相も変わらず、横暴な態度の国会議員
長期休暇は、多くの人にとって楽しみにしていることの一つだろう。筆者もその一人。毎日夜更けまで働いている状況からすると、ある程度まとまった期間休めるというのは天国だ。ただし、今年はいつもと状況が異なる人も少なくないだろう。
たとえば厚生労働省では、新型コロナウィルス対策で多くの官僚が月曜から日曜まで、深夜まで働き詰めだと聞く。厚労省の職員だけでは対応しきれず、他の省庁からも応援職員が派遣されているようだが、彼ら・彼女らも同じく毎日毎日深夜まで働いているそうだ。SNSを覗いてみると、終電で帰れるのは早いほうだとか。近いうち、命を落とす人が続出するのではないか、とすら思えてくる。
これらは、国会議員対応が多くを占めているらしい。国会議員が、毎日毎日大量の質疑事項をぶつけてくるようで、中には提出期限の前日夜になって要求してくる人もいるそうだ。横暴である。というより、横暴という言葉では表現しきれないかもしれない。以前から指摘されていることだが、令和になっても相変わらず昭和の価値観のままなのだろう。
自己中心的な発注者の要求
ところが、そんな働き方を強いているのは、国会議員だけではない。公共事業の発注者も同じようなところがある。国とか地方とか関係ない。地方自治体であっても、担当者によっては長期休暇明けとか翌週月曜朝イチに成果の提出を要求してくるところもある。
以前、某地方の建設コンサルタントに勤務していたときは、お盆休み明けすぐに資料提出を要求してきたところがあった。それも休暇に入る前日に、だ。そのときの長期休暇は無くなり、休日返上で働いて資料を提出した記憶がある。
それも、一度や二度ではない。もっと前に行ってくれるならまだしも、直前になって要求してくるのは、マジ勘弁してほしい。それもすぐに出来上がるものばかりではない。ある程度、日数をかけないと仕上げられないものもたくさんある。
設計業務の数量一式を出してくれとか、工事費の単価を最新のものにして工事費を出しなおしてくれとか、1~2日でどうにかなるものではないものを、休暇に入る前日に依頼されると休日が無くなることくらい理解できないのだろうか。
ある年は、夏休みや年末年始休暇がまるまる吹っ飛んだこともあった。もちろん、家族から神妙な表情をされたのは言うまでもない。発注者の皆さん、もしあなたが同じことをされたらどう感じますか?
休日明けすぐの期限設定を好む発注者
無茶な要求は、資料作成や成果報告の依頼ばかりではない。業務や工事の入札も同じだ。長期休暇の直前になって入札に参加するよう依頼され、入札日は休暇明けすぐにやる、なんてこともある。そうなると、入札に参加する会社の担当者は大変だ。
内容を精査し、見積もりを作成しなければならない。すべて自社で完結できるのならまだいいが、下請けや専門工事会社などに問い合わせなければならないこともある。特に工事は大変だ。使用する重機の種類や日数などを、工事工程などから見て算出して、金額をはじき出さなければならない。
元請け会社としては、見積もりなどの根拠を下請けなどに問い合わせて、はっきりさせておかなければならないため、非常に手間がかかる。とはいえ、お盆や年末年始などは多くの会社が休暇になるため、頭を抱えてしまうということも多いのではないだろうか。
役所はそのあたりの事情を知ってか知らずか、お構いなしに入札参加の要望をしてくる。嫌がらせ?と感じるのは、私だけではないだろう。
矛盾大好き公的機関
一方で、公的機関は働き方改革を推進している。お笑いでもやっているのか?と思いたくなるほど、ボケと突っ込みが成り立つ場面ではないだろうか。片や働き方改革を推進して、片や深夜残業や休日出勤を強制しているかのような要求をしてくる。いったい何がやりたいの?と思わざるを得ない。
芸のネタとするだけなら、それでもいいのかもしれないが、私たちは彼らの芸ネタで働いているわけではない。国民、住民というステークホルダーのために働いている。働き方改革を推進するのなら、休日明けすぐの期限設定はあり得ない。休日明けすぐに期限設定するのなら、働き方が云々など言わないで欲しいし、民間に要求しないで欲しい。
矛盾大好き公的機関に、建設業者は振り回されている。この事実を、一人でもいいから知って欲しい。