現場監督は「見て覚えろ」でできるほど簡単な仕事ではない【現場教育の心得】

現場監督は「見て覚えろ」でできるほど簡単な仕事ではない【現場教育の心得】

教育を受けていない”怖さ”

「新人が育たない…」「部下が全く仕事ができない」そう悩んでいる教育担当者も多いのではないでしょうか?

大工職を17年経験し、1年前からハウスメーカーの施工管理に転向した私。現場経験があるということで、就職してすぐに「放置プレイ」されたわけですが(笑)、ある程度の現場のことは心得ていたので、個人的には苦ではありませんでした。

しかし、やはりちゃんと教育を受けていないことが『怖い』と肌で感じた出来事もありました。現場経験があっても、施工管理は奥が深く難しいと感じるので、これが現場未経験の人となるとさらに大変なはずです。

施工管理は、「工程管理」「品質管理」「安全管理」「原価管理」「環境管理」の5大管理を主としている、まさに現場を指揮する最重要キーマンと言えます。新人現場監督たちを、それほどに重要な役割を果たす現場の指揮官へ成長させていくことは、一朝一夕では成し遂げられない大仕事です。

今回は、現場教育の一助になればと思い、教育する側の視点に立って、これは重要ではないか?と思われる基本的な心得を書いていきます。

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誰しも最初は「未経験者」

教育は未来への投資ですから、大切に丁寧に教育すれば、いつか必ず会社の利益となって還ってきます。アナタの育てた新人が、一人前の現場監督に成長した時には、責任を持って育てた側の功績も讃えられるでしょう。

しかし、激流の時代とあって、「一刻も早く戦力にしたい!」という思いが先行してしまい、短期で詰め込むような教育となってしまってはいませんか?

私たちが思っている以上に、教わっている側は理解できていないことが多いです。場合によっては、キャパオーバーを感じさせ、精神的に追い込んで萎縮させてしまっている可能性もあります。そうなってしまえば、結果として、その新人を雇うことが会社にとってはマイナスになる。つまり、教育を焦ることで得することはほとんどありません。

すぐに即戦力が欲しいのなら、お金を積んで優秀な人材を獲得するか、ヘッドハンターを使って自分の求める経験豊富な人材を紹介してもらうほうが、手っ取り早く会社の利益に繋げられるでしょう。

それでも、未経験者を教育する道を選択する会社の多くは、やはり「会社の存続」や「事業の発展」を視野に入れて会社運営に取り組まれているからだと思います。

施工管理者として大成するまでには5年、10年と長くかかるもの。すぐに頭角を現せる簡単な仕事内容ではありません。読者の皆さんも、自分が新人の頃はなかなか覚えられず、悩んだ時期もあったのではないでしょうか。

誰しも最初は未経験者です。今は経験がなくても、10年後には現場の先頭で指揮を取り、人を育て、会社を支える一人として成長している姿をイメージしながら教育過程を計画し、ひとつひとつのことを丁寧に、着実に、育てることが1番の近道だと思います。


できないのは部下のせいではない

この業界の現場教育では、部下を叱りつけるシーンは良くあります。部下が指示した通り動いてくれなかったり、ノロノロしていたりすると、ついつい言いたくなるものです。

「そんなこともわかんねーのか!」

「そんなこともできねーのか!」

本当によく聞く言葉です。この記事を読んでいる方の中にも、『部下に言ってしまったかも…』と思い当たる節がある方もいらっしゃるかもしれません。

私の経験から言うと、部下を怒鳴りつけて何かが解決することはまずありません。自分の思い通りにやってくれないもどかしさはわかりますが、その怒りを闇雲に相手にぶつけてしまっているならば、それは間違っています。

「そんなこともわかんねーのか!」 → わかるわけありません。ちゃんとアナタが教えてないのですから…。

「そんなこともできねーのか!」 → できるわけありません。アナタと経験値が違うのですから…。

結局、できないのは部下のせいではなく、ちゃんと教えてあげていない教育責任者のアナタの責任だと理解するべきです。ド単刀直入に言うと腹を立てる方もいらっしゃると思いますが(笑)、怒るべき相手は自分、勉強するべきはいつも自分なのです。

「伝わっていなかったんだな。俺に教える技術がなくてすまないな」と、再度、ちゃんと懇切丁寧に教えるほうが、かえって教育の効率は良くなると思います。

以前、施工の神様でも記事になっていましたが、「仕事は見て覚えろ!それでできないのはお前のせい!」と言わんばかりに、ある意味この業界の伝統的な教育法で教わってきた人も多いと思います。ですが、色々とルール化されてきている今の時代では、通用しない教育法なのでは?と感じています。

教育には、教える側の忍耐と技術、発想力や創意工夫が必要です。自分の教育の考え方が「これで本当に正しいのか?」「自分が新人だったらどう教えてもらいたいか?」ということを客観的に考え、整理し、見直してみてはいかがでしょうか。

あと、できた時は少しオーバーリアクションすぎるかなと思うくらいに、「ベタ褒め」することも忘れずに(笑)。

上司への不満はこうして生まれる

ここでさらに質問です。もし、部下が何か意見を出してきた時、アナタはどうしますか?

大抵、経験の浅い部下の出してくる意見は、非効率・非合理的ではないトンチンカンなことが多いのも事実です。それでも、部下の意見は却下しないことが重要です。

なぜなら、その部下は考えに考えて、自分の中で振り絞って意見を出してきてくれたことだからです。それを内容や考えも聞かず、秒で却下することは、上司への不満を生む「起爆剤」となり得ます。

会社の未来を考えた時、常識的な無難な意見では会社の成長はないでしょう。部下のトンチンカンな意見の中に、今までの常識を変える新しい発想が潜んでいるかもしれない、と考えるほうが社会人としては利口です。

部下の意見をちゃんと聞くことは無駄ではありません。忙しい時でも必ず耳を傾け、聞いてあげる姿勢を持ちましょう。その姿勢だけでも部下のやる気は変わります。やる気が変われば、成長スピードも変わり、次第に会社に活力が生まれます。

最後に。部下を持った上司は、部下の何倍もの苦労や悩みが付きまといます。教育においては、その苦労や悩む時間も全てが投資なので、焦らず、諦めず、腰を据えて、大きな心で部下を育てていくことが大切です。一緒に頑張りましょう!

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大工職から施工管理職へ転身。住宅ハウスメーカーにて、施工管理と外国人大工技能実習生の教育、現場メディアを担当している。
「施工管理に取り組む姿勢」や「施工管理は楽しい」を発信する。
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