宮城彩奈さん(行政書士さい事務所代表)

宮城彩奈さん(行政書士さい事務所代表)

「可愛いすぎる行政書士」が、YouTubeで建設業法を解説し続けるワケ

建設業法の解説が人気の「YouTuber行政書士」

2020年10月に建設業法が改正され、建設業許可の取得条件が変わった。所定の会社経営年数を求める「経営業務の管理責任者(経管)」の設置要件の変更に加え、社会保険の加入が義務化されるなど、今後の運用に注目が集まる。

「許可要件はどう変わるのか」――。そんな疑問に応えるべく、法改正前からYouTubeの動画上でわかりやすい情報発信を行い、好評を博した行政書士がいる。神奈川県横浜市鶴見区に事務所を構える「行政書士さい事務所」代表の宮城彩奈さんだ。

【最新】令和2年10月1日施行の建設業許可要件を解説します! / YouTube(宮城彩奈)

建設業許可の関連以外にも様々なトピックを扱うYouTubeチャンネルは、2020年に登録者数7000人を突破し、勢いを増している。

今回は宮城さんに、建設業許可を扱う行政書士として、そして様々な事業に意欲を見せる経営者としての今後の意気込みなどを聞いた。

業許可の取得・更新だけでなく、企業集団確認申請も

――建設業許可関連ではどんなお仕事を?

宮城さん 許可の新規取得や5年ごとの更新、許可窓口への決算時の届け出などを代行しています。また、公共工事を請け負いたい場合の経営事項審査(経審)なども。

最近では、比較的技量の要るようなご依頼もいただけるようになりました。技術者(専任・主任・監理)の配置についてや、国土交通省への企業集団確認申請のご相談などです。大手上場企業など、びっくりするような名前の企業の方々からのご依頼も請け負うようになって、「こんなちっぽけな事務所に!?」なんて思うこともあります(笑)。

コロナ禍という状況で仕事のやり方もだいぶ変わりました。役所への書類の提出も郵送が推奨され、直接出向くこともなくなりましたね。お客様などとの打合せもZoom(ズーム)でしています。無駄が減ったという意味では、良い傾向だと思います。

仕事では「スピード感」を意識しているという宮城さん

――仕事をしていくうえでのやりがいや苦労は?

宮城さん 一番嬉しいのはお客様と仲良くなれたときですね。最初は仕事の話だけして終わりだったのが、だんだん打ち解けてきて雑談ができるようなって「飲みに行こうよ」「ご飯行こうよ」なんて言われて、良い関係性になったなと思えた瞬間が。

逆に苦労していることは、お客様がご相談に来た際に「これは専門家に依頼したほうがいいな」と思ってもらえるように対応することです。大手企業の難しい案件など特にそうですが、依頼者の方が社内の状況にも精通していて、事前に下調べもして、その案件について社外の私より詳しい部分もあるわけです。

しかし、法律・書類作成の専門家である行政書士だからこそお役に立てる部分も当然あります。そのメリットを伝えることが、なかなか難しいですね。

――行政書士になったきっかけは?

宮城さん 自由に働きたいという思いがはじめにありました。高校卒業後に就職しましたがすぐ辞めて、しばらくフリーターをしていましたが、その間に働き方についていろいろ考える機会がありました。就業時間や時給に縛られない生き方がしたいと思って「社長、経営者ならできるんじゃないか」と考えるようになりました。「お金もありそう」なんて思いました(笑)。

20歳のとき、若くして士業で活躍されている方とも知り合い、自由な働き方をされているところにあこがれました。「○○士ってかっこいいな」と思って。それで行政書士という仕事を知り、仕事の内容をあまりよく理解していない状態ではありましたが、4年かけて資格をとることができました。「自分が国家資格をとったら、周りがびっくりするだろうな」という狙いもありました。


始めた当初は「需要あるのかな?」

――建設業許可を扱うようになった理由は?

宮城さん 資格を取った後、行政書士を開業する前に様々な異業種交流会に参加していました。その帰宅途中に知り合いと偶然会ったんです。地元の友人がよく溜まる飲食店で飲むことになって、偶然同席していた方を「隣のこの人、社長だよ」って紹介されました。名刺もちょうど持ち合わせていたので、交換することができました。

建設業を営んでいるその方は、利用している行政書士事務所に不満を抱いているようで、ちょうど許可を更新する年でもありました。帰宅してご挨拶のメールを入れたら、それをご縁としてお仕事をいただけるようになったんです。その後、関連会社のお仕事も続けてご紹介していただき「もう、この会社に一生ついていこう!」と思いました(笑)。それが建設業許可をメインにやっていこうと決めたきっかけです。

――YouTubeで情報発信をするようになったきっかけは?

宮城さん 首都圏にはすでに競合他社がたくさんいたし、インターネットでの集客を考えたとき、ホームページだと検索して上位に表示される事務所が圧倒的に有利な状況だったんですよね。その点、YouTubeだったら最近観る人が増えてきているところだし、人気になれば検索ページの上部に動画が表示されることだってあります。さらに動画でしゃべるところを見てもらうことで、人柄や雰囲気が全部伝わると思いました。

2019年の7月から情報発信をはじめて、そのときは月1本くらいのペースで気が向いたときに動画を投稿していましたね。それから同じ年の11月ごろから定期的にアップロードするようになりました。最初は「失敗したら恥ずかしいな」「需要あるのかな」という不安がありましたが、再生数で結果がすぐにわかるので「こういう情報が必要とされているんだな」と感じることができ、続けていきました。

YouTubeは2019年から始めた

YouTubeもこれからますます人が増えて、もしかしたら厳しい時代になるかもしれません。でも単純に「自分の人柄を知ってもらう」「役に立つ情報を届ける」ための、発信のツールとしては非常に役に立つものなので、これからも引き続き活動していこうと思います。

オンラインサロンに、ピアノスタジオも

――行政書士の開業を支援するオンラインサロンも始められていますが、きっかけは?

宮城さん 今はそうでもありませんが、私が開業した当時は女性で行政書士として独立開業しようという方があまりいない状況でした。私のようなタイプがあまりいなかったからなのか、開業した後のことについて、質問・相談がよくくるようになりました。

需要があるならサロンというかたちにすれば、もっと身近で話が聞けて、サポートができるんじゃないかなと考えました。3年ほど前、事務所のホームページをサポートしていた方から「やったほうがいいんじゃない?」とアドバイスされていたのもありました。行政書士は「食えない業界」なんて呼ばれることもありますが、開業された方には頑張ってほしい、支援していきたいという思いがあります。

――行政書士としての仕事のほかに、これからやりたいことは?

宮城さん ゆくゆくは不動産業をやりたいので、宅建の資格勉強をしています。不動産会社に勤めていたことがあるので、その経験が活かせるかなと思って。仕事と受験勉強を並行しているので、最近は動画があまり出せていない状況ですね(笑)。あとは物販もやってみたいです。これを売りたい、というのは決まってはないですが「ものを売るってどういう感じなんだろう」ということに興味があります。本業では、見えないサービスを売っているので。

最近、実際に始めた新事業にはピアノスタジオがあります。自分の動画チャンネルで紹介もしましたね。ピアノを演奏するのが一番の趣味で、業界のお役に立てたら、という思いで始めました。賃貸を又貸しして、時間制で使用することができます。予想以上に予約も入ってきていて、この前はピアノを演奏しているYouTuberの方を呼んだら来てもらえて、演奏の動画撮影もしていただけました。行政書士だとお客様の情報に関して守秘義務があり、実際の仕事を見てもらうことができないので、こういったかたちで事業をオープンにできるのは面白いですね。

最近はピアノスタジオを開業した

ピアノ業界は未知数の分野でしたが、それでも何とか売り上げは出ています。これからは副業時代なんて言われることもありますが、周りを見ると「したいことがあるけど勇気が出ない」と悩んでいる人が多いなと感じています。とりあえずやってみて、チャレンジしていってほしいなと思っています。

この記事のコメントを見る

この記事をSNSでシェア

こちらも合わせてどうぞ!
建設キャリアアップシステムは”失敗”だったのか? 早すぎた値上げと今後の展望
YouTuber社長”こやさん”の、たった25日で即戦力の職人を育てる方法【職人道場】
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
よろしくお願いいいたします。
モバイルバージョンを終了