外国人不法滞在者の増加
外国人の増加に伴い、不法滞在者が平成27年以降 増加の傾向にあります。
それをふまえ、12月4日に警察・法務・厚生労働の三省庁で構成される「不法就労外国人対策等協議会」より、厚生労働省、出入国在留管理庁、警察庁からの外国人の不法就労の防止に関するお願いとして、下記のように指針が発表されました。
平成27年以降不法残留者数は増加に転じ、本年7月1日現在の不法残留者数は8万2,616人と、本年1月1日現在の不法残留者数に比べ、276人減少したものの引き続き憂慮すべき水準にあり、不法滞在者による不法就労の防止が依然として重要な課題となっています。現に、令和元年中に退去強制手続を執った外国人1万9,386人のうち、約66パーセントの1万2,816人について、不法就労の事実が認められたところです。
また、不法就労の態様についても、身分や活動目的を偽って在留する偽装滞在者が偽変造在留カード等を行使する事案や、難民認定制度を就労・定住目的で悪用する事案が発生しているなど、その手口は悪質・巧妙化しています。
不法就労防止対策を実効あるものにするためには、事業主の皆様を始め広く国民の皆様にこの問題を正しく理解していただき、その防止に努めていただくことが重要です。そのためには貴団体を始めとする経営者団体の皆様の御協力を賜ることが不可欠であると考えており、本年度は11月に、「外国人労働者問題啓発月間」として、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じた上で、政府による各種取組を実施しているところです。(出典:日本商工会議所「協力依頼書」)
偽造在留カードが横行
不法滞在者による不法就労が増加している大きな要因は、偽造在留カードを活用し、不法就労を行う外国人の数が増加しているからです。
- 偽造在留カード所持の検挙数が増加
警察庁が発表した「偽造在留カード所持等」に関する検挙数によると、平成25年は108件、平成29年は390件、平成31年には748件と年々増加傾向にあります。 - 検挙数増加の要因
検挙数が増加した要因の1つとして、偽造在留カードを誰でも簡単に入手することができるという現状があげられます。偽造在留カードは、SNSを通じて1枚数千円で入手することができ、不法就労者のコミュニティも複数存在します。
その他、偽造在留カード以外にも、日本語能力試験の成績書類の偽造なども行われているようです。成績書類が偽造か否か、もしくは成績書類を所持している人物がそのレベルを受験して合格したか否かは、試験実施団体で調べることが可能です。
確認が必要な場合は、国内受験者分は日本国際教育支援協会に、海外受験者分は国際交流基金にお問い合わせください。(お問い合わせ先は、コチラ)
雇用した場合のリスク
偽物であることに気付かず、企業が不法就労者を雇用してしまった場合は「不法就労助長罪」となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
上記以外にも、企業のブランドイメージの失墜、許認可資格の剥奪、金融機関からの信用損失につながることも考えられます。そうならないためにも、企業内でしっかりとした対策が必要になります。
不法就労防止対策
不法就労防止対策として、法務省が推奨している対策と、弊社グローバルキャリア職業訓練法人が推奨する対策の2つをご紹介します。
【法務省が推奨している対策】
①在留カードを傾けて確認
在留カードを手にとり、上下左右に傾けて下記の3つに不備がないか確認します。
- 絵柄がグリーン色に変化
- 左端がピンク色に変化
- ホログラムが3D的動きをする
②透かし文字の確認
暗い場所で、在留カードの表面から強い光を直接当てて透かし、「MOJMOJ…」の透かし文字が見えるか確認します。
出典:法務省 出入国在留管理庁「在留カード」及び 「特別永住者証明書」の見方
③在留カード等執行情報照会での確認
出入国在留管理庁のWEBサイト「在留カード等執行情報照会」で、在留カード番号等の必要事項を入力すると、入力されたカードの番号が失効していないか確認することが可能です。
【グローバルキャリア職業訓練法人が推奨する対策】
次に、弊社が推奨する対策を紹介します。弊社が推奨するのは、「ビザマネ」の活用です。ビザマネとは、外国人特有の労務管理を一貫して行っているサービスです。
在留カードをビザマネ上にアップロードし、その外国人が雇用可能かどうかをチェックします。その際に、偽造在留カードの疑いがある場合はアラートが出ます。ビザマネは、サービス提供開始から9ヶ月間で17件もの不法就労を予防しているという実績があります。
さらに、ビザマネでは、在留期限の管理やハローワークへの提出書類の作成(追加オプション)なども行っています。弊社クライアントでも、ビザマネの利用により在留カードの事前確認段階で2名の偽造カードを発見し、不法就労を未然に防ぐことができました。
出典:ビザマネHP
在留カードの種類
在留カードは、どのくらいの種類があるかご存知ですか?また、その中でも、特に建設現場と関連性が高いのが「特定活動」です。
特定活動とは
「特定活動」の内容は、多種多様です。同じ「特定活動」の在留資格を取得している外国人でも、人によって滞在理由や期間が異なるため、第三者からは具体的な内容が分かりづらいのが現状です。
そこで、活動内容を詳細に記載した資料が必要となります。それが「指定書」です。指定書は、通常外国人が所持しているパスポートに添付されています。
特定活動の方は、必ず指定書の内容の確認が必要です。指定書に書かれている内容でしか活動ができません。雇用の際には、必ず在留カードとパスポートに付いている指定書をチェックしましょう。
在留資格と活動内容一覧
在留資格 | 活動内容 |
永住者 | 法務大臣から永住の許可を受けた者 |
日本人配偶者 | 日本人の配偶者・子・特別養子 |
永住者配偶者 | 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生する子 |
定住者 | 第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人 |
留学 | 教育機関の学生・生徒 |
家族滞在 | 在留外国人が扶養する配偶者・子ども |
特定活動 | 法務大臣が一人ひとりの外国人について特に指定する活動を行う者 |
短期滞在 | 観光客など90日以内の滞在者 |
外交 | 外国政府の大使や公使、及びその家族 |
公用 | 外国政府の大使館や領事館の職員、及びその家族 |
教授 | 大学や専門学校の教授や研究者 |
芸術 | 作曲家や小説家など音楽、美術、文学の仕事を従事する者 |
宗教 | 布教や宗教活動を行う者 |
報道 | 記者やカメラマン |
高度専門職 | 1号 法務省令で決める基準に適合する高度人材 |
2号 法務省令で決める基準に適合する高度人材 | |
経営・管理 | 企業の経営者や管理者 |
法律・会計業務 | 弁護士や公認会計士 |
医療 | 医師や歯科医師や看護師 |
研究 | 政府機関や私企業の研究者 |
教育 | 教育機関での語学教師 |
技術・人文知識・国際業務 | 通訳や技術者や私企業の語学講師など(一般的に「就労ビザ」と呼ばれている) |
企業内転勤 | 日本企業の海外支店から日本への転勤者 |
介護 | 介護福祉士 |
興行 | 俳優、歌手、スポーツ選手など |
技能 | 外国料理の調理師など、産業上の特殊な分野に熟練した技能を要する業務を従事する者 |
特定技能 | 1号 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人 |
2号 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人 | |
技能実習生 | 1号 技能実習生 |
2号 技能実習生 | |
3号 技能実習生 | |
文化活動 | 日本文化の研究者など |
研修 | 研修生 |
まとめ
偽造在留カードを簡単に入手することができる今、国内では多くの偽造カードが出回っています。偽造在留カードと気づかず、不法就労者を雇用してしまった場合は、大きなリスクを企業側は背負うことになります。
そうならないためにも、偽造在留カードの現状や企業の背負うリスクなどを理解し、社内で対策を強化していく必要があります。
本記事で紹介させて頂いた「ビザマネ」や、外国人雇用に関するご不明点などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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