積算基準に記載されているものを使えばいい?
工事工程表を作成するには、作業ごとの1日当たり作業量を知っておく必要がある。1日あたり作業量に全体の数量をかけて、その作業に必要な日数もしくは月数が判明する。
私は、建設コンサルタントに勤務しているのだが、工程表を作るには積算基準に記載されている1日あたり作業量を用いて作成している。国交省業務であれば、いわゆる赤本といわれる積算基準が根拠となる。この本には作業ごとに1日当たり作業量が記載されているので、この数字を用いて工程表を作成することになる。
建設コンサルタント技術者にとっては、この数字しか根拠にできないのだ。計画を立てる以上は根拠が必要になるのは当然である。
ある日、役所にデスクを置いて仕事をしていた際、工事発注計画の立案を求められたことがあった。そこで積算基準に記載されている1日あたり作業量を用いて工程計画を立てて発注計画に活用した。そして、案を作って客先に提示したところ、客先から「この工程で本当にいけるか?」と聞かれたのだった。
私が「根拠に積算基準の作業量を使っているのでいけるのではないですか」と返答したところ、客先より「確かにあれは根拠になるけれど、それがそのまま現場に適用できるか?を検討してほしい。もし適用が難しいのであれば、過去の実績などを使ってもいいですよ」とのことだった。
現場経験があまりない私にとっては、過去の実績の作業量なんていわれても・・・、と思うしかなかった。
積算基準よりも過去の実績?
しかし、実際の工事ではどうなっているのかというと、必ずしも積算基準に記載の作業量を用いているわけではないようだ。
以前、複数のゼネコンの現場で工務業務をしていた際、上司が工程表を作成していたのを覗き見したことがあるのだが、そこに記載している1日あたり作業量は積算基準を根拠としているわけではなかった。
上司に「この数字って根拠はどこから来てますか?」と聞いてみると、「過去の実績を使っている」とのこと。過去に従事した工事で、どのくらいのボリュームでどのくらいの期間を要したのか、を記録として残しており、その実績を用いて工程を立てているという。
私が「積算基準の数字って使わないんですか?」と尋ねると、その上司は「使わないわけではないけれど、現場条件などを考慮して使えない場面があると判断したときは、過去の工事で似たような条件下でやった実績を使うことが多いかな」とのこと。
客先への説明に際しても、過去の実績を使っている分には特に問題視されたことはなく、そのまま施工計画を立てることも承諾してもらっていることがほとんどだった、とも話していた。
机上の空論な工程ではなく、現場できちんと使える工程計画を
建設コンサルタントの立場での工程計画は、机上の空論になりやすい。それは仕方のない面がある。根拠が積算基準になるからだ。現場の条件は現場ごとで異なり、1日あたり作業量は条件によってまったく違った量になる。
建設コンサルタントはどうしても現場経験のある技術者が少ないし、経験があったとしてもゼネコン勤務の施工管理技術者に比べて経験値は見劣りしてしまう。
そのため、過去の実績を使いたくても実績が蓄積されているわけではないから難しいのだ。何より、客先への説明が難しくなってしまう。だから積算基準に頼りがちになってしまうのだ。それは致し方ないことである。
一方で机上の空論になってしまうと、現場では使えない。工事を受注したゼネコンが困ってしまうし、発注者も金額が変わって上層部や議会へ説明しなければならなくなるなど、各所が困ることになる。できるだけ実態に近い工程を作りたいし、現場で使える計画を作りたいものである。
現場の皆様はどうされていますか?
現場の施工監理技術者です。積算基準を使ったことは一度もないです。理由は単純にその工種のみを切り取って1日に換算し考えているからです。と思われると言った方がよいでしょうか。笑皆さん同じと思いますが条件の最高の場合の大型現場くらいでないと不可能です。維持管理系ではまず無理です。そもそも基準自体古すぎますね。今の公共工事は【単価及び経費とともに】日数も含めあらゆる基準を見直すべきでしょうね。施工管理基準なんて、それ+で今の管理にあった独自書類もつくりますからね。←これは脱線しましたすいません愚痴です。