悲惨な現場での経験
昔、ほんの3か月ほどの短期間だったが、どうしても!と言われ、あまり深く考えずに入った現場がある。その現場はそれまで全く付き合いのなかった小規模のゼネコンで、施工管理の仕事を任されたのだが、それはもう悲惨な現場だった。
その現場での経験は信じられないようなことの連続で、いかにまともな業者に依頼して常識ある職人が仕事をしないと、どれほど滅茶苦茶な工事になってしまうかを身をもって体感した現場だった。
人づてに聞いた話では、私が去った1年ほど後にそのゼネコンは倒産したらしい。あれじゃ倒産するよな…と納得してしまった。
今となっては、そのゼネコンで滅茶苦茶な施工の実態を目にして体験したことは、反面教師として大いに役立っているのかも知れない!
工事の内容は、あまりに悲惨だったのでここで書くのは控えるが、その現場での経験が私の教訓なってることは事実だ。
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施工管理に必要な能力
現場では、たとえ間違いじゃなくても、結果的にうまく施工できないことはある。それは、建築の基本である鉄筋、型枠、生コン打設時にもたくさん起きることだ。
実際に作業をする職人に関連する部分も大きいが、作業する職人の実力や彼らが持ってる職人としての常識のレベルを見極め、どこまでどんな指示を出さなきゃいけないのか、施工管理者の判断によるところが極めて大きい。
図面は完成形が描かれているに過ぎない。プラモデルのような綿密な作業の手順が描かれていればいいのだが、そんなことはどこにも描かれていない。
施工する側、主に施工管理者の知恵と経験により、工事の手順が決められているに過ぎず、その決められた手順を現場の作業を担当する各業者の親方や職長に伝え、彼らから実際に作業をする職人達に伝えられて工事が進む。
だが、指示を受け取る側の職人の質もピンキリなので、1つの情報からどこまでポイントを汲み取れるかは、人によってかなり差が出る。
例えば、一番基本的な鉄筋の配筋作業にしても、どこまで鉄筋を正確に組もうとしているか?その正確性は職人によって微妙に違ってくる。
主筋からはじまって、主筋を取り囲むフープ筋、スターラップ筋のピッチだけでも一定の距離の中に何本それらの帯筋、あばら筋が入っているか?だけに注目するのではなく、どれくらい正確に目印が付いていて、その目印に沿ってどれくらい正確に巻かれているか?
それらの配筋のピッチや規定は図面には細かく規定されているが、それぞれの余長や交互にする等の配置にどれくらい神経を使っているか?
現場には、これらを常識としてわきまえている職人と、そうでない職人がいる。現場を見ながら職人の実力や常識のレベルを把握するのも、施工管理者に必要な能力だ。
建築の品質を決める要素
過去の経験から学んだことがもう1つ。
工事には当然予算があり、それに従い現場の実行予算が組まれているわけで、その予算内で作業を請け負ってくれる業者を探すわけだが、同じ作業でも業者により価格が違うのは、作業員の人件費の差が大きい。
職人の質によって価格に差が出るということは、契約前の選択が建築の品質にも影響してくるということだ。つまり、価格を下げた結果、品質は目をつぶらなきゃいけないことも多くなる。
現場の業者を決定するのに価格だけで判断し、最安値の業者ばかりで組み合わせられた工事現場は、悲惨な結果になる。
そんな現場では、どんな優秀な施工管理者がいても、職人達は言った通りに動かず、指示を守らず、仕事そのものもいい加減になる。そもそも、まともな仕事の教育さえ受けていない職人も多い。
そんな環境では当然、安全への配慮も疎かになり、事故も起きやすい。建築の品質は、施工管理者の技量だけでなく、価格によって左右されることも大いにある。建築の良し悪しを施工管理ばかりに負わせるのは間違っている。
失敗してもごまかすな
悲惨だった過去の現場の経験から、お金をケチったり、現場での作業をごまかすとロクなことにはならず、その影響が色々なことに影響し、大きくなり、ドンドン悪い方向に進むことを痛感した。
だからこそ、ちゃんとやらないとああなっちゃうぞ!という思いが、私の潜在意識の中に深く擦り込まれているのかもしれない。
ごまかすと本当にロクなことにならない!これは本当に本当に本当だ!
何かしらの失敗をしたら素直に非を認め、謝り、二度と同じ過ちを繰り返さないよう、その失敗を教訓にすることが現場の成功、自分の成長につながる。
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