建設業界で働き始めて5年以上が経つが、振り返れば色々な人に出会ってきた。
中でも、今でも忘れられない“強烈に印象に残っている人”がいる。
騒音や振動をやたらと心配する家主
既設のブロック塀を撤去して、特殊な檜材を使った外壁の役割となるものを設置する工事を予定していたときのこと。
その中の既設ブロック塀の撤去と床掘りを請け負っていたのだが、工事前の現場下見に行くたびに、施工現場の前に住む家主が、とにかく私たちのところに来ては騒音や振動の心配をしていた。
私は事前に十分な説明をしておいたほうが良いと思い、工事の気になる点や疑問点を何度も伺った。
だが、いざとなると「今は大丈夫」と、何も言ってはこなかった。
しかし、この家主が、実はとんでもないクレーマーだった。
家主が現場事務所に駆け込んできた
工事の準備も終わり、本格的な作業が始まってから1週間。例の家主が、モノスゴい形相で現場事務所に駆け込んできた。
話によれば、「工事の振動で倒れた庭の置物が、家の車に落下し、車が凹んだ!」と言うのだ。
工事現場から家までは5mくらいの距離なので、ありえないことはない。とにかく状況を確認するため、私は車のもとへ急いだ。
駐車場にとめていたBMWのフロント部分は、確かに大きく凹んでいる。
しかし、私は素直に納得することができなかった。
振動を伴うペッカー機などで作業を行なっていたのであれば、確かに話は分かるのだが、私たちがこの1週間で行なっていたのは、塀の撤去・積み込み・床掘作業である。
もちろん塀の撤去時に振動が発生する可能性もあるが、周辺が土だったので塀を取り壊したときの衝撃は吸収され、現場で作業を行っていた私ですら振動や音はほとんど感じなかったからだ。
そのことを伝えると、家主は大激怒し、車の修理代金を請求してきた。
これ以上のトラブルを避けるため、私も仕方なく会社に掛け合い、家主に修理代金の請求書を出してもらうように頼んだ。
3日後、請求書を見た私は唖然とした・・・。
んなアホな!車の修理代金100万円
請求書には、車の修理代金が“100万円”とだけ書かれていた。
明細などは一切記載がない。あまりにもヒドいと思った私は、家主に修理代金の内訳を教えてくれと頼んだ。
しかし、家主は頑なに「車の修理代」としか言わない。
かなり悪質だったので、実際にその修理屋に確認させてくれと強気で懇願すると、最終的には10万円の請求に収まったのだった(笑)。
しかも、あとで分かったことだが、驚くことに過去にも同じようなトラブルがあり、別の業者は100万円を支払ったという話を近所の方から聞いた。
ということは、今回の件はわざとじゃないか?と疑ったが、これ以上めんどくさくなることを避けるため、家主には10万円を支払った。
隣人極悪クレーマーから学んだこと
私はこの事件以来、近隣の方の観察をかなり行うようにしている。
挨拶をしたときの返し方、工事に対しての敏感な反応などをチェックし、少しでも気になる方がいれば、こちらから工事概要を詳しく説明・案内をするようにしている。
そして、家の配置や現況確認の写真は、必ず前もって撮影を行い、トラブルになった際にすぐに提示できる準備も行なっている。
ここまですれば、滅多にトラブルは起きないのだが、ごく稀に、とんでもない言いがかりをつけてくる人も中にはいる。
ただ、私が出会った中では、100万円が過去最高の請求額である(笑)。
施工管理技士をしている以上、クレーム処理も仕事の一環となる。たまに、頭に血が上りそうになることもあるが、冷静に相手を諭すように対処していくことが一番解決に向かう近道である。
まあ、ある意味、このクレームの処理も慣れてくれば、面白いと思えるようになってくる・・・はず。
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