設計変更における「タブー」。設計変更と建設技術者の給与の関係とは?

工事の設計変更業務はつらいけど、やっちゃいけないこと

工事において避けては通れないのが「設計変更」。工事が当初の設計通りに最初から最後までいくことは稀で、コンクリートのボリュームが大きく増えたり減ったり、工期が変わったりします。

さらに条件変更によって構造物そのものが変わったり、工事が追加になったり、様々な原因で「設計変更」が起こります。

そうなると、設計変更のために設計作業をし、図面を作成し、数量を拾い出し、工事費を算出します。場合によっては、構造計算が絡んだり、耐震検討をしなければならなくなったり、などなどいろいろな仕事が出てきます。

私もこれまでに複数の現場で、設計変更やその補助業務をしてきました。そんな中で1つだけ、とても痛感している、設計変更でやってはいけないことがあります。

設計変更の費用を要求しないと、建設技術者の安売りになる

設計変更で絶対やってはいけないこと、それは「かかった費用を要求しないこと」です。これはやっちゃいけません。間違いなく。

「当たり前だ!」と思う人もいるかもしれませんが、実際問題、なあなあになって設計変更に伴う費用を要求しない場面を、私は何度か目撃してきました。その担当者からすれば、ここは目をつぶって別の工事やプロジェクトで回収しようと思っているかもしれません。けど、あとで回収できる保証はありません。むしろ「前回も目をつぶってくれたんだから、今回も目をつぶってくれよ、頼むよ」となるほうが多かったです。少なくとも私はその場面に何度も遭遇してきました。

なぜ、これをやっちゃいけないかというと、私たち建設技術者の報酬がアップしなくなるからです。というより、下がっていくんじゃないか?とさえ思っているからです。

設計変更にかかった分を請求しない、安くしてしまうということは、自分たちで自分たちを安物扱いしているのと同じこと。だから設計変更にかかった工事費はきちんと請求すべきなんです。

設計変更で図面を作り、数量計算書をまとめるのも無料じゃない!

私は、いくつかの現場勤務を経て、今は工務やCADオペ、設計変更の仕事をしています。設計変更の仕事は工事ごとに様々なストーリーがありますが、この現場は様々な工種があり、設計変更にかこつけてアレヤコレヤと言ってくる人がいます。

図面や数量に飽き足らず、特記仕様書の作成を要求したり。本来発注者が作るべき発注図の作成をするよう指示してきたり。明日までの期限だとわかっているにもかかわらず、数日かかる仕事を押し込んできて、これも明日までね、と言ってきたり。その割には、「大目に見てよ」と、暗に請求費用を安くする、もしくは請求しないようにアプローチしてきたり。などなど列挙すればキリがないです。

が、これらは工事を進める上で必要不可欠なのでやるべきなのですが、「かかった費用を要求しないこと」だけはやっちゃいけません。

たかが図面一枚作るにしてもタダではなく、人が動くわけですから費用が発生します。その分もきちんと工事費として、もしくは設計費として請求すべきなのです。

工事の設計変更では、ゼネコン側が提示した工事費を発注者に認めてもらうことが必要です。そのために、図面を作ったり数量計算書をまとめたり、業者から見積もりを取ったり、などなどいろいろな手間暇がかかります。時間だって使います。

それらは無料ではありません。お金がかかっているんです。かかった分は請求すべきです。それによって、私たち建設技術者がもたらしている価値を認識してもらえることにつながり、自分たち建設技術者を安物扱いすることも無くなります。かかった費用はきちんと請求しましょう!

あ、もちろんですが、不当に高くすることはあっちゃダメですよ。

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大手建設会社に勤務する30代の建設技術者。 工事費1000億円超の現場で、計画・設計等を担当しています。
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