文系女子が建設現場に飛び込んだワケ
あるとき、いわゆるスーパーゼネコンの現場所長さん(A所長)と雑談をしていたら、「ウチの現場には文系大学新卒の職員がいますよ」という話が出た。
土木は未経験だが、「ものづくりをやりたい」「体を動かす仕事をやりたい」という理由で、人材派遣会社を通じ、半年ぐらい前から現場で働いているらしい。
話を聞くうちに、「取材させてほしい」という言葉が口から出た。というわけで、現場見習いの岡田理江さん(仮名)に、なぜ建設現場で働いているのか、その理由などを聞いてきた。
文系でも、派遣なら建設現場を経験できる
――なぜ建設現場で働いているのですか?
岡田さん 建設業界に興味があったからです。建設現場って面白そうだなと。私の親戚にスーパーゼネコンで働いている人がいて、就活中にいろいろ話を聞いているうちに興味が湧いてきたのがきっかけですね。
文系の大学に通っていたので、スーパーゼネコンに技術者として入社するのはムリだけど、派遣なら建設現場を経験できるなと思って希望しました。
――ずいぶん思い切ったことをしましたね。
岡田さん 大学に在学中は公務員志望だったのですが、就活しているときにデスクワークは私には向かないかなと思って。
もともと体を動かすのが好きで、大学でも飲食店でアルバイトをしていました。「体を動かす建設現場の仕事は私に向いているかも」と考えたわけです。
「ちょっと現場経験してみたいな」という程度で、そんなに重く考えていたわけじゃないんですけど。
土木の経験がなくても、ヤル気さえあればいい
――なぜこの現場に?
A所長 岡田さんが所属する派遣会社の営業の人は私が以前からよく知っていて、私から「ヤル気さえあれば経験は求めない。現場を手伝ってもらえれば良い」という条件で人を探してもらいました。正社員だけだと人手が足りなかったからです。
そんなとき、その営業の方から「新卒で元気の良い子がいます」というお話があって、岡田さんが私の現場に見学に来ました。
私は、土木の経験がなくても、ヤル気さえあれば活躍できると思っています。土木を知らない子でも、一から教えれば、現場の管理ができると思っています。大学で土木工学を学んだとしても、実際の現場のことはほとんど素人ですから。土木は経験が大事ですね。
事務所で内業するより、現場のほうが楽しい
――実際に現場に入ってどうですか。
岡田さん 夏場は、暑くて本当にシンドかったですね(笑)。冬場は大丈夫です。
――今はどんな仕事を?
岡田さん 今は現場の写真撮影と測量ですね。
A所長 写真撮影や測量は、現場で覚える最初の仕事です。
――現場での岡田さんはどうですか?
A所長 ヤル気がありますね。一旦現場に出ると、事務所に帰ってきませんから(笑)。
岡田さん 事務所に戻って内業するより、現場のほうが楽しいです(笑)。
A所長 ウチの社員や作業員に色々と質問して勉強している姿をよく見ます。本当にヤル気があるなと感じています。
岡田さん ありがとうございます(笑)。まずは、現場で役に立つ仕事を覚えようと考えてやっています。
建設現場には人間の温かさがある
――将来のことはまだ考えていない?
岡田さん そうですね。この先どうなるかはあまり考えてないですね。
――周りの友達の反応は?
岡田さん 「大変じゃない?」「大丈夫?」とは言われますね(笑)。「いや、そんな大変じゃないよ」と答えています。あと、「すっごい日焼けしたね」とも言われますが、「そこはもういいじゃん」と突き放しています(笑)。
――仕事は楽しいですか?
岡田さん 楽しいです。現場には良い人ばかりで、必ず話を聞いてくれるからです。年齢がかなり上の方に私がガンガン突っ込んだ話をしても、笑って流してくれます。建設現場には、そういう人間の温かさがあると感じています。
――女性にとっても働きやすい現場のようですね。
A所長 最近、建設業界は女性が働きやすい建設現場を目指していて、女性職員や職人さんを受け入れる環境が整ってきています。建設現場も女性が働く場として認知されてきたかなと思っています。
文系出身の女性がゼネコンの現場で働くにはいろいろハードルがあると思いますが、縁あって一緒に働くことになったので、多くのことを学んでいってほしいです。
岡田さん ありがとうございます。がんばります。
私も文系から、どころか普通科の夜間定時制高校卒の異業種から派遣で建設業に飛び込みましたー!CADオペ兼事務員で電気工事の現場に入社しましたが、本当に職人さんも所長さんや先輩、皆様とても暖かいです!これから施工管理も覚えていくので楽しみです!!!