測量間違い?捨てコンクリートより現状地盤のレベルが高い!
「監督さん、何かレベル100mm出し間違っていない?」
「監督さん、捨てコンクリートのレベルより現状地盤の方が高くなっているよ」
朝礼が終わるなり、ある作業員さんが私(現場監督)に向かって、こう言ってきたのである。
私は「そんなことないでしょ」と思いながらも、現状地盤を測量し直しました。
すると、確かにレベルが高いので、「本当に測量間違いなのだろうか?」と自分でも半信半疑のまま、正しいレベルを現場に出し直しました・・・。
捨てコンクリート打設で、地下水を遮断
現場の状況は、境界付近における機械式駐車場ピットの掘削工事の真っ最中。
この現場はピットの外壁面と境界面が250mmしか離れていなかったので、山留めの方法も限定されるため、シートパイル1などの根入れを深く入れる工法は採用できませんでした。
しかも、地下水位が高い土地で、もしかすると地下水の通り道だったのか、かなりの地下水が湧き出ていました。
そのため当初の計画では、全て掘削を掘り終えてから、捨てコンクリートを一気に打設しようとしていたのを急きょ計画変更。毎日、掘削を完了させた部分に捨てコンクリートを打設して、地下水を遮断しようとしていたのです。
盤膨れに「捨てコンクリート打設」で対応
数時間後、現場を覗いた時にふと今朝の出来事が気になって、現場で作業している作業員さんと掘削地盤のレベルをもう一度確認することにしました。
すると驚くべきことに、掘削完了後2時間くらいで、地盤が50mmも上がっていたのです。
「マズイ!盤膨れが起こっている!」
私は頭の中で、対策方法を色々考えました。施工管理者の皆さんの中には、「最適解は他にあるんじゃないの?」と考える方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、当時の私が思いついた対処方法は「捨てコンクリートを厚く打設して、重量で押さえつける」という方法でした。
この「捨てコンクリートの厚みを変更する」という案は、以前の現場の所長が雑談の中でポロッと話していた内容がヒントになったのです。
その現場所長との雑談の内容は「捨てコンクリートも150mmくらい山留めまでしっかり当てて打設すると、切梁のかわりになるんだよ」というものでした。
当然、切梁の荷重の受け持つ方向と、今回の地面下からの盤膨れを押さえるのでは全く方向違いだと言うことは分かっていたのですが、何しろ時間がありません。
放っておくと最悪の場合、山留壁の崩壊が起こってしまいます。
盤膨れの恐怖
そこで、私は設計事務所に電話をして事情を説明して、砕石150mm+捨てコンクリート50mmの構成を、捨てコンクリート200mmに変更させてもらって、実際に打設に踏み切りました。
そして次の朝。
恐る恐るレベルを確認すると、正規のレベルでした。つまり、盤膨れはおさまっていたのです。
ホッと胸をなでおろした瞬間でした。
盤膨れの恐怖は、もう味わいたくないものです。
※「施工の神様」編集部では、建設現場での体験談や失敗談などの原稿を広く募集しています。ぜひ、お気軽にご寄稿ください。
原稿募集の詳細はこちら→https://sekokan-navi.jp/magazine/writer_recruit