本当は「学歴重視」の建設業界
日本は、学歴社会である。意外かもしれないが、建設現場もその例外ではない。
しかし、世間一般では、建設現場は学歴のない中卒が行き着く末路だと思われている。昔ヤンチャだった人たちが多いから、そういうマイナスのイメージが定着してしまったのだろう。 確かに、建設現場で作業員として働くのに学歴は不問だ。
ただ、昔のヤンキーも大人になると、まじめに現場で働き、やがて作業員から施工管理技士(現場監督)へのキャリアアップを意識するようになる。ところが学歴のない彼らが、施工管理技士になるためには、かなり高い障壁が存在しているのである。
国土交通省では、人手不足が著しい施工管理技士の資格者数を増やそうと躍起のようだが、そもそも学歴偏向である点が、施工管理技士の資格制度の問題であるように思うのだ。
2級土木施工管理技士の受験資格
まず中卒者が施工管理技士の資格を取得する際、最初の障壁となるのが受験資格である。
例えば、2級土木施工管理技士の資格取得には、必要な受験資格として「実務経験」というものがある。現場で何年か実務経験を積まないと、受験できないということだ。
指定学科を卒業していない場合、大学卒業者は1年6ヶ月の実務経験を積めば、2級土木施工管理技士の受験資格を得られるのに対して、高卒の場合は4年6ヶ月以上の実務経験が必要となる。
そして、中卒の場合はというと、8年以上の実務経験が求められるのである。大卒者と比べて、施工管理技士になるまでに7年以上の遠回りを強いられるというわけだ。
1級土木施工管理技士の資格を取得しないと意味ない
しかし、せっかく2級土木施工管理技士の資格を取得できたとしても、建設業界の現場レベルでは、2級施工管理技士の資格はあってないようなものだと考えられている。
1級土木施工管理技士の資格を取得しないと、バリバリの現場監督として働くのは極めて難しい。
では、中卒者が1級土木施工管理技士の資格を受験するのに必要な実務経験年数はというと、なんと15年である。仮に17歳で建設業界に中卒で入って、ずっと建設業界で働き続けたとしても、資格を取得できる年齢は32歳ということになる。
こんな資格制度では、中卒者が1級土木施工管理技士の資格取得までモチベーションを維持することは非常に難しいと言わざるを得ない。
1級土木施工管理技士でも中卒は就職に苦しむ
さらに、たとえ1級土木施工管理技士資格を取得しても、中卒者は施工管理系の会社への転職で門前払いされるケースが多い。施工管理技士の資格だけではなく、最低でも高卒以上の学歴を求める企業がほとんどだからである。
世間では低学歴な業界と思われているが、中卒には厳しいのである。工事現場で必死に働いている中卒の若者を見るたび、彼らの行く末を案じてしまうのは私だけではあるまい。
そこで私は数年前から、ある取り組みを個人的に実施している。中卒の若者を施工管理技士としてキャリアアップさせてくれる企業に無償で引き合わせる活動である。
最近の人手不足とあいまって、すでに何人かの中卒の方々が「施工管理技士の卵」として施工管理会社への転職に成功しているが、情熱を持った若者が施工管理技士になれば、きっと学歴に関係なく素晴らしい施工管理技士になってくれると信じている。
中卒の1級土木施工管理技士も活躍したい
しかし、 その一方で「中卒は勉強しなかったから自業自得だ」という批判もよく耳にする。
その点、中卒も高卒も大して差はないと思うし、大卒でも現場で使えない人はいるのだが、大卒者よりも若い時から実地で働いている中卒者は、建設現場のことを人一倍熟知している点は強みである。
現場の流れを理解している人のほうが、施工管理技士の仕事に向いているのは言うまでもない。
そして、中卒者が建設業界で働くうちに、やがて「現場監督の仕事をしてみたい」と思うようになるのは不思議なことではない。そういった方々が施工管理技士として働いてくれることは、建設業界にとってもプラスであり、国も望むところのはずだ。
情熱を持った中卒者の努力を無碍に潰さないよう、国もそろそろ施工管理技士の資格制度を見直し、学歴偏重を見直すべきではないだろうか?
建設現場には、学歴よりも重要なことが山ほどある。どうせ世間から低学歴だと思われているのだったら、中卒者を最大限に生かす方法も模索するべきじゃないだろうか。
2級土木施工管理技士は卒業後すぐに実務についたとして、大卒者は早くても、中学卒業から8年6ヶ月後高卒者も、中学卒業から8年6ヵ月後中卒者は、中学卒業から8年後に受験資格が得られるということは、大卒・高卒者は、6ヶ月の遠回りをしいられるのですね。大卒よりも早く資格が取れる中卒にがんばってもらいたいですね。あれ、年一回だから実質変わらない?でも同じ資格を持っているなら実務経験が長いほうが良いですよね。