5年間で女性技術職2倍を目指す奥村組 「就職するなら、やっぱゼネコンやな」

5年間で女性技術職2倍を目指す奥村組

株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区)にドボジョ第1号が入社したのは1999年4月。以来、毎年コツコツ採用を重ね、現在19名(2019年3月31日時点)のドボジョが在籍している。

土木系社員全体から見れば、ドボジョの割合は2%とまだまだ少ないのが現状だが、同社では「2021年3月までの5年間で技術職の女性を2015年度と比較して2倍以上にする」という目標を掲げ、ドボジョを含めた女性技術職の採用に注力している。

今回、奥村組のドボジョお二人に取材する機会を得た。彼女たちは何を求めて奥村組に入ったのか。日々どのような思いで仕事に勤しんでいるのか。奥村組のドボジョのリアルに迫った。

施工管理なら工事の最前線を見れる

――なぜ土木の仕事に就いたのですか?

長さん もともとは、漠然と「ものづくりの仕事がしたい」と考えていました。また、水質や土壌、大気などの環境分野にも興味があったので、両方に関われる業種は「土木かな」と思い、大学で土木を学びました。

長 千佳さん(株式会社奥村組 土木本部 土木部 環境技術室 環境技術グループ主任)

岡田さん 普段の生活で使っている道路やトンネルって、「誰がどうやって造っているのだろう」と興味を持ったのがそもそものきっかけでした。とくにトンネルは「どうして穴が空いているのに、崩れないんだろう」と不思議に思っていました。そこで大学で土木を学ぶことにしました。

岡田 理沙さん((仮称)有馬口トンネル築造工事 奥村・安西JV 有馬口トンネルJV工事所 工事係)

――奥村組を選んだ理由は?

長さん 大学の授業で、あるゼネコンの方の講義を受け「就職するなら、やっぱりゼネコンやな」と考えるようになりました。トンネル貫通に関するビデオを観ながら、様々なエピソードを聞き、感動したからです。ただ、その方は奥村組ではなかったですけど(笑)。

採用内定は複数のゼネコンからいただくことができましたが、企業研究や面接などの就職活動を通じて「ここで働きたい」と思った奥村組に入社しました。

岡田さん 施工管理の仕事は工事を最前線で見ることができ「面白そうだ」と思い、ゼネコンを志望しました。その中でも、リクルーターや採用担当者から社風の良さが感じられた奥村組に入社しました。

何をするべきかわからないまま終わった初めての現場

――奥村組ではどのような仕事を?

長さん 私は入社14年目になりますが、最初の配属先は大阪市営地下鉄の8号線(今里筋線)の現場で、1年ほど施工管理の仕事を経験しました。既にシールド工事は完了しており、私は停留所出入り口の工事を担当しました。

その後、環境プロジェクト部に異動になり、現在まで、土壌汚染や地下水汚染の浄化、解体工事、処分場の提案や施工支援などに携わっています。最近では災害により発生する災害廃棄物処理に関する業務も行っています。

――最初の現場はどうでした?

長さん 自分が何をするべきかわからないまま、終わりました。かなり慌ただしい現場だったので、自分で考えると言うよりは、与えられた仕事を必死でこなしていった感じでした。言われたことができず、悔し泣きしたこともあります(笑)。今振り返ると、「もっといろいろできたのにな」という思いはあります。

――周りの反応はどうでした?

長さん 女性が現場にいることが珍しかったころなので、どう扱って良いかわからなかったのではないかと思います。私としては、女性だからと言って、「特別扱いしてほしくない」「男性と同じように働きたい」と思っていましたが、今になってみれば、体力面の違いなどから、男性と女性が同じ働きをすることが難しい場合もあると考えています。


ネコ?アングル?何を言っているのか理解できず

――岡田さんは?

岡田さん 私は入社1年目で、今の現場が最初の配属先です。

――男性ばかりの職場で、戸惑いとかはなかったですか?

岡田さん 特になかったですね。この業界に入る時点で、「周りは男の人ばっかり」だということはわかっていたので。私は、人とのコミュニケーションが得意で「誰とでも関わりたい」という感じなので、不安はありませんでした。

――OJTの最中ですか?

岡田さん そうです。入社6年目の先輩(山田昂平さん)が指導員で、一緒に仕事をしながらいろいろと教えてもらっています。ただ、実際に自分で何かすると言うより、見ていることが多かったので、仕事を覚えたというには「まだまだだな」と感じています。

岡田さんの指導員の山田 昂平さん((仮称)有馬口トンネル築造工事 奥村・安西JV 有馬口トンネルJV工事所 工事係)「建設業界はかなり特殊です。私自身、大学で土木を学んできましたが、実際の現場では知らないことや分からないことがたくさんあり、入社して3年ほどはかなり苦労しました。岡田さんに指導する際には、基本的には聞かれたことに対してなんでも答えるようにしていますが、ある程度は自分で考えてもらうようにしています。岡田さんはまだ現場に来て半年なので、まだまだ勉強することは多いですが、「ホネのある子」なので、大丈夫だと思っています。」

初めての現場ということもあり、耳にするのは知らない用語ばかりで、まずそれを覚えるのが大変でした。特に作業員さんが使う専門用語が全く分からず、はじめのころは何を言っているのか理解できないことが多々ありました。理解しないと、次の作業に進めないので、会話する中で必死に覚えていきました。

――例えば?

岡田さん 「ネコ」とか「アングル」とかですね。

――山奥のトンネル現場ということで、大変なことは?

岡田さん 夏場、トンネル内は外よりは涼しいのですが、湿度が高いので、蒸し蒸しして大変です。トンネルの現場とは言え、明かり工事などで外に出ることもあるので、日焼けにも気を遣います。冬場は冷え込みますが、トンネルの中は出口側をシートで覆っているので外にいるより比較的暖かく、防寒具を着れば大丈夫です。

覆工作業を担当する協力会社の山形さんと岡田さん。「岡田さんは、女性特有の細やかさがあって、いろいろなモノをきれいに片付けてくれるのが、良いですね。男性だと黒板とかを投げっぱなしにすることが多いので。なにより女性がいることで、現場も和みます(笑)。それが一番ですね(笑)(山形さん)」

――先輩の言葉で印象に残っている言葉は?

岡田さん 「自分の身は自分で守らないといけない」という言葉が印象に残っています。

技術士は絶対に取れ

――資格とかは?

長さん 技術士(建設部門)を取りました。奥村組では、7年ほど前から技術士を倍増させるべく、技術士試験に関する社内講習を実施するなど、資格取得支援に力を入れています。上司からも「技術士は絶対に取れ」という激を飛ばされたこともあり、頑張って取りました(笑)。

奥村組は、1級土木施工管理技士を持つ社員のうち、技術士を持つ社員の割合は、ゼネコンの中で5番目に多いんです。

岡田さん 私の場合、まずは1級土木施工管理技士ですが、いずれは技術士を取得したいと考えています。

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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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