直しだった。
後で辻褄を合わせようとするから、もめごとにつながる
工事をやっている最中、もしくは工事が終わるくらいになってから単価が決まるケースがあった。受注者側からしたら、かかった費用を認めてもらおうと説明資料を作る。発注者側からしたらゼネコンの言い分に乗せられまいと、そちらも何かしらの準備をする。
当然、最初はカネが合わないのだ。発注側は「これが適正だ」となるし、受注側は「これは安すぎる! どこかおかしいでしょ!」となる。そこで一時的にすったもんだが起きやすい。受注側からしたら赤字にするわけにはいかないから、なかなか引き下がるわけにはいかないし、引き下がるつもりもない。すでに下請けにある程度の額を払っているのだから、なおさらだ。そこで数量を精査するし、細かに積算をする。
言葉で書くと単純だし、なーんだそんなことか、ってなるのだが、やっているほうはかなりの手間だ。時間も取られる。
これって一般的? よくあること?
個人的には、半官半民の工事は2件しかやったことがないので、これが一般的かどうかはわからない。もしかすると、国交省などでも同じようなことがあるのかもしれない。ただ、こんなことが今後多くなっていくと、元請けゼネコンの社員に対する負担はどんどん大きくなっていく。人手が足りないのにさらに足りなくなっていくだろう。
それは下請けへの負担増加に直結する。今まで元請けがやっていた検査書類作成などが下請けに押し付けられる可能性がある、いやもうそうなっているところがあるだろう。今、私がいる現場でも起きている。初めて目の前で見たときは衝撃だった。自分の目と耳を疑った。この人(元請け社員)は、何を言っているんだ? 自分が言っていることがわかっているのか? と思ってしまった。
しかし、元請け社員はそれが当たり前だ、下請けが汗をかくのは当然だ、と考えているふうだった。
そこで読者の皆様(施工管理技術者の皆様)にお聞きしたい。こういう現場は一般的ですか?
元請けゼネコンの社員が能力が無い、現場代理人も何もわからない状態で口だけで仕事させる。ひどい場合は、施工管理員に社員教育を頼む責任者までいる。自分の社員は自分でしこめよ。基本的な事がわからない技術者ばかり。発注者側も何もわからん技術者ばかり。覚える気も無い。サラリーマンだと思っている。勝手に工事は進むように思っている。下請け業者が作業してくれるから進むんですが、ありがたいとも思わない。技術を伝承する部署を作るべきでしょう。