パワハラ

元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした

建築士&施工管理技士持ちでも、民間に転職は厳しい

その昔、海上自衛官だった私は、自衛隊を依願退職して、持っている資格をもって技術職として腕を磨きたいと思い、建設業界へ転職することに決めました。

しかし、自衛隊で”建築士”や”土木施工管理技士”を取得しても、民間での工事現場経験がない、また年齢も当時37歳と民間ではバリバリ働けるくらいの年齢であるというハードルにぶつかり、なかなか採用してもらえませんでした。

履歴書を送付すると、面接には呼んでいただけるのですが、面接で現場経験の話となると相手の表情が曇ってくるのがわかります。

確かに、自衛隊での経験は民間ではなかなか通用しないというのは百も承知で、こちらも転職活動をしているわけです。が、結果的に40社近くを回りましたが、内定が出たのがわずか3社。そのうち契約社員として様子を見たいという会社が1社でしたので、正社員登用は2社だけです。

現実を突きつけられ、呆然としました。


転職するなら、中小の土木会社or大手ハウスメーカーの子会社?

しかも、当時は子供が生まれたばかりでした。ですので、契約社員としての雇用形態は選択肢にありませんでした。2020年の東京オリンピックに向けた建設も佳境を迎えていましたし、大型工事が終われば契約を打ち切られる可能性があると思ったからです。

そうすると、残りは2社です。正社員として内定をいただいた1社は、私の土木施工管理技士と自衛隊での経験を買ってくれた、河川工事をメインに受注している社員30名程度の小さな土木建設会社でした。

もう1社は、CMでも有名な某ハウスメーカーの子会社的なリフォーム会社です。社員は約3,000名と比較的大きな規模で全国展開している会社でした。

当時の私は非常に迷っていました。「現場で働きたいという気持ち」と「自衛隊で勤務していたという給与の安定志向から脱却できていない気持ち」が相まって、どちらにするか決めきれないまま時間が経過していきました。

“給与”という近視眼的な選択をした結果・・・

結局、私は大手リフォーム会社への入社を決めました。アットホームな雰囲気の土木建設会社も捨てがたいものがありましたが、やはり給与面の安定性を一番に選択しました。

しかし、入社して私に待っていた配置は、建築士の資格などはまったく関係ない業務だったんです。

配属されたのは、本社でした。支店や営業所で勤務できると思っていた私は面食らいました。私が配属されたのは、その大手リフォーム会社の親会社が建てた戸建て住宅の定期点検に関する結果等の集計および分析業務とカスタマーサティスファクション(CS)、いわゆるお客様満足度調査を行う、というものでした。

出社初日に面接を兼ねて、私の今後のキャリアプランについて上司から説明を受けましたが、まずは研修期間として本社で業務を覚えてもらいつつ、実習として営業所で実地に点検業務を行い、その総仕上げとして社内認定資格の点検員認定試験を受験してもらう、ということでした。

点検員の業務自体は、マニュアルが決められており、建築士の資格がなくても点検ができるようになっていました。また、点検報告書もフォーマットがあり、報告文書も結果により言い回しが決まっているので、あまり迷うことがありません。要は、点検器材が扱えて、数値と写真を撮ることができれば報告書は作成できる仕組みというわけです。

説明を聞いてちょっとガッカリしたところもありました。ですが、民間人になって初めてのお仕事です。経験しないで文句など言えません。前向きに取り組もうと決意しました。ところが・・・


日常的なパワハラ。やる気を失わせる上司たち

入社してからわかったことですが、会社の管理職の大半は親会社から来た人たちばかりでした。言い方は非常に悪いですが、多くは使えないから飛ばされた、もしくは何かしらの不祥事を起こして左遷されたという方がちょいちょい見られました。

特に驚かされたのが、日常的にパワーハラスメント行為を行う総務担当の役員がいたことでした。朝から大声で罵声を浴びせたりすることは日常茶飯事。総務関係の朝礼は、この役員のお達しで長時間行われていました。かろうじて技術側の所属だった私は、遠目から見て非常に不快だったことを今でも覚えています。

周りの役員や管理職もあきらめており、指導しても無駄だと言わんばかりに全く関与するような気配もありません(平社員なのでそう感じていただけかもしれませんが…)。

また、上司からの指示が朝令暮改で、やることがコロコロ変わるのでやる気も萎えてきます。大きな組織だからこその問題を垣間見たような気がしました。

大手だから、給与が高いから…で転職先を選ぶな

そもそも私が世間知らずだったのかもしれませんが、自分のキャリアを考えたときに、安易に給与の安定だけをとると後悔することになります。やはり職場の雰囲気や、仕事に対する一貫性があるのかどうかといったところは重視するべきでしょう。

大手だから福利厚生がしっかりしているし・・・といった安直な考えは捨てて、自分が何をしたいのか、どうすれば腕を磨くことができるのかを真剣に考える必要があると思います。

私は既に会社を辞め、転職していますが、機会があればこの会社での経験をお話したいと思います。

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元海上自衛官。約15年間勤務ののち、建設業界に転職。 なんとか苦労して取得した一級建築士免許で細々仕事しております。
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