以前に比べると、働き方改革などで古臭い風習やブラックな環境というのは、そこまで気にならなくなってきた。
とはいえ、いまだに周りに仕事を押し付け、当の本人はまったく仕事をしない人間もいる。自分がやらず、人を使うというのも立派な仕事なので否定はしないが、なかには驚くべき人間も存在する。
数年前に入っていた現場で、こんな「お飾り役員」と出会ったことがある。
下請け会社の2代目は「お飾り役員」
たまに現場に来ては、コーヒーを飲んで帰っていく、下請け会社の専務だ。
その専務は下請け会社の2代目で、親が作った土台でそのまま幹部になり、経営をしているという印象だった。
そんな彼の仕事は挨拶回り。現場の仕事内容は全く理解しておらず、従業員との間には大きな溝があった。
ある日、現場責任者がポロッと本音を漏らした。
「現場にも来ずに1日中遊んで、たまに現場に来ては好き勝手言うんだから、良いご身分だね。本当。」
その言葉が気になった私は、少し踏み込んで話を聞いてみると、いくつもの問題点が見えてきた。
“人材探し”という名の海外旅行
最近では現場でも増えてきた外国人労働者。人材不足と言われる建設業界では、彼らの労働力は貴重なため、外国人労働者を雇用している下請けも多い。
この2代目は、”人材探し”という名目で月に1回海外出張に行っているそうだ。
しかし、渡航のわりには人材が入ってきておらず、帰国して一目で遊んで帰ってきたなというのが分かるのだという。大量の私物のショッピング袋、飲食店の領収書、とてもじゃないが人材探しをしてきた気配はない。
現場に出ることもなく、旅行感覚で出張に行くことに、従業員の不満も溜まっている様子だった。
平気で突拍子もないことを言う
そんな2代目は、たまに現場に現れては、突拍子もないことを言うそうだ。
ある日、構造物の床掘中に岩盤が出てきて、掘削の方法に頭を悩ませていた。フラッと現場に現れた2代目は、自信満々な顔をしてこう言い放ったという。
「ペッカーでたたけば問題ないでしょう。」
現場で作業している人間からすれば、明らかな硬岩をいくらペッカーでたたこうと白い粉しか出ないことなんて分かりきったことだ。
現場経験がないことがどれだけこの業界にとって致命傷なのか、お気楽な2代目はまったく分かっていない。
最低限の仕事はしてくれ!
会社は経営者の自由だという意見もあるかもしれない。しかし、私は「自由だが責任はある」と思っている。
旗揚げをしたのは社長であるから、文句があるのならば社員が去るしか選択肢はない。しかし、人を雇うという責任が同時に発生していることを忘れてはならない。
現場で一緒に作業をする必要はないが、自分の会社が今どのような工事を受注してどのような状態なのかを把握し、問題があれば、従業員が円滑に仕事ができるように改善するのが経営者たちの仕事であり、責務だ。
建設業界はこの2代目のように殿様商売な経営者を多く見かける。はっきりと言えることは、そんな会社は今後絶対に生き残れないということだ。
この業界で生き残るためには、常に現場や業界の情報にはアンテナを張っておかなければならない。これから建設業界で経営を担っていきたいと考えている人は、ダメな経営者を反面教師にして、きちんと会社の経営に向き合うべきだ。
「施工管理求人ナビ」では施工管理の求人を広く扱っています。転職活動もサポートしていますので、気になる方はぜひ一度ご相談ください。
⇒最新の施工管理の求人を見てみる