阪神高速ドボジョシリーズ第2弾【入社7年目 安積さん】
阪神高速ドボジョシリーズの第2弾は、入社7年目の安積恭子さんだ。
安積さんは、「長大橋の設計をやりたい」という一心で阪神高速に入社したところ、念願通り、大阪湾岸西伸部で建設中の連続斜張橋の設計に配属されたラッキーガールだ。阪神高速という会社の魅力、働きやすさなどについて話してもらった。
建築物より橋梁の耐震のほうがおもしろそう
――土木に興味を持ったきっかけはどのようなものでしたか?
安積さん 大学に入学した当初は、建築志望でした。あることをきっかけに、耐震建築に非常に興味を持っていたからです。私が通っていた大学は、2年生になるときに土木、建築、船舶からやりたい分野を選ぶシステムでした。
1年生のときに分野を選ぶに際し、各分野のいろいろな先生から説明を受ける機会があったのですが、土木分野からは、長大橋の耐震設計について説明がありました。それを聞いて、「建築の耐震よりも橋梁の耐震のほうが、構造物の規模が大きいし、おもしろそうだな」と思いました。それで、志望を変えて、土木コースを選ぶことにしました。これが、私が土木を選んだ経緯になります。
――研究室も橋梁の耐震だったのですか?
安積さん そうですね。土木に興味を持つきっかけになった先生の研究室に入りました。主に構造物の耐荷力について学びました。最終的に、修士までその先生にお世話になりました。
長大橋の設計をやりたくて、阪神高速を選んだ
――就活はどのようなものでしたか?
安積さん 阪神高速か、ほかの高速道路会社さんかで迷いましたが、最後の判断は長大橋の建設に携わりたかったので、大阪湾岸道路西伸部で長大橋を建設する予定がある阪神高速を選びました。
――コンサルなどは考えなかったのですか?
安積さん コンサルさんや橋梁メーカーさんを考えたこともありましたが、長大橋の建設はもちろん、維持管理にも興味があったので、両方やるなら、やはり発注者だなと思って、阪神高速にしました。
なんとか工事発注につなげられた達成感
――最初の配属先はどこでしたか?
安積さん 大阪管理局保全部保全設計課です。橋梁の補修や構造改良、耐震など、維持管理に関する設計を担当しました。
――メンテナンスに関する仕事ということで、戸惑いなどはありませんでしたか?
安積さん 大学ではメンテナンスに関する勉強はほとんどしていなかったので、構造物の点検、診断といった部分については、ほぼイチから勉強したという感じでした。現場に足を運んで、損傷の具合などを確認しながら、仕事を覚えていきました。
――OJTで仕事を覚えていった感じでしたか?
安積さん そうですね。課長代理の方と一緒に行動しました。優しい方で、いろいろなことを教わりました。グループ会社やコンサルさんなどとも打ち合わせすることが多く、そういうことを繰り返しながら、自分の知識やノウハウを広げていった感じです。
――最初の職場で印象に残っている仕事はありますか?
安積さん 阿波座の大規模修繕事業の設計に関わったことです。先行事例がないということで、コンサルさんにいろいろな事例を聞いたり、自分でいろいろ調べたりしながら、仕事を前に進めていきました。なんとか工事発注にこぎつけられたということで、達成感がありました。最近になって、阿波座の現場を見る機会がありました。当時は大変でしたが、「頑張って良かったな」ということで、感慨深いものがありました。
――ツラかったことは?
安積さん 仕事を進める上で、社内外問わず協議事項、調整事項が非常に多いことです。都市高速ならではのことではありますが、なかなか自分が思う方向に話が進まないので、苦労しました。「そうくるとは思わなかった」みたいなことも少なくなかったです。
本社勤務で、視野が広がった
――その後のお仕事は?
安積さん 本社の保全交通部で、維持管理関係工事の予算づくりや予算管理といった業務を担当しました。マネジメント系の仕事ですね。たとえば、新しく保全系の事業をするといった場合に、上司などに説明して、最終的には社内全体の合意を得るといったことをしていました。維持管理系ということでは同じですが、現場からは離れてしまいました。
――楽しかったですか?
安積さん 楽しかったですよ。現場が見えにくいのはさびしかったですが、本社なので、事務系・施設系の方とか、土木以外のいろいろな方々とお話しする機会が増えたので、現場とはまた違うおもしろさがありました。一番良かったのは、会社上層部の方々のお話が聞けたことです。なんのために今の仕事をやっているのかが、明瞭になりました。この仕事を経験したおかげで、自分の視野が広がったので、良かったと思っています。
――ツラかったことは?
安積さん 仕事内容柄、年度末から年始にかけて、仕事の集中がスゴくて、時間的にシンドかったです。また、上司とひとことに言っても課長代理から役員までいるため、社内合意をとるのも大変でした。
念願叶って、長大橋の設計担当に
――現在はどのようなお仕事をしているのですか?
安積さん 2年ほど前から、大阪湾岸道路西伸部という神戸に新たに橋を架ける事業に携わっています。私が担当しているのは、六甲アイランドとポートアイランドをつなぐ長大橋の構造検討、設計検討で、コンサルさんと調整しながら、進めているところです。
――チームで動いているのですか?
安積さん 神戸建設部では、一つのプロジェクトをみんなでやる体制になっているので、課長代理をはじめ私を含めた4名の担当者のチームで主には動いています。これまでの職場と同様、私1人で動くということはありません。
西伸部の橋梁形式は、連続斜張橋が基本案となっています。現在は詳細な構造や形状などについて検討しているところです。風や地震などの外力に対して耐えられるようにするには、どこをどうするのが最適か、そこを詰めているということです。
――長大橋の設計に携わって、念願叶ったという感じですか?
安積さん そうですね、念願が叶った感じです(笑)。これまで経験した仕事では一番大変ですけど、最もやりがいを感じられているので、仕事が楽しいという点でも、一番です。
大変だけど「調整力」を身に付けて、また長大橋をやりたい
――なにが大変ですか?
安積さん 時間的なことも大変ですが、この連続斜張橋が日本にまだない形式なので、既存の設計や基準書に頼れないことが多々あるのが、スゴく大変です。普通の高架橋であれば、基本的には、基準書通りに設計を進めていきつつ、基準書を採用できない部分だけ工夫するというカタチでやっていると思うのですが、今回の連続斜張橋は基準書にはほぼ拠れないし、準用して良いかも判断が難しいというのが、実際のところです。
判断に悩む場合は、有識者の先生方にご意見を伺いながら進めています。ご意見を伺うには、主担当として、すべてを理解した上で、学術的にご説明する必要があります。その辺が非常に大変ですね。
――橋梁のデザインにも関わっているのですか?
安積さん 景観の検討にも関わっています。神戸はスゴくキレイな街並みなので、そこに新たな巨大構造物を建設するに当たっては、いろいろな方のご意見を聞きながら、橋が異物とならないよう検討を進めているところです。
――いずれまた他の部署へ異動することになると思いますが。
安積さん 個人的な思いとしては、できるだけ長くやりたいという思いはありますが、ジョブローテーションのある弊社として現実にはそれは難しいと考えています。
次どこに配属になるかはわかりませんが、自分のこれからのキャリアプランとしては、「外部との調整力」を身につけたいと思っています。同期の社員などと比べると、自分はその点で劣っていると感じているからです。調整力を身に付けた上で、再び今の仕事に戻って来れたら最高だな、と勝手に期待しています(笑)。
――長大橋をやりたいという社員はかなり多そうですけど。
安積さん 同期とか若手同士でおしゃべりすると、「良いな〜」と非常にうらやましがられます。でも、正直に言って、ゆずりたくないです(笑)。
――さっきお話のあった「外部との調整力」とはどういう能力なのでしょうか?
安積さん たとえば、阪神高速以外の方々と協議をする場合、どちらかの意見が通ったり、折衷案になったりすると思うのですが、こちらの意見を承認してもらうためには、社内の意見をとりまとめた上で、相手の必要とする内容を踏まえた資料づくりをしておく、といった戦略が必要だと思っています。そういう能力を身につけたいです。
居住地を変える必要がないので、働きやすい
――阪神高速の働きやすさはどうですか?
安積さん 私は働きやすいと思っています。最近若い社員が増えているので、どの職場にも私がしゃべりやすい年代の人がいます。上司も優しい方々が多いので、働きにくいと思ったことはあまりありません。
――阪神高速は基本的に引っ越しを伴う転勤がないので、働きやすいということは言えますか?
安積さん そうですね。私の実家は大阪市内で、今住んでいるところも大阪市内なので、基本的にはどこに異動しても、居住地を変えずにいけるのは、働きやすいと感じています。そもそも阪神高速を選ぶ上で、異動によって居住地を変える必要がないことは、大きな要因の一つでした。
――引っ越しするのはイヤですか?
安積さん 基本的にはイヤですね。引っ越しを上回るやりがいがあれば、大丈夫かなと考えたことはありますが、7年働いた今となっては、居住地が同じなのは、やっぱり働きやすいです。プライベート上のストレスがないのもあります。
――そういう社員さんは多いんですかね?
安積さん 非常に多いと思います。たとえば、学生さんと話をすると、「転勤がない会社が良い」という声を多く聞きます。とくに女性のそういった声は強いです。
ライフステージが変わっても、同じように仕事を続けたい
――今後のキャリアパスについてどうお考えですか?
安積さん 入社する前から、「結婚・出産後もずっと仕事を続けたい」という思いがありました。阪神高速ならそれができるということで、入社したようなところもあります。今後どうなるかはわかりませんが、ライフステージが変わっても、定年まで仕事を続けたいとは思っています。
――第一線でバリバリやり続けたいという感じですか?
安積さん 願わくは、今と同じように仕事をしていたいです。ただ、なにがなんでも第一線ということではなく、縁の下で支えるような仕事も楽しいと思いますので、間接的にでも関わっていければ良いなという希望は持っています。
生涯働きたい人にはオススメの会社
――最後に、土木を志す女子学生などに向けて、阪神高速をアピールしてください。
安積さん 弊社は、土木業界としては比較的女性が多い会社です。若い社員だけでなく、ベテランの女性社員もいます。男性が多い職場ではありますが、上司には優しい方々が多いので、働きやすさという意味では、業界でもトップレベルだと思っています。まあ、ほかの会社のことは知らないんですけどね(笑)。生涯働きたいという学生さんにとっては、オススメの会社です。