"たった数百円"で建設現場は劇的に変わる

“たった数百円”で建設現場は劇的に変わる

「危険な暑さ」が続いている今年。建設業界で働く人たちは、体力的にも精神的にも一番厳しい時期を過ごしているのではないだろうか。ここまで毎日暑いと、みんなイライラが溜まり、現場のあちこちで怒鳴り声が飛び交っている。

建設業では、こうしたイライラが事故に直結する。そこで私が推奨したいのが、数百円でできる小さな気遣いだ。この小さな気遣いを馬鹿にしてはならない。小さな気遣いの積み重ねが、現場を円滑に進める原動力になるのだ。

数百円で現場の雰囲気は変わる

明日からでも始められる小さな気遣いの典型的な例は、飲み物の差し入れだ。夏の暑い日、現場監督は飲み物を持って、「一息入れましょうよ。飲んでください。」と言えるかどうかで、現場の雰囲気は全然違ってくる。

飲み物は数百円で買えるし、熱中症対策として現場経費で購入できる現場も多い。たったこれだけの気遣いで現場の士気を高めることができるのだ。

たかが飲み物だと思われるかもしれないが、暑い日に飲み物を渡されて嫌な気分になる人はいないと思う。飲み物を渡すことでコミュニケーションも生まれ、現場での頼み事や相談などもしやすくなるだろう。

他にも、伐採業者が来た時は、「よかったら使ってください」と虫よけスプレーを渡すのも素敵な気遣いだ。こういった気遣いができる監督は、当然、人が寄ってくるよねって話だ。

これらの気遣いは、私も現場で日常的に行っている。見返りを求めるわけではないが、以前よりも職人との関係性が良くなったことは間違いない。

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気遣いができる現場は事故が少ない

私の知る限り、ピりついている現場のほうが事故が多い印象だ。イライラしている現場ほど、急いで事故が発生してしまうといったことが多いように感じる。

気遣いができる現場は、良い意味で緩い現場だ。ここでいう緩いは、緊張感のない現場という意味ではない。現場全員が周りに対して当たり前に気遣いができて、お互いの仕事がしやすい環境を作っている現場のことである。

「自分たちが良ければそれで良い」という考え方では、一向に良い現場は作れない。自分たちの作業環境、利益を優先するあまり、他の協力会社への配慮を怠るということは決してあってはならない。

現場の事故はこういったお互いの気遣いで減らせると、私は確信している。

小さな気遣いの積み重ね

最後にもう一度言うが、たった数百円で現場は劇的に変わる。

飲み物一つをとってもそうだ。数百円の気遣いができれば、現場の雰囲気も士気も高めることができる。気遣いに使われる経費をコストとして考える方も多いが、もっと他に削れるコストは存在するはずだ。

この猛暑日の中、熱中症対策として事前に経費計上しておけば、飲み物くらい想定内の支出のはずだ。飲み物や虫よけスプレーを渡すだけで、職人の士気も上がり、なおかつ自分の株も上がる。その支出を高いと捉えるかはその人次第だが、私にとっては十分安い買い物だ。

ただ、ここで補足しておきたいのは、なにも「無駄な出費をしろ」「お金を使え」と言っているわけではない。あくまでも無駄なコストはカットして、本当に意味のあることにお金を使ったほうが良いという提案だ。

現場の人がより良い仕事をしてもらうための飲み物代。これは無駄な経費ですか?と多くの人に問いたい。

若手のうちから、現場の雰囲気を良くするためにはどうすればいいのか、現場で働く人たちの職場環境を良くするためにはどうすればいいのか、そのために必要な経費ってなんだろう?というところにも、ぜひ着目してもらいたい。

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