なぜ設計士は建築現場で嫌われるのか?よくある7つの共通点

なぜ設計士は建築現場で嫌われるのか?よくある7つの共通点

なぜ設計士は建築現場で嫌われるのか?よくある7つの共通点

現場に嫌われる設計士像

建築の計画を立案、設計、監理する立場である設計士の仕事を行う人たちは、その性格にクセがある方が多いです。何かクセのあったほうが、魅力的な建築物を作れるように思われがちですが、建築物が魅力的であってもそうでなくても現場では関係なく、建築工事は工程通りに進んでいきます。

私は設計士という立場で仕事を始めたばかりの頃、よく現場で働く職人さんから「こんな設計士になるな!」という助言をいただくことがありました。また、逆に自分が現場を管理する立場だったときには、「嫌われ設計士」の行動にドン引きしたものです。

現場管理と設計士の両方の立場を経験した私が考える、絶対にこうなりたくない「現場に嫌われる設計士」の共通項目をお伝えします。


嫌われる設計士その1.図面を訂正しない設計士

建設工事が進むと、あらゆる事情で設計通りに工事が進まなくなることがあります。小さい変更はまとめて訂正しても問題ありませんが、大きな変更があった場合は、図面の訂正や再検討が必要になります。

嫌われる設計士は、これを一切やりません。現場が始まれば図面訂正も現場の仕事という認識で、データを丸投げし、あとは必要最低限の関わりしか持とうとしないのです。

現場と設計、縦割りをせずに臨機応変に助け合って、工事を進めていきたいものです。

嫌われる設計士その2.図面に間違いや不明点が多い設計士

設計図に間違いがあると、多額の損害が発生する事態にもつながります。

仕事の経験が長くなってくると、図面に目を通した際や、引継ぎの段階で「何かおかしいぞ」とピンと来るようになるのですが、その回数が多いとだんだん設計に対しての信頼感が損なわれてきます。

そして、ピンとくる事項が多すぎると、このまま工事を進めることに対する恐怖すら感じるようになってきます。

何よりも間違いや不明点に気づくと、随時電話で設計者に問い合わせをして、真意を確かめるのですが、その行為が何回も必要になると本当に面倒臭いのです。


嫌われる設計士その3.現場の状況を理解していない設計士

設計士の仕事も多忙を極めますから、現場代理人に仕事を引き継ぐと、なかなか現場に足を運べないことがあります。

足を運べなくても、現場代理人には定期的に連絡をして、現場の状況はなるべく把握しておきたいものですが、嫌われる設計士は引継ぎが済んだ途端、現場には無頓着になることがあります。

現場を訪れるのは定められた設計監理の機会のみで、質疑応答も「そちらの良いようにお任せします」状態。

設計の仕事は締め切りに追われる仕事でもあるので、机上の仕事を進めなければ実にならないのは事実ですが、現場に無頓着すぎると結果的に現場から嫌われます。そして、なめられる設計士に降格し、仕事が進めにくくなり、自分の首を絞めることになるのです。

嫌われる設計士その4.そもそも自分の設計を理解していない設計士

設計士の仕事は、自分の考えを図面で表現する必要があるのですが、思慮が浅いためにトンチンカンな図面を引き、現場を困惑させる設計士は嫌われます。

周りに意見を求めないことや、表現方法が乏しいこと、多忙であることが理由になることが多いのですが、自分がどんな設計をしているかわからないのに、他人に預ける根本的な無責任さに恐怖すら覚えます。

質問をしてもしどろもどろになるのがお約束で、余裕のない現場では、設計士が答えを出すために検討する時間を与えて、それを待つ間もストレスだったりします。

嫌われる設計士その5.自分の考えを絶対に曲げない設計士

建設工事が進むと、あらゆる事情で設計通りに工事が進まなくなることがあるのですが、その旨を伝えると「それでは困る。何としてでも設計通りに進めてくれたまえ」と頑な態度をとる設計士も嫌われます。

そんな時は現場の意見に耳を貸し、自分の知恵を絞りながら譲歩できる範囲で協力してもらいたいものです。


嫌われる設計士その6.簡単に考えを変える設計士

こだわりが強い人と仕事をするのは確かに大変ですが、逆にこだわりがなさ過ぎると信頼関係が築けません。

変更があった場合「いいですよ。好きにしてもらって」では、都合がいいですが拍子抜けです。

設計には多くの時間を要するものですから、その中で、自分の設計にある程度の愛着とこだわりを育んで行くことも大切だと思います。

嫌われる設計士その7.知ったかぶりの設計士

どの仕事においても厄介なのが、知ったかぶりタイプですが、設計士における知ったかぶりは、その場は凌げたとしても、長い建設工事の中で、のちのちシワ寄せとなって襲いかかってくることになります。

知ったかぶりは嘘をつくことと同じ行為なので、信頼関係にも悪影響を及ぼします。知らないことがあれば、たとえ相手が怖い監督でも、怒られそうなシチュエーションであっても、恐れずに質問をしたほうが後々自分の財産になるものです。

設計士が最も注意すべきは「陰口」

以上、建築現場で嫌われる設計士像についてお伝えしました。

まだ駆け出しの設計士や、実力がない設計士の場合、現場に嫌われると仕事はとても進めにくくなってしまいます。

嫌われても、実力や信頼があれば仕事は問題なく進められますが、嫌われる事の一番の怖さは「陰口」だと私は確信しています。

現場事務所の雑談では、女子更衣室並みに人の噂話が飛び交うことがあります。そんな時、現場に来ない皆が嫌いな設計士は、この陰口の格好の餌食となるのです。

私も陰口を言われるのが辛いので、現場の格好の餌食になることがないように精進する毎日でございます。

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2級建築士(女性)。某建設会社の設計部で、主に戸建て住宅の新築やリフォームの設計・積算を担当。今は子育てに追われ、在宅勤務中。再び前線に復帰することを夢見ながら、建築業界に必死でしがみつく日々。
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