建築工事の製作図に関するトラブルとチェックポイント
仕上げの図面チェックが大変なのは、平面詳細図の後に待っている大量の製作図のチェックがあるからではないでしょうか。
各仕上げ物に対してそれぞれ受け持ちの製作会社が図面を起こしてくるので、図面の枚数は相当なものになります。その代表的なのがサッシ図や金物図、家具や住設の図面などでしょう。
今回は、製作図にまつわる現場でありがちなトラブルと、私がいつも心掛けている方法を共有させていただきます。
製作図は誰のために書くのか?
まずは、製作図は一体誰のために書いているのでしょうか?
- 施主のため?
- 設計者のため?
- 現場のため?
- 自分たち(製作会社)のため?
賛否両論あると思いますが、結論を言うと「自分たち(製作会社)のため」という部分は否定できないと思います。最終的には自分たちが承認された図面をもとに製品を製作するためのものなので、自分たちが見やすく間違いが起こらない図面であるべきです。
中には、製作図をもとに加工図をおこす会社もたくさんありますが、製作図が製作会社にとっての設計図である事は間違いありません。
現場でよく見かける製作図のトラブルとは?
製作図に関して私が現場でよく見かけるトラブルの主な原因の1つに「分業制で製作図をチェックする」というパターンがあります。サッシ図はAさん、家具図はBさんのように分担しやすいのが製作図の特徴です。しかし、逆に複数の人間でチェックを行うことでトラブルが生まれるのです。
私が見かけるトラブルのパターンは大きく2つ。
1つは、取り合い部分の納まりが決定せずに、いつまで経っても保留のままの状態。
もう1つは、取り合い部分の納まりをチェックする人間の都合の良いように納めてしまうという問題。
どちらも、チェックする人同士のコミュニケーション不足であることは間違いないのですが、一方は現場が切羽詰まるまで進まないし、一方は現場の切羽詰まる時になってトラブルが発覚して、手戻り作業が発生してしまう可能性が非常に高いのです。
現場監督の橋渡し
そこで私がいつも心掛けているのが、製作図の廻りの取り合い部分を製作図に書き込むことです。
先ほどあげたトラブルの起こっている図面を実際に見ると、製作図に製作会社の施工部分しか記載されていない図面であることが多かったのです。つまり、自分の商品だけしか記載されていない図面が意外に多いのです。
さらに、廻りの取り合い部分が記載されていたとしても、自分の担当でないため適当にしかチェックをしてなかったり、そもそもチェックすらしていない事もあるのです。
だから、取り合い部分については、異なる担当者間で一番はじめに一緒に確認して、納まりを決定してからお互いのチェックを始めるようにしています。すると、取り合い部分の納まりが保留になりっ放しということもありませんし、それぞれが勝手に納まりを考えるということもないので、トラブルの数が圧倒的に減るのです。
私たち現場監督の仕事の中には、製作会社と現場、現場の職員同士の橋渡しをする役目もあるのではないでしょうか?
製作図に関しては、現場が忙しくなってからチェックが始まるケースが多いので、どうしてもコミュニケーションが薄くなりがちです。みなさんの現場ではいかがでしょうか?