【衝撃】民間工事で「4週8休以上」は”たった8.6%”。建設業界の週休2日はいつ実現する?

進まない休日増、このままでは残業規制に間に合わない

建設業界でも、36協定の特別条項における残業の上限規制は2024年4月から適用され、働き方改革は待ったなしの状況にある。しかし、民間工事では依然として適正な工期が守られていない実態が明らかになった。このような働き方を続けていけば、建設業界に入職をためらう若手技術者も多いのではないかと思わせる調査が公表された。

国土交通省はこのほど、「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」を発表した。今回の調査は、民間工事全般における工期設定の状況や工期の変更などが行われた民間工事、適正工期の確保や生産性向上への取組みの実態を調べた。

※今回の調査は、2020年9月以降に請け負った主に民間工事が対象。有効回答は建設企業が1471社、発注者は42社だった。

工期は6割超が”妥当”と回答も「4週8休以上」は1割以下

注文者から提案された工期について、「妥当な工期の工事が多かった」と回答した建設企業は66.6%で、「短い工期の工事が多かった」は29.2%、「著しく短い工期の工事が多かった」は1.6%だった。だが、その一方で平均的な休日の取得状況については、「4週6休程度」が 44.1%で最も多く、「4週8休以上」はなんと8.6%にとどまっているのだ。

建設業界が2024年4月時点で目指している「4週8休以上」の道のりは想定以上に遠いことが明らかになったかたちだ。国土交通省は今後、調査結果について民間工事に対する施策の検討に役立てる方針だという。

工期設定において考慮すべき事項 / 出典:国土交通省「令和3年度工期に関する基準リーフレット」

二次以下の45%が「短工期」、工期の協議すら依頼できず

また、前述のとおり、注文者から提案された工期について、「(著しく)短い工期が多かった」との回答は、全体でみると約3割(30.8%)であるが、二次以降の請負階層ではその約1.5倍(44.9%)にものぼった。請負階層が下がるほど下請企業の立場が弱く、受発注者間の片務性が生じている可能性があると調査では指摘している。

適正な工期設定で重要な点は、かねてからの指摘通り、重層下請構造の改善だろう。元請が無理な指示を重ねていった結果、無理な工期も生まれ、仕事をこなすために無理な工期で作業を行う結果、大量の離職者が生まれることから、適正工期の重要性はまさに建設業界にとって一丁目一番地とも言える。しかしながら、実情は工期設定の際も、二次以下の下請企業では「注文者に協議は依頼しない」と「依頼しても応じてもらえない」が合わせて5割程度に達する。

全工程に共通する考慮すべき事項 / 国土交通省「令和3年度工期に関する基準リーフレット」

また、仮に協議を行った場合も、請負階層の低い企業は短い工期のまま工事を受注することが多く、注文者に対してなかなか意見を伝えることが出来ない状況が現行も続いている。契約面でも不利なことが多く、二次以下の下請企業の約6割が、契約の際、工程に影響を与える条件について「(あまり・ほとんど)明示されない」としている。請負階層が下がるにつれて、条件が不明瞭なまま契約を締結しており、厳しい条件での工事は続いている。

工期変更があった民間工事では、工期が変更された理由について、最も多かった回答が「関連工事との調整」(35.1%)だった。とくに下請企業ほどその傾向が強く、下請工事を含めた工事全体の工程管理を適切に行うことが求められている。工期変更後に「妥当な工期となった」割合は64.6%だったものの、二次以下の下請企業では、工期変更後に「(著しく)短い工期となった」とする回答が約半数もあり、全ての請負階層にとって十分な工期変更が行われていない可能性がある。この結果からみると、二次・三次と階層が下に行くほど無理な作業を行っている可能性が高いことがうかがえる。

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国の「工期に関する基準」の周知の徹底が課題

国土交通省は、建設工事の適正な工期の確保をするための基準を策定しているが、大規模企業や元請企業、公共工事に関わる企業には比較的周知が進んでいる傾向にある。反対に、下請企業や民間工事を主とする企業では、約6~7割が「内容がわからない」「そもそも知らない」と回答しており、これらの企業に対する周知が不十分と言える。

結果的に行き着く先は、注文者の理解である。適正工期の確保に向けて事業者が必要だと考えていることは、「適切な準備期間、工事条件についての注文者の理解」(76.0%)、「休日確保についての注文者の理解」(67.6%)との回答が多く、適正工期などに対する注文者の理解促進が必要不可欠であると言える。

全工程に共通する考慮すべき事項 / 国土交通省「令和3年度工期に関する基準リーフレット」

短工期設定の発注者は「小売、不動産、学校教育」

ちなみに、発注者を属性別にみると、工期設定について「(著しく)短い工期の工事が多かった」と回答した割合は、「小売」44.3%、「不動産業」38.4%、「学校教育」38.1%などが全体平均である26.0%よりも高かった。また、実際に取得できた休日については、「4週8休以上」と回答した割合は、「小売」が4.3%、「不動産業」が4.6%、「医療・福祉」が5.3%、「住宅メーカー」が5.6%などで、全体平均11.0%を下回っている。

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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