施工業者が嫌う「岩だらけの法面掘削」をいかに攻略すべきか?

施工業者が嫌う「岩だらけの法面掘削」をいかに攻略すべきか?

施工業者が嫌う「岩だらけの法面掘削」をどう攻略すべきか?

大量の岩が出る法面土工の掘削工事「攻略法」

法面土工の掘削工事では、思い通りに作業が進むことは、ほぼありません。特に頭を捻らなければいけないのが、岩ばかり出てくる山地での掘削作業です。

私の感覚では、岩が大量に出てくる現場の掘削作業は、普通の掘削と比べて、2倍ほど工程に遅れが出てきます。ペッカやブレーカーで簡単に割れる岩ならまだマシですが、削岩機やセリヤなどを使わないと割れない石が大量に出てくると、工程通りに作業を進めることは非常に困難です。

実際に私も、法面土工の掘削工事で予定よりも多くの岩が出てしまい、工程や作業方法を変更するために、たくさんの時間を取られたことがあります。その工事では、当初予定していた純利益を大幅に減少させてしまいました。今回はそこで学んだ教訓をもとに、掘削工事で岩だらけの現場に直面した際の、私なりの「攻略法」を伝授したいと思います。


難しい法面掘削工事では「建設機械を増やす」

岩だらけの現場で土工掘削する場合、工程通りに作業を進めるためには、非常に単純なことですが、使用する建設機械を増やすことが、一番重要になってきます。そして、岩ばかり出てくる現場での掘削作業では、ペッカ付きのバックホーが必要不可欠です。

それに加えて、掘削作業では、残土積込のための機械やテイラーなども用意する必要があるわけですが、岩が大量に出る山では、掘削用機械を最低でも2台は準備することをお薦めします。

なぜなら、付け替えの時間の手間を考えた場合、明らかに使用目的ごとに建設機械を分けて用意していたほうが作業効率は良いからです。

岩が出るたびにバックホーのバケツをペッカに付け替えて、掘削の際にまたバケツに戻して・・・と繰り返していては、作業効率が上がるわけがありません。

作業に難がある掘削現場では、必要最低限の無駄を減らすことが一番の攻略法です。リースしてでも普段よりも多くの建設機械を揃えておくことが、利益を出す肝になってきます。


法面掘削工事では「岩の種類を見極める」

全ての現場でとは言いませんが、大体の法面掘削の現場では、同じ種類の岩が出ることがほとんどです。なので、ペッカで1つの岩が割れれば、他の岩も同様に割れてくれます。逆にいくらペッカで叩いても割れないような岩が1個でも出てくると、その現場で出てくる他の岩も硬くて割れないことが多い、というわけです。

いくらペッカで叩いても割れない石を、いつまでも割ろうとしても、掘削作業は前進しません。そういった時は、施工を一旦止めて、担当の役所の人間と協議することが先決です。役所の人間も工期がギリギリになることを一番恐れています。したがって、岩の掘削だけで莫大の施工時間を費やす可能性があることを伝えれば、施工方法の変更や計画の見直しを一緒に考えてくれます。

早い段階で見直しを行うことは非常に重要であり、ダメだと思った時には、きっぱり諦めて役所に相談することが大切です。そのためにも、早期に岩の種類を見極めましょう。


法面掘削工事では「軟岩は細かく砕いておく」

軟岩と呼ばれる、軟らかく割れやすい岩は、出来る限り小さく砕いておくのがお薦めです。

掘削工事で岩が出てきて、一番困るのがその処分です。大きな岩は残土と一緒に処分することが出来ないので、別に分けておいて岩だけで処分しなければなりません。

岩を細かく砕いておけば、多少残土に混ぜて処分しても、引き取ってくれる処分場がほとんどです。割る作業は面倒かもしれませんが、後の処分の事を考えると割っておいた方がスムーズに処理作業が進みます。

また細かい事を言うと、テイラーやダンプで残土をダンプする時にも、岩が大きすぎると鋼板に引っかかってしまい、手間が増えてしまうので、小さくしておいてそのままダンプできる状態にしておくと作業効率も上がります。


施工業者が嫌う岩だらけの法面掘削

法面土工では、岩だらけの山というのは本当に難しいので、多くの施工業者が嫌う現場でもあります。

施工管理者は施工前にあらかじめ出るであろう岩のm3数などを把握して、適切な施工が出来るように十分な配慮と準備をする必要があります。

私は、岩だらけの現場では、とにかく多めの重機を用意することを一番に心掛けています。

なぜなら、施工管理者が一番やってはいけないのは、施工者が「あれがあれば楽だったのに」と思ってしまうような状況にしてしまうことだからです。

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大学卒業後に一度、建築商材会社に就職するも、その後、現場に立ちたいという想いから、建設会社に転職。 これまでに道路舗装や下水道、解体などの工事に携わってきたが、今は急傾斜地区崩壊対策事業の測量や施工を主に担当している。
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