ニッカポッカ絶滅の危機!「安全vs伝統vsオシャレ」どれを優先すべきか?

ニッカポッカ絶滅の危機!「安全vs伝統vsオシャレ」どれを優先すべきか?

ニッカポッカが建設現場から消える?

最近、若い作業員さんを現場で見かけることが減っています。そのせいかニッカポッカ(ニッカボッカ)姿もあまり見なくなりました。四超ロングなんて、もはや死語かもしれません。

昔、若い作業員といえば、ロング8分、超ロング、スーパーロング、超超ロング、超超超ロング、四超ロング……と、丈が長いニッカポッカを履きたがったものです。ニッカポッカは、今でも田舎の女子にはモテるかもしれません。ちなみに私の昔の恋人は、紫色の超超超ロング姿が好きと言っていました。

しかし現在は、安全管理の観点から、あまりに裾が広いニッカポッカ、ロング8分、超ロングなどは禁止という現場も多いのではないでしょうか。7分ならギリギリOKでしょうか。

現場でのニッカポッカ論争をまとめます。

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ニッカポッカは日本の文化か?欧米の文化か?

ニッカポッカの起源は、現場で聞いたかぎりでは、2つの説が対立しています。

1つ目は、ニッカーボッカーズというオランダの子供用ズボンが起源だという説。約400年前、まだ植民地だったアメリカ・ニューヨークにオランダ人が移り住み、その後マンハッタンで流行。裾が邪魔にならないため、野球、自転車、ゴルフ、乗馬、登山、狩猟、軍隊などでニッカポッカが愛用され、それが日本にも普及したという説です。確かに日本の軍隊もニッカポッカみたいな格好をしていました。

もう1つの説は、日本の役行者や忍者、大工、祭礼時の神輿の担ぎ手などの着物や股引がルーツだという日本オリジナル説。建設業の職人魂という観点からすると、こちらのほうが個人的にはしっくりきます。

どちらの説を選ぶにせよ、知識をひけらかす際は、この両説が徐々に融合したと言っておけば、文句を言われないので無難だと思っています。

ニッカポッカは機能的か?非機能的か?

そもそもニッカポッカを作業員が着るのは、鳶職の場合は特に立ったりしゃがんだりする場面が多く、股周りがピチピチにならずにラクだからです。この点は誰も異論はないと思います。火花が飛んだ時も、服と肌がくっつく危険性を抑えられます。

しかし、過度に裾が広いニッカポッカを擁護する人々は、このほかにもニッカポッカの機能性を主張したがります。その一つが、裾が広ければ、差し筋や資材が足に直接ぶつかる前に裾に当たるので、危険を避けられるという主張です。

しかし私は、むしろ裾が広いと、逆に差し筋に引っかかりやすくなり、危険は高まると考えます。実際に超超ロングで差し筋に引っかかって転倒する作業員を何度も見ていますし、ニッカポッカが原因で高所の足場から転落した災害事故もありました。

そして、ニッカポッカ擁護派のもう一つの主張は、裾が広いと風の影響を受けやすいので、高所での作業中に危険を素早く察知できるというもの。強風時の作業をストップする決断がしやすくなるという主張です。

この説については、私はもう反論する気もなくなってしまいます。要するに、裾が広いニッカポッカ擁護派の主張は、あえて引っかかりやすい格好、強風のあおりを受けやすい格好をすることで、自ら危険に遭遇しやすくしているからこそ、足元、周囲、環境などの安全確認を厳重かつ頻繁に行う必要性があり、これが結果安全につながなるというわけです。

ほかにも裾が広いと高所でバランスが取りやすいという声も聞いたことがありますが、当人はそうかもしれないので反論はしません。

平場作業でもニッカポッカ禁止すべきか?

では足場作業など高所ではニッカポッカ着用を禁止し、平場作業では超超超ロングでもOKかといえば、そうとも限りません。バックホウや不整地運搬車など建設機械のオペレーターは、操作レバーが引っかかり、運転席から出るときも引っかかります。

しかし、高所では禁止して、平場では許可するとなると、ややこしいので、「○○さんの現場はいつでも禁止」としたほうが、外注さんも理解しやすいと思っています。なので私の現場では曖昧ですが、ロング8分、超ロングなどは禁止し、7分ならOKということで統一しています。

本当にニッカポッカを禁止して良いのか?

しかしその一方で、白装束を思わせるような「覚悟」を感じさせる鳶職を見ると、その職業の魂とも言うべき衣装を簡単に否定すべきなのかという気持ちが湧いてくるのも事実です。

鳶としての死への覚悟を前にすると、安全を言い訳にしている自分など生ぬるい、ちっぽけな存在と感じてしまう時があります。「危険だからといって、寿司屋が手袋をするようなもの。超超ロングでも良いじゃないか」と。欄間細工や寄木細工職人の和装束はカッコいいですし、植木屋や芝生屋にヘルメットや安全靴を強要するのは無粋ではないか、ある意味、ニッカポッカは建設業の文化ではないか……。

しかし、これは建設業だけの風潮ではないかも知れませんが、安全管理は実に厳しくなってきています。いくら鳶本人が「命」よりも「魂」を優先する職人気質であったとしても、施主ありきの建設現場です。いくぶんかの寂しさも感じますが、スリムなストレートのほうが、安全で現代的です。野球もゴルフもニッカポッカ姿は見なくなりました。

しかし、私はオジさんになった今も、個人的には若い人のニッカポッカ姿はヤンキーっぽくて、カッコイイと思います。裾野の広いニッカポッカを好んで着ている作業員の多くは若い人たちです。ニッカポッカを禁止する現場が増えているように思いますが、それとは別に、ニッカポッカ姿が減るということは、建設業の若手不足も意味しているのかもしれません。若いニッカポッカ姿を見ると、嬉しくなるのは私だけでしょうか?

さらば、ニッカポッカ!されど、ニッカポッカよ、永遠なれ!

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この記事を書いた人

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現場所長です。いろいろな業者を利用しています。 世の中には多種多様な人たちがいますが、少なくとも建設業界で働こうとする人を育てたいという気持ちがあります。多少のことは目をつむっても自分の現場で開花させたい。それが出来なければ自分は所長を名乗る価値がない、そう思っています。
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