談合の代償はデカい。一度の過ちが人生を狂わせる

談合の代償はデカい。一度の過ちが人生を狂わせる

60日間もコンサル登録停止に。談合の代償はデカい

先日、談合事件で社員2名が有罪となったことを受け、パシフィックコンサルタンツ株式会社の建設コンサルタント登録が60日間停止されるというニュースを目にした。

建設コンサルタント登録が停止されると、多くの発注機関で入札に参加できなくなる。国交省をはじめ、自治体においても、建設コンサルタント登録が入札参加の条件になっていることが多いからだ。

会社にとっては死活問題になりかねない。当然、業績に与える影響は大きい。それほど、談合による代償はデカいのだ。

建設コンサルタント会社が行う業務のほとんどは、官公庁から発注されるため、登録が停止されると業務を受注できなくなる。建設コンサルタント登録を前提としない発注機関からの業務であれば受注可能だが、それほど多くはないだろう。

工事に置き換えれば、建設業許可を停止されるようなものだ。停止されたら死活問題となることは、容易に想像できるだろう。

過去には1年もの登録停止を受けた例も

建設コンサルタント登録停止の期間は、有罪判決を受けた社員の立場によって異なる。一般社員の場合は60日間、代表権のない役員の場合は120日間、代表権のある役員の場合は1年間となっている。

過去には、代表取締役社長が有罪判決を受けたことにより、1年間も登録停止になった建設コンサルタント会社もある。

この会社の場合は、発注機関の事務所長に対し、建設コンサルタント会社の社長が特定の施工業者を排除するよう進言したことが背景にあった。この事例では、代表取締役社長が有罪判決を受けたため、規定により、1年間の建設コンサルタント登録が停止されることとなった。

自分がもし1年間入札に参加できなくなったら

皆さんは、1年間も入札に参加できなくなるという事態を想像したことがあるだろうか。私はそのような状況を一切考えたことがなかったため、今回のニュースを受けて、イチ社員の立場で自分なりに想像してみることにした。

正直、「仕事しなくていいなら暇になる!ラッキー!」という軽い考えが初めに出てきたが、同時に、「会社にとっては経営継続できるかどうかの瀬戸際になるのだから、希望退職者募集やリストラが起こるかもしれない…」と若干の不安もよぎった。

会社に仕事が入ってこないということは、私たちの仕事もなくなるということだ。会社も社員の給与が払えなくなるかもしれないし、給与がもらえなければ私たちは生活もできなくなる。路頭に迷うことになる。そんな怖い未来は御免だ。

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法令順守は大前提。そのうえで誠実な業務遂行が求められる

言うまでもなく、法令遵守は大前提だ。談合などもってのほかである。当たり前のことだが、法を遵守したうえで手続きを踏むことが必要だ。

かつては、談合によって受注者が決まることも多々あった。それは時代背景によるものもあっただろうし、そうせざるを得ない状況もあったと聞いたことがある。

一方で、談合は競争性を低下させるデメリットもある。技術レベルは向上するかもしれないが、会社としての競争力が低下し、ひいては経営努力を怠ることにもつながりかねない。

そうなると、いざ景気が悪化したときに耐えられない会社が出てくる。不景気になった時、倒れた会社がたくさんあったそうだが、それは経営努力を怠った結果、という側面もあるのではないかと考えている。

きちんと法令を遵守し、誠実な業務遂行を心掛けている会社が生き残る環境づくりが大事である。誠実な者がバカを見る世の中であってはいけない。コツコツと前向きに努力できる会社が輝ける業界であってほしい。

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大手建設会社に勤務する30代の建設技術者。 工事費1000億円超の現場で、計画・設計等を担当しています。
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