「真っ赤な図面と数量計算書」災害復旧査定業務で、失敗しないための2つのポイント

「真っ赤な図面と数量計算書」災害復旧査定業務で、失敗しないための2つのポイント

災害復旧工事の仕事で失敗しない方法

毎年どこかで大きな災害が起きています。豪雨災害は、大規模な災害が必ずどこかで発生していますし、雪害や地震もあります。

そうなると、調査測量、設計、工事の各段階で仕事が出て、一気にあわただしくなります。

私はこれまで、豪雨や地震の災害復旧工事の仕事をいくつか経験してきました。その中には失敗もありました。今振り返ると、その失敗が10年くらいたった今も役立っています。

特に、2つの点で、とても役立っていて、なおかつこの2点に気をつけていれば、災害復旧工事で失敗しないだろうと認識しています。

地震災害査定業務の成果品をどのようにまとめるか?

ある地域の地震災害査定業務でのこと。

地震発生後すぐに、私は職場の上司から指示を受け、ある建設コンサルタント会社に向かいました。そこで、地震災害復旧査定の業務について、どの会社がどの箇所の、どの構造物の復旧査定を担当するか、の割振りが指示されました。

このときは、その地域の建設コンサルタント会社を総動員して、業務を進めることになっていました。ただ、気になったことが・・・。

成果物をどのようにまとめて、いつまでに提出すればいいのか、の指示がなかったのです。ただ、様式としてはおおまかに「こういうふうにまとめましょう」と、幹事会社から提示はありました。

なので私は、それを参考にしつつ、当該発注機関の他の仕事と同じように取りまとめました。図面を作り、数量計算書にまとめ、そして発注機関に持っていきました。


発注機関のチェックで、図面や数量計算書は「真っ赤」

すると、発注機関から、ダメ出しの連続。あーじゃない、こーじゃない、ばっかり言われ、赤ペン先生のチェックのごとく、図面や数量計算書が真っ赤になってしまいました。

ことここに至って、発注者から「この資料と同じようにまとめて欲しい」という指示がありました。過去に起きた災害査定の資料です。

その手直しにかなりの手間暇が取られてしまい、予定していたよりも大きく遅れて成果物を提出せざるを得なくなりました。その間にも、手戻りが幾度も発生し、追加で設計を指示されたものも数多くありました。

結果として、最初の打合せはなんだったのか、わからなくなる始末。最初に決めたはずの形は、跡形もなく消え去っていたのです。

これは最初にアウトラインを決めず、それを聞きもせず、確認もしなかった私のミスでした。何をいつまでにどのようにまとめるのかを最初に決める、基本方針を一番最初に決める、ということが地震災害査定業務では重要です。当たり前のことであり、どこでも注意している事だと思いますが、意外と徹底されていない盲点です。

災害査定業務は「スピード最優先」の仕事

前述の災害だけではなく、どの災害査定業務でも重視することを求められるのが、スピードです。私の経験した災害復旧工事では、正確性よりもスピードに重きをおいていました。

当初、私は正確にやろうと思って、スピードはさほど重視してませんでした。しかし、発注機関の担当者から「正確性よりもスピードを優先して欲しい。すぐに予算を把握しないといけないから」と言われました。

私が「それだと間違いが起きやすくなってしまいますよ」と答えたところ、発注担当者からは「多少間違いがあっても構わない。後で直せる。それよりも今は時間がないから、できるだけ早くやってほしい」と言われました。

このやり取りは、「災害復旧査定は、何のためにやるのか」を考える、良いきっかけとなりました。

緊急事態の時こそ、当たり前のことを当たり前にできるように

以上の2点は、当たり前のことでもあります。けれど、当たり前だからといっておろそかにすることが多く見受けられます。

当たり前のことを普段から心がけていると、いざというときも、すぐに的確に対応できるようになります。

「いつまでに、成果品を、どのようにまとめるか?」を最初に決める、「スピード最優先」で動く、この2つを肝に銘じて、緊急時の備えとしておきたいものです。

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大手建設会社に勤務する30代の建設技術者。 工事費1000億円超の現場で、計画・設計等を担当しています。
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