発注者支援業務の裏側

発注者支援業務の裏側

発注者支援業務はどうあるべきか?

私は今、発注者支援業務に携わっています。

発注者支援業務は、ステークホルダーの支援が目的なので、基本的にはステークホルダーの動きに左右されます。ですが、会社として本当にそれでいいのか?と疑問に思うことが多々あります。

今回は、私が勤める会社の愚痴に少しだけお付き合いいただければ幸いです。

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「SDGsを取り入れています」

会社では、以前から取り入れるという話はあがっていましたが、今回このタイミングでSDGsを取り入れることになった理由は、ステークホルダーが取り入れているから

今後、発注者支援業務でSDGsを取り入れなければ、競合他社に負ける恐れがあり、SDGsを取り入れることに決めたようです。

SDGsを導入している企業、していない企業、取引をするとしたらどちらをとりますか?もちろん導入している企業ですよね!と言いたいところですが、そもそもステークホルダーは総合評価方式で入札しており、SDGsで点数を付けるといったことは今のところありません。

そもそも競合といっても、私の会社にはステークホルダーのOBが毎年10名ほど入社してきます。ある意味、業務自体が独占状態なので、SDGsをやらないと業務が取れないということはあり得ません。

それにもかかわらず、シールやバッジ・名刺など、ありとあらゆるものにSDGsの文字を入れ、社員に配布し、年度初めに配布された古いものは全て破棄するようにと会社から指示がありました。

「SDGsの文字が入っていないと対外関係に悪影響を及ぼす」などと言われ、社内ではよくわからない状況になっています。それこそ、資源の無駄遣いではないでしょうか。

SDGsが悪いとは思いませんし、取り入れることは素晴らしいことだと思います。

しかし、会社がSDGsを取り入れる目的が、ステークホルダーがやっていて、今後業務が取れなくなる可能性があるからという、明らかに営利目的での導入であることに対して、いささか疑問が残ります


「ドローンを活用して業務を円滑に進めます」

ドローンを飛ばすにも、資格(講習)を受けなければいけませんし、許可申請をしなければいけません。その費用は、もちろん業務の費用に含まれておらず、会社のサービスとしてやっています。

資格(講習)を受けるのにも数十万円かかり、10人取ろうとすると数百万円かかります。また、機体も毎年最新機種を購入しているので、数百万円かかっています。機体は購入したらOKではなく、保険もかけないといけません。

いざドローンを飛ばすとなった場合も、勝手には飛ばせないので、ステークホルダーから依頼があった時だけに限定されます。しかし現状は、依頼もないのに飛ばしては、ステークホルダーに進捗状況を報告しています。

また、場所によっては、公共施設や娯楽施設周辺で飛ばす可能性もあるので、盗撮目的と思われて警察沙汰になるリスクもあります。それを幹部たちは理解せず、ただ単に今どきの最新技術ということで、ドローンでの空撮を積極的に行い、ステークホルダーのニーズに応えています!とアピールをしているわけです。

ここで問題視しているのは、飛行計画が作成されていないということ。施工する際に、施工計画や作業計画、作業手順書があるのは当たり前ですが、私の会社ではそれがありません。仮にドローン撮影で事故を起こした場合、手順通りにしていたかなどの確認をしようと思っても、もちろんできません。

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「建設DXを積極的に取り入れています」

現在、ステークホルダーは施工会社に対して、建設DXを進めるように促していますが、そのステークホルダーが建設DXについていけていない状態です。それに伴い、発注者支援も建設DXについていけていません。

今は3Dでの納品がないため何事もありませんが、今後3Dで納品された場合、どうチェックしたらいいのか分からない状態に陥ることは目に見えています。

また、そういった講習や研修すらしておらず、指導できる技術者もいない。未だこの対応策を幹部たちは考えておらず、毎年の全体会議では「検討する」の生返事ばかり。これでは後の祭りになってしまいそうで不安が募ります。

「防災士資格を年間15名取得しています」

東日本大震災や西日本豪雨など、自然災害はいつ起きてもおかしくありません。皆さんの会社でも、BCPの制定や普通救命講習などを会社で受講されているかと思います。

私の会社では、防災士資格を毎年15名取得させています。目的は防災意識の向上、防災教育の指導と災害発生時の人材派遣と聞いています。

しかしながら、他の社員の防災教育は全くと言っていいほど行っていない。ただ単に、防災士資格の取得は、BCPの企業認定や防災協力認定のためだけにしているとしか思えません。

現に、昨年発生した大きな地域災害の際、私の会社は何一つアクションを起こしていませんでした。これでは防災士資格を取得した意味をなしていないと思います。


「女性管理職の割合を増やしています」

私の会社では毎年、昇進と昇格があり、能力評価制度を導入していますが、どう評価しているのかは不明です。ですが、ステークホルダーの昇進昇格制度と同様になっていると考えると、年功序列だろうと考えています。

しかし、発注者支援で考えると、資格持ち(事務を除く)が必須であるため、昇進昇格できるような資格と能力が伴わないと納得する人はいないと思います。

現在私の会社では、事務系を除く技術職の女性管理職の割合が3割を占めており、その中で管理技術者となれる資格保有者が3割中1割を切り、担当技術者となれる資格保有者は1割程度、資格なしがその残りを占めています。

男女雇用機会均等法がある中で、女性だけが重視されるというのは皆さんはどう思いますか。

社員の中には、勉強をして資格を取得し、成果を出してステークホルダーから信頼を得ている人もいますが、昇進昇格できる資格がなくとも昇進昇格をしている女性管理職は、私はおかしいと思います

「社内研修を充実させています」

私の会社での社内研修は、以下のような内容になっています。

  • 技術士を受ける人向けの勉強会
  • 1,2級土木2次検定の実地指導
  • 注力部署(稼ぎの多い部署)の人材育成

技術士の勉強会は頻繁に行われているのですが、1,2級土木2次検定の実地指導は全く行われていません。それどころか、結果のみ報告してくれ状態になっており、勉強会なんてないに等しいです。

また、注力部署(稼ぎの多い部署)の人材育成では、入社5年目以内の社員に対して、幹部連中(ステークホルダーOB)が指導者として基礎基本を研修するのですが、その際に出た質問や疑問には一切答えず、「直属の上司に聞け」もしくは「インターネットで調べろ」と、いわゆるやりっぱなし状態です。

開催頻度も月2回程度で、研修する日の1週間前にメールで連絡が来るのみ。ステークホルダーとの打合せがあり社員が参加できないと伝えると、「ステークホルダーの予定を変更してもらえ」や、「参加できなければ始末書だ」と脅されたこともありました。

その時は、さすがに反論して始末書からは逃れ、ステークホルダーとの打合せを優先したのですが、講師の幹部連中(ステークホルダーOB)は、いまだに自分がステークホルダーであり、自分が一番偉いと勘違いをされておられるようです。

こんな会社で働きたいと思いますか?

今回この記事を書こうと思った理由は、今の会社組織に嫌気がさしたからです。

皆さんの会社でも、不平不満は多々あると思います。利益を重視しつつも社会貢献ができれば一番いいことだと思いますが、今の世の中、そういった企業は少ないのではないでしょうか。

発注者支援は、あくまでステークホルダーのお手伝いであって、ステークホルダーから指示がなければ勝手には動けません。

こういった会社組織であなたは働きたいと思いますか?また、発注者支援はどうあるべきだとあなたは考えますか?ぜひコメント欄にてご意見をお待ちしています。

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