施工管理の仕事は"茨の道"。進路を誤らないための2つの方法

施工管理の仕事は”茨の道”。進路を誤らないための2つの方法

新人施工管理者が陥る負のスパイラル

現場にいると職人さんから、収まりのことや工程の相談・部材の追加などをお願いされることがよくあると思います。

現場責任者はその職人の声に対応し、即座に正しい答えを導きだしたり、速やかに資材の手配をしたりする処理能力が必要となりますが、当然、経験や個人の能力によって処理スピードは異なります。

特に、経験が浅い施工管理さんは処理に時間がかかり、1つの課題を処理している間にも、次の宿題がどんどん増えて、ついには整理がつかなくなってしまう…なんてことも多いのではないでしょうか。

業務の整理がつかなくなると仕事の効率は低下してしまいますし、そこから負のスパイラルに入り、苦しい状態になってしまうこともあると思います。そうならないためにも、日頃から心がけておきたい“2つの大事なこと”をお伝えします。若手や新人施工管理の方の参考になれば幸いです。

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こまめなメモで「記録」に残す

多くの情報を整理するためには、自分の行った業務や現場の状況を「記録に残す」という基本中の基本をしっかり行うことが大切です。

施工管理という仕事は日々、個数や金額、寸法、日数、人数など数字の他にも色、品番、材質、形状などを扱い、把握力が求められる仕事です。私の経験上、「記録なし」で施工管理の業務が務まることはほぼないと思っています。

常に進捗状況をメモや写真に残し、職人に何か頼まれた場合や聞いたことは”その場でメモ”する。その他にも、気づいたことはどんな小さなことでも”その場でメモ”する癖をつける。

そして、現場を離れる前や心配になったら、何度もメモを見返し確認する。すぐ手を打たなければいけないものは、その場ですぐに手を打つ。不明瞭なことは慌てて回答せず、もう一度現場に戻ってでも確認しに行く。メモの取りすぎ、写真の撮りすぎだとしても、足跡としてちゃんと記録に残るので悪いことは何もありません。

特に、新人のうちは「記録に残す」ことは本当に大事で、システム手帳やメモ帳を「自分の命」と思っていつも肌身離さず持っておき、記録に残す癖をつけましょう。メモを見返すことで頭の整理になり、うっかりミスも減り、仕事の効率も良くなっていきます。

最近、メモを取らない若い子が多いと聞きますが、人間の記憶というものは案外信用ならないものです。記憶力には自信がある!と思っていても、多くのことを鮮明に覚え続けるには限度があります。記憶よりも記録に残す。これが、施工管理の仕事を充実させるための一つの考え方かもしれません。

職人の顔は「記憶」に残す

少し話は変わりますが、現場から離れている時でもアンテナを張るということを、新人施工管理の皆さんは日頃から意識できていますか?現場で活躍されている施工管理の先輩方は、きっと自然にやっていることだと思います。

施工管理は、工程を見て「そろそろこの作業が終わるなー」とか、「材料ちゃんと入っただろうか?」「来週雨だけど作業大丈夫だろうか?」など、色々な考えを張り巡らせるアンテナが必要です。

施工管理のアンテナには際限はなく、考えれば考えるほどたくさん出てきます。これがたくさん出てくる人とそうでない人がいますが、違いはなんでしょうか?それは、工程表を見た時に工程の進捗だけではなく、その時に工程表上にいる”現場で働く職人さんの顔”が浮かぶかどうかだと思います。

例えば、こちらのミスで工程が止まってしまった時の職人さんのガッカリした悲しい顔、青筋を立てて憤怒している顔。こちらが安全に留意できなくて労災事故を起こしてしまった時の職人さんの絶望的な顔や気持ち、ゴミ溜めの中で仕事をしている職人さんの顔、管理されていない汚いトイレで用を足す時の何とも言えないイヤな気持ちなど(笑)。

少し考えただけでも色々浮かんできます。反対に、こちらの配慮で工事が円滑に進んだ時の嬉しい顔、安心した顔。どちらかといったら、もちろん後者の顔をたくさん見たいですよね?怒っている顔が好きだ!という人はいないでしょう(笑)。

職人さんたちは、常に気にかけてくれている人のことはわかっています。逆に、放置されているなということも意外とよく伝わっているものです。悲しい顔を見たくないから一生懸命に手を打つ、嬉しい顔を見たいから思考を凝らして提案をしていく。

常に現場にいる人へ想いをはせることこそが、施工管理のアンテナをより強めるきっかけになると思います。まあ、思い出したくもない顔もあると思いますが、そこは心を広くもってお付き合いしていきましょう(笑)。

心はいつも現場に置いておく

この数年で色々なことがリモートでも可能になり、施工管理もリモートでできる時代になりつつあります。リモートで管理をするにしても、結局は「人」です。

職人の意見を聞くことも、進捗を確認することも、手配を進めることも、すべて施工管理の業務であり、施工管理の趣旨が変わるわけではありません。

以前、『施工管理は「棟梁」と同じ存在であるべき』でもお話しましたが、現場の主役は”施工管理と職人の頭脳”です。なので、どんな大変なプロジェクトでもどんな状況であっても、一緒に良いものを作り上げていこうという真剣な思いを持ち、「心はいつも現場に置いておく」ことが大事です。

新人施工管理の方は色々任されて、大変なことも、思い通りにならないことも、たくさんあると思います。ですが、現場の進捗や状況が手に取るように把握できるようになり、職人や現場の人たちとの良い関係性が保てれば、施工管理は楽しい仕事に変わります。

そのために大事な「記録すべきこと」と「記憶すべきこと」の2点を、今回はお話させていただきました。皆さんの何かの気づきになったら嬉しいです。

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無茶ぶりすぎる…!入社2ヶ月で7現場を任された新人現場監督
大工職から施工管理職へ転身。住宅ハウスメーカーにて、施工管理と外国人大工技能実習生の教育、現場メディアを担当している。
「施工管理に取り組む姿勢」や「施工管理は楽しい」を発信する。
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