河川工事

施工管理技士が持つべき”河川工事の心構え”

水の流量を予想した仮設を

今年も、梅雨の時期がやってきた。私は、河川の工事を絶賛請け負っている。河川工事において、施工管理技士が考えなければならない多々あるのだが、その中でも最も考慮すべきことは、「水をどう逃がすか」だ。大体の河川工事は、水上で仕事を行うために工事用の仮設道路を盛土で作成することが一般的となる。

そのため、工事用道路の作成に伴い、河川の幅員が減少するわけだが、この場合は雨が降り水嵩が増してオーバーフローする事態を一番避けなければならない。

また河川の増水を解決するためにコルゲート管を設置することが多く見られるが、ただ単に設置すればよいというものではない。普段の河川の流量と雨が降った時の流量の差をアバウトでいいので把握し、適切な大きさのコルゲート管を設置する必要がある。

流量を拾えないコルゲート管を設置しても、降水量の多い日になると、あっという間に河川はオーバーフローする。最初の段階で、確実に水をせき止めることなく逃がす方法をしっかりと策定することが重要だ。


河川工事の工程は他の工種よりも入念に

また、大雨が降れば、翌日になっても水嵩がかかっても下がらないこともある。そうなると必然的に工事がストップすることになってしまう。

さらに、雨が降った翌日は工事用道路が流されていることも多く、工事用道路を作成しなおす作業で半日はつぶれると思っておいたほうが良い。

河川の改修工事は、ほとんどが護岸の補修工事であるため、構造物が必ずと言っていいほど存在する。ブロックや石積みが多い現場で工事用道路が使えないとなると、材料運搬が非常に厳しくなる。そうなれば、雨が1日で上がったとしても、実質その翌日も仕事が止まってしまう。

河川工事はなにかと工程が遅れがち。あらかじめ工期と雨期が被ることが分かっているなら、より余裕をもった工程を組むことを心掛けなければならない。


雨が降ることを予想した前日の段取りが重要

そのためには、たとえば雨が降った次の日は重機が使えないと思って仕事を進めておくこと。雨が上がった翌日にすぐ仕事ができるように、あらかじめ材料を目的の場所付近に運んでおくことや、川の水位が下がらなくてもできる仕事も考慮しておくべきだ。

仕事が止まることを嫌う職人と一番口論になりやすいのも河川工事だと思っている。円滑に工事を進めるためには、職人ができるだけ手を止めずに仕事ができる環境を整えておくことが大切である。

河川工事は、普通の工事よりも雨の影響をモロに受ける。だから、河川の仕事には儲からないイメージも強く、浚渫などの工事でない限りは業者も施工したがらない。それを解決できるのは施工管理技士しかいない。

職人からは、施工管理技士の段取りが悪いだの、意見が出るかもしれないが、安全を考えれば仕方のないことだと割り切るべきである。

安全管理にも人一倍気を使い、雨が降れば現場事務所に寝泊まりする人も少なくないだろう。しかし、その分竣工時に一番達成感が味わえる工種でもある。

“月3万円~”で水害大国・日本を守る。河川工事でも水位計の設置がスタンダードとなるか?

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