新人現場監督の頭を混乱させる測量業務
新人業務の一環として、「測量」は避けて通れない。中でも高さを読むレベルは、最初に行う測量業務であることが多いだろう。
しかし、最初から測量の理論を理解して行える人間は少ない。実践的な測量に駆り出す前に、きちんとした教育を行うことは極めて重要となる。
レベル測量の教育では、ほとんどの場合、野帳の書き方、IH【機械高】の計算方法、GH【地盤高】の計算方法など、公式のような覚え方をさせることが多い。
しかし、これがかえって新人社員の頭を混乱させることになっていることに気付いていない。測量は、経験年数の長い現場監督になるほど、当たり前の業務になってくる。だが、新人の頃は右も左もまったく分からなかったはずだ。
しかし、不思議なことに数年経つとそのことを忘れてしまい、あたかも”知っていて当たり前”というスタンスで教育してしまっていないだろうか。現場経験を積み、測量を繰り返すことで、理論がやっと理解できてくるにもかかわらずだ。
何の数字を読まされているのか理解できていない
新人現場監督にとって最も多いのが、「今、何のためにこの数字を読んでいるのか理解できていない」ということだろう。こうなってしまうのは、レベル測量の「練習方法」に原因がある。
私が教わった方法は、まずは野帳に、BS、FS、IH、GHを記入し、KBMの高さを教えてもらい、そこから機械をターニングしながら目標の高さを求めていく。そして、最終的には最初に測定したKBMのポイントまで測量し、誤差がどのくらい出るかによって測量の正確性を求めるというもの。
多くの建設現場の研修でも似たような内容だろうが、慣れていないときはターニングを繰り返すうちに、自分がどこのポイントをあたっているのかが混乱して分からなくなってしまう。混乱する=せっかく測量した数字もどこの数字なのか混乱してしまって、計算の段階で大きく間違ってしまう。
少しの工夫で、測量は驚くほど簡単になる
こうならないために、私は新人の頃、時間をかけて一回一回、自分が今から見るポイントについて都度確認を行いながらレベルを読んでいた。
例えば、最初のBSを読んだ後に、声に出して「今から測量するのはIHをだすため」と自分が今から何の値を出すためにレベルを読むのかを確認しながら実践していた。さらに、BSを読んでIHを出すときには赤色、FSを読んでポイントのGHを出すときは青色と、一目でどこの計算を行うのかを色分けすることによって、計算間違いがぐっと減った。
また、赤色の数字は足し算、青色の数字は引き算というように、色によって判別することで、最初のうちは時間短縮にもつながる。仮に計算間違いをしていたとしても、後から確認の際に計算ミスをしたポイントを見つけやすいというのも色分けをするメリットだ。
測量は、早く読むことが大事だと先輩から教わることも多いと思うが、スピードは現場での実践で自ずとついてくる。それよりもまずは、しっかりと間違えることなく、測量の考え方というものを理解することが大事だ。
初めに、計算の公式やスピードを重視すると、現場で少しターニングしただけで混乱してしまうだろう。何事も初めが肝心。少し工夫すれば、測量は驚くほど簡単になる。新人現場監督には、一度実践してみてほしい。