日本空調メンテナンス株式会社 代表取締役社長 笹木順二氏

「とりあえずあればいい」と思っていたホームページが、年間3,000万円の受注を生むサイトに成長した理由

空調設備業界における日本空調メンテナンスの挑戦

休日は月に1~2日しか取れず、非正規雇用が大半であるなど課題が多い空調設備業界。その労働環境を改善するために、笹木順二氏が創業したのが日本空調メンテナンス株式会社だ。

東京都板橋区を拠点に、空調機や換気装置のメンテナンスを手掛けており、現在は中途採用だけでなく、新卒採用もするほどの企業成長を果たしている。

空調設備業界の労働問題を一企業として解決するには、まず売上を伸ばす必要があるが、いかにして日本空調メンテナンスは受注を安定化させたのか?空調設備業界における労働環境の問題点などを含め、笹木社長に聞いた。

空調設備業界のヒドい労働環境を改善したい

——会社の設立経緯は?

笹木 私自身、以前は某空調設備会社に勤めていたのですが、空調設備業界で働く人のおよそ8割は非正規雇用なんです。いわば日雇いなので社会保険にも入れないし、休日は月に1~2日しか取れないのがザラです。

とてもひどい労働環境は今でも変わっていません。そんな空調設備業界を変えたい、この業界ならではの労働環境や雇用を改善したいという思いがあって、2013年に日本空調メンテナンス株式会社を設立しました。職人さんたちが安心して働ける場をつくりたいと、ずっと強く思っていました。

——しかし現実問題として、職人さんを正規雇用するためには、売上も確保しないといけません。独立当初は、どのように仕事を受注していたのでしょう?

笹木 独立前の会社から引き継いだ案件は1件だけでした。その仕事が今でも柱になっているような大型物件だったので良かったのですが、それ以外は全部新規の取引先です。

飛び込み営業もしましたし、電話営業も掛けました。営業の経験はありましたが、やはり大変でした。まず会ってくれないところがほとんどですから。

——経営が軌道に乗り始めたキッカケは?

笹木 ちょうど創業1年目、2014年8月にホームページを開設してからです。ネット経由だけで年間2,000万~3,000万円は売り上げるようになりました


「あればいい」と思っていたホームページで年間3000万円の受注

——ホームページ開設後、すぐに反響があったのでしょうか?

笹木 割と早い段階でホームページを見た方から電話でのお問い合わせが増えてきました。実際に受注につながったのは3ヶ月目ぐらいで、ゼネコンからの商業施設のファン清掃が最初でした。

現在、問い合わせは月30件ほどで、そのうち受注につながっているのは5件ぐらいです。個人店舗など小さな案件もありますが、大きな施設の定期メンテナンスも受注しています。

こちらから営業する「プッシュ型」よりも、お客様から問い合わせてくれる「プル型」のほうが受注しやすいので、従来の営業方法よりも、はるかに受注の確率が高いです

ただ、最初は「ホームページなんて、あるだけでいいや」って思っていた程度でした(笑)

——それなのに、結果を出せるホームページを作れた理由は?

笹木 ちょうどホームページを作ろうと思っていた時期に、タイミングよくブラニューさんからお話があり、最初はお金もかけず「とりあえずあればいいや」という受け身の姿勢でホームページを作ってもらいました(笑)

日本空調メンテナンス株式会社 笹木代表(右)と、ブラニューの荒井氏

そうしたら、サイトへのアクセスが増える方法とか、検索ボリュームやロングテールキーワードといったウェブ戦略の話など、専門家から適確なアドバイスをもらえて、お客様からの問い合わせが増えてきた感じです。

具体的には「ドレンホッパー」「モータープーリー交換」といったニーズに直結した検索ワードで上位表示を維持し、継続的な受注につながっています。

——ホームページ制作は写真やテキスト等、準備は大変ではなかったですか?

笹木 当社の業務内容を説明しようとすると、「周期」や「偏芯」など一般ユーザーには馴染みのない言葉ばかり使うことになりますが、以前、営業用のパンフレットを作ったときの資料を「いつか使うかも」と残してあったで、それをお渡しするだけで手間はかかりませんでした。

制作時はもちろんですが、ホームページ公開後も適切なアドバイスをもらっているので、ホームページからの受注額を増やせていると思います。お客様の視点に立って、ユーザーのニーズに応えたコンテンツを充実させることが大切だと思います。

日本空調メンテナンスのホームページ。ユーザーのニーズに応えた業務内容紹介

安定受注で空調設備業界の労働環境を改善

——売上も伸びれば、創業時の「職人さんが安心して働ける環境を」という理想も実現しそうですね。

笹木 そうですね。昨年は、非正規雇用で12年間働いていた人を中途採用しました。即戦力の技術者で大変助かっていますが、あまりにもひどい労働環境だったようです。

おそらく、そんな技術者が世の中にいっぱいいるはずです。そういう人たちをどんどん当社で面倒をみていきたいですね。現在は、ホームページ経由の安定受注もあって、年間を通して安定した仕事があるので、現在も新卒採用と中途採用を実施しています

毎月欠かさず更新している日本空調メンテナンスの「社長ブログ」

——即戦力ではない、新卒の採用もですか?

笹木 はい。資格の取得も応援していますので、派手さはなくともコツコツ仕事に取り組める方であれば、経験は問いません。

——売上の安定を雇用改善につなげる好循環が生まれているのですね。空調設備業界を変えるためにも、さらなる事業拡大を期待しています。

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