ポニーテールの若い女性が建設現場にやってきた!
暑い季節になると、あの「ドボジョ」を思い出す。
建設省(現:国土交通省)発注の道路改良工事で、現場代理人を担当していた19〇〇年の夏だった。
「こんにちは。土本すず(仮名)といいます。お願いします!」
一人のドボジョが、私の現場を手伝ってくれることになった。下請協力業者の職員としてだ。
ポニーテールで目鼻立ちのハッキリしている女性だった。間違いなく、「かわいい」の部類に入る。ひと目見た瞬間から、私はその女性に魅せられてしまったのである。
職長さんが「それじゃ、新規入場者教育頼むぞ」と私に言い残し、現場へ行ってしまった。「えっ、この子と2人きり?現場事務所で説明するの?」私はどのように接して良いのか分からず、戸惑ってしまった。ふだん現場で対応している職人さんは、ほとんど高齢のベテラン男性ばかりだからだ。
そんな私の動揺など構わない気さくな彼女。「ヒロさん、ここは職長さんの名前書けば大丈夫ですか?」と色々質問してくる。
ちょっとしたやりとりに私の緊張はマックスに到達しっぱなしだった。脇から、額から、汗が流れた。
書類を書き終えた彼女が事務所から出ていくと、室内はフローラルな香りが漂った。「いやいや、夏だからといって現場代理人は浮かれてはいけない」そう自分に言い聞かせ、気持ちを引き締めた。
キュンキュンしました。
泣いてもええんやで!
現実見ろよ