過去最多を記録した建設業の精神障害
久しぶりに、前の会社でお世話になった職人さんと飲む機会があった。
色々と雑談も交えながら、久しぶりにうまい酒を飲んでいたら、彼はとつとつと話し出した。
「〇〇建設の××さんなんですけど、うつ病になって会社辞められたんですよ」
私は絶句した。私の父くらいの年齢の施工管理技士で、定年間近の人だった。私が大変お世話になった人でもあった。
この方に限らず、建設業界ではうつ病になる人が年々増加している。
建設業における精神障害の労災補償の請求件数は2017年度に114件と過去最多を更新した。補償の支給決定件数は51件で、そのうち自殺(未遂を含む)が占める割合は4割を超える。
全業種の中で自殺の割合も圧倒的に高いのが建設業だ。
「うつ病なんて自分には関係ない」と思っている人は、決して他人事ではないということを認識してほしい。
施工管理技士はストレスフルな仕事
施工管理の仕事はストレスフルな仕事だ。朝は早くから始まり、夜は残業。ノー残業デーや週休二日制の導入はいまだ遠い。
工期が伸びることは工程表の中にあらかじめ入ってはいるが、季節や気候にも左右されてしまう。
しかも、不備はないか?危険な箇所はないか?作業員に事故やケガがないか?近隣住民とトラブルはないか?などなど、施工管理技士は本来の仕事以外に、気を遣わなければならないことが多すぎる。
その上、接待をしたり受けたりで飲む機会が多くなれば、病に侵されてしまうことも増える。糖尿病とうつ病は非常近い関係性があり、糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍というデータも存在する。
建設業界は他の業界に比べて非常にうつ病になりやすい環境が整っている。
礼節や品格は皆無の建設業界人たち
建設業界で働いていると、人間関係に悩み、精神的に疲弊していきやすい。
なぜなら、建設業界にはゼネコンの幹部や所長といったお偉いさんから、末端の下請け会社の若者まで、礼節や品格、シツケと皆無の人たちが多すぎるからだ。
3S活動や4S活動などという、子どもでもできて当たり前のことをわざわざ声高に行っているのがその裏付けだ(と私は思う)。
さらに、上司や幹部による、立場が下の者や下請けへの異常で執拗なパワハラや暴言。建設業界で働く女性に対するセクハラ発言や行為などが未だに横行している。
「思いやり」の精神はほかの業界と比べても希薄だと思う。
しかも、未だに犯罪や裏社会などと関係がある人間がニュースで報道される。
上司の「もう少し頑張れ」は「お前が抜けると現場が大変」と同義語
建設業界では、心の悩みを相談できるような人間を見つけることも難しい。
上の者は売り上げや工事の進捗状況(つまり金のこと)しか考えていないし、下の者は他人のことを考える余裕などない。とくに業界経験が長い人間ほど、世の中を知らない場合も多い。
彼らに仮に相談をしたところで明確な答えなど返ってはこない。「もう少し頑張ってみたらどうか?」とか「みんな頑張っているんだから」という答えは、「あなたが抜けると人員が減ってしまい、現場が大変になってしまう。だから休むな」という意味で受け取ったほうがいい。
本当にあなたのことを心配しているのであれば、すぐにでも休みを取って病院に行かせるはずだ。だが、彼らは何より工期を最優先するから、相談になど応じてくれない。
相談するなら親兄弟や妻や夫といった親族にすること。心療内科を受診したり、相談に応じるサポート機関やサイト等もあるので、仕事が辛い、苦しいと思ったり感じた時にはこういった行動をとってほしい。
工期と命はどちらが大事か
仕事が辛かったら会社を休めばいい。嫌な仕事ならやめたって全然構わない。そういう感情や気持ちにする上司や同僚、そして会社が悪いのだ。
長期で休もうとしたり、辞めようとすれば、上司や同僚は責任という言葉で重圧をかけるだろう。だが、責任とは己が考えることであり、他人がいう言葉ではないことを肝に銘じておいてほしい。
あなたがいなくなることで、工期が延びて会社に損害が出たところで、あなたの大切な命とは比べ物にならない。日本にはいまだに人の命を軽視し、仕事に重きを置く風潮がある。
たかが建物を作る仕事だ。あなたの命の方がなくなることのほうが、比べるまでもなく大変な損失だ。苦しかったらためらわず逃げてほしい。
人の命を軽んじる建設業界に未来はない
建設、土木に関わらず、施工管理技士の方々には、あなたの命はあなたが施工管理する建築物や構造物よりも遥かに重いということを、常に心に抱いて仕事をして貰いたい。
そして、ゼネコンの社長や幹部、中小建設会社の経営者たちよ。こんなことも考えられないのであれば、担い手不足に悩むこの業界に未来はないだろう。
経営側が現場の人間を自由にさせすぎてる肉体労働に近いから煽てて力尽きるまでこき使って壊れたら交換すれば良いと思ってるだから現場の人間は増長して事務や下請けなど自分より立場が下な者(ホントは対等なのに)に横柄な態度をとる。発注者も元請けも下請けも事務も全員対等であると認識を改めない限り早晩崩壊する