「建築が遅れると設備が泣く」の本当の意味とは?…空調設備施工管理はつらいよ

「建築が遅れると設備が泣く」の本当の意味とは?…空調設備施工管理はつらいよ

「建築が遅れると設備が泣く」の本当の意味とは?

「建築が遅れると設備が泣く」そんな言葉を聞いたことはありませんか?

私は新人研修の頃に、まるで諺のように教えられた記憶がありますが、実際に経験すると本当にキツイものです。

空調の施工監督の仕事をしてから5年目ぐらいの頃、まだ私も若かったときの苦労話です。ひょっとしたら、建築業界のベテランさんなら、思い当たる節がある体験談かもしれません。

現場は「なまもの」だから、多少の工程変更なら大丈夫?

小さな現場では、私一人で現場監督と代理人をやっていますが、正直なところ多少工期が遅れても、お客様やゼネコン、他のサブコンと打ち合わせをして、どうにかなるものです。

工事の工程はいかに正確に作れるかが重要ですが、工事現場もそこで働く人間も「なまもの」。どんな現場であろうと、突発的に起きる問題・天候・労災・事故などが原因で、工程の変更、工事中止が起きるのは仕方がありません。そういうことも考慮して工程を作る必要もあります。

なので、私がこれまで工程の遅れによって建築、内装、顧客から責められることは一度たりともありませんでした。

しかし、その当たり前を覆す事件が起きたのです。

建築のせいで設備が泣いた現場の話

地方商業施設の改装工事で、私の会社は、ビルオーナーから直接仕事を請けていました。ゼネコン、他のサブコンもオーナーから仕事を受けており、私と後輩の2人で現場を回す予定でした。

5店舗の空調機新設と、大型のビル空調機の更新で、工期は約半年。そのうち最初の3か月は順調に回っていましたが、この後に思わぬ展開が待っていました。

今回の工事は、内装との掛け合いのみになるかと思っていたのですが、ちょうど配管工事をしていた折に、いきなり建築で事故があったとの報告が入りました。

最初のうちは、自分とは関係のない、まるで他人事で、室内側の配管工事が終わっても、建築が事故を起こしたことをあまり問題視しませんでした。しかしその後、建築が再び事故を起こし、ついにオーナーから作業中止の指示が出るという最悪の流れになってしまいました。

配管工事用の足場の作成はオーナーから建築に依頼していたため、工事が中止となり、設備も工期延長。さらに、店舗内の建築工事での撤去、新設も終わっていないため、室内での残作業に入れないことになってしまいました。

私はこの時、できる仕事から行い、ゼネコンが作業を開始してから作業に入ればよいと考え、オーナー側の設備担当者に「ゼネコンの足場作成の仕事が残っており、それを進めてくれないと空調の仕事が終わらない」と伝えました。しかし建築担当が対応しているという返事だけで、この後、約3週間も建築工事が遅れることになりました。

オープンまで1か月半もないという直前の時期なのに、私が担当する工程は30%未満という現状。建築が遅れたせいで工事が遅れているため、空調の依頼工事を先行して欲しいと再度、設備担当者に説明しましたが、建築担当者から「建築が工事中止を受けており、他の工事を優先してはいけない」と言われているとのこと。にもかかわらず、その建築担当者はその週の水曜日に現場にも来なかったことを鮮明に覚えています。

設備職人、内装、建築、お客様、みんなから「文句の嵐」

結局足場が立ったのは、オープン2週間前。電気内装も大幅の遅れがある中、一番遅れているのは、もちろん私の担当する空調でした。

室外では、足場が立った日に職人を呼び、屋外の冷媒配管と室外機の設置をお願いしましたが、職人も「遅れているのは空調のせいじゃなくて、建築のせいだから、客に言って工期を遅らせてくれ!」とすごい剣幕。設備担当者に言っても、そんな事はできっこありませんし、内装も遅れているため、室内側と室外機側でほぼ24時間1週間休みなしで現場を回す羽目になりました。

こんな時でも、建築は「室外機を設置している下部で作業するから、作業を止めてくれ」と言ってきました。その日は、さすがに職人は怒って帰り、お客様からは「なんで室外機側が終わっていないんだ!」と文句を言われる始末。建築の作業が優先であることに変わりはありません。

室内側では、内装の工事が進み、空調機周りの配管溶接をしていましたが、内装の職人からも文句を言われ、空調の職人たちはとてもやりづらい空気。毎日のように内装の進み具合を確認しながら、工事を進めないといけないため、職人たちにイライラが募ってきます。

そして、なんとかオープンまでに間に合わせましたが、内装とオーナーからは「工程が良くなかったんじゃないか?」と竣工後も文句ばかり言われました。しかし、この現場は、お客様が工程管理できていなかったのが一番の問題じゃないかと思っています。管理ができないなら建築に一括して依頼すれば、こんなことは起きなかったはずです。

所長は嘘をついてはいけない!

別の現場でも、本来の工期は1か月だったのが、建築のせいで工期が2週間になったことがあります。建築からは、工事が遅れたわけではなく、客先の事情だという説明を受けますが、明らかに建築の工程が伸びて、設備の工程を縮めたということがわかります。

結局、「工期の短縮は決まったこと」と言われれば、私たち設備は、段取りを組み直すしかありません。

職人さんたちに工期変更のお願いをしますが、やはり職人の方ももう予定が組み直せないと、文句を言います。しかし、どうにもならないので、ひたすら事情説明と謝罪とお願いを繰り返し、しぶしぶ了承を得ます。こうしたことを4~5社に行い、次は工程作りを行います。

設備以上に建築の方々があたふたしていたので、喫煙所で建築の一番若手に大変そうだねと聞けば、所長が手配ミスをしてしまい、仕事がろくに進まなかったとのこと。正直に言ってくれれば協力したくなりますが、こうして嘘をつかれると、その所長の噂は広まり、もう2度と同じ現場で仕事はしたくないと思ってしまいます。

いずれにせよ、建物を建てる側のいざこざで一番悲しむのは、建物そのものであり、その建物の完成を待ち望む人たちであることを考えなければなりません。そのためには現場の一致団結が必要です。「建築が遅れると設備が泣く」ということも、私たち設備の仕事かもしれません。

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