※写真はイメージです。

29歳未経験の私が、結婚を機に建設業界へ飛び込んだワケ

結婚を機に建設業界へ足を踏み入れた私

前職は、空港で飛行機の誘導や大型車両に乗り貨物搭載や牽引など、特殊な仕事をしていた私ですが、華やかな職業とは裏腹に辛いことも多く、色々とうまくいかず体調を崩してしまい、退職を決意。逃げるように地元を離れ、身一つで県外に住む幼馴染の彼(現:夫)の元へ行きました。

移住当初は仕事のあてもなく、無収入、貯金もほとんどない。かと言って、今さら地元へは戻れない。なんだか社会から孤立したように感じ、落ち込む日々で、「今後の生活をどうしようか…」となんの希望も持てずに当時は過ごしていました。

そんな私を見て、塗装会社を経営する彼が「現場に出てみる?」と声をかけてくれたのが、私の塗装ライフ(建設業界での仕事)の始まりでした。

当時は、塗装業というものがどんなものなのか無知だったため、私に塗装の施工ができるのか?そもそも何を塗るの?と思いながらも作業着と安全靴を買い、格好だけは一丁前(笑)。

幸い、前職でも作業着や安全靴、ヘルメット着用だったこともあり、服装に対しては特に違和感もなく、久しぶりの感覚だな~とどこか懐かしさも感じながら、夫たちと共に現場へ向かいました。

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現場初日は疲労感と塗料の臭いに酔ってしまう

初めて任された仕事は、塗装した外壁の手直し(タッチアップ)と現場の清掃でした。高く組み上げられた足場での作業に緊張し、さらに慣れない塗料の臭いに酔ってしまい、作業後はかなりの疲労感と具合が悪くなったのを今でも覚えています。

後から聞いた話ですが、夫が新人の頃は毎日毎日ケレン(研磨)ばかりで、いつになったら刷毛やローラーを持たせてもらえるのかと、毎日イライラしていたと聞きました(笑)。

夫と「仕事を続けてみようかな」という会話は特にせず、毎日現場へついていき、ケレンやローラー、刷毛塗り、塗料の撹拌の仕方などを早いスパンで教えてもらいながら、いつの間にか現場に出るのが当たり前になっていきました。

元々身体を動かす仕事が好きだったのもありますが、毎日が初めての連続で、劣化が酷い建物も手をかけてあげればこんなに綺麗になるんだと、お客様からもこんなに喜ばれるんだと、今でも「塗装業」という仕事に感動と魅力を感じています。

「空気を乱すなら帰ってくれ」

2か月ほどの試用期間を経て、正式に会社の一員となったわけですが、頑固で負けず嫌いの私は、刷毛塗りや養生などの細やかな施工がうまくできず(始めたばかりなのでできなくて当たり前なのですが)、不機嫌になり、現場の空気を悪くしてしまったことも。

その時は、普段あまり怒ることがない夫から、「基本現場では何人かの職人が集まって施工をする。もちろん塗装の腕も大事だが、職人同士のコミュニケーション、現場の空気で作業効率が変わってくる。空気を乱すなら帰ってくれ」と言われ、落ち込みと申し訳なさと色んな気持ちが混ざり、涙したこともありました。

そのほかにも、塗料をこぼしたり、刷毛塗りの時に業界用語でいうミミズ(塗料が溜まった状態で乾きミミズのような塊ができること)を作ってしまったり、色々やらかしてきました。8年経った今でも養生は苦手で、ものすごく遅いです(笑)。

“建設業=怖い”のお手本のような現場

ここで、とある塗装会社の話をさせてください。

数年前の話ですが、私たちが施工する住宅の近くで、同じく住宅を塗装していた会社がいました。その会社の先輩職人は、新人であろう人を終始怒鳴り散らし、罵声がこちらまで丸聞こえ。

嫌でも聞こえてくるその怒鳴り声は、どう考えても半分は八つ当たりにしか思えませんでしたが、言われている側はきっと委縮してしまい、思うようなパフォーマンスができず、余計にうまくできない→怒鳴られるという悪循環だったのではないかと思います。

私の中の建設業界は「できない人は怒鳴られる」イメージで、まさにそのお手本のような現場を目の当たりにし、心の中で「仕事の選択を間違えたかな…」とさえ思ったほどでした。

私も怒られることはありますが、それは「愛のある怒り方」で、決して怒鳴ることもなく、淡々と諭すように伝えるのが夫です。時には黙って背中を見せるだけの時もあり、芸能人でいう高倉健さんや菅原文太さんのような渋い人が、私の夫であり上司です(笑)。

家族という立場だからではなく、夫のような上司が増えると離職率も下がり、「建設業へ進みたい」と思う人が増えるのではないかなと思います。

これから建設業へチャレンジする女性へ

未経験から建設業界に飛び込んでから早8年。今は家事育児がメインではありますが、夫が経営する塗装会社の経理事務、営業、現場と、ある程度こなしていけるまでになりました。

ですが、まだまだ学ぶことはたくさんありますし、失敗もします。そして、家に帰れば子育てに追われる毎日です。

私が建設業界に飛び込んだきっかけは、自分の人生に悲観し悩む中で、夫からの「やってみる?」の一言がすべての始まりでした。家族経営であっても、辛いことやきついことはたくさんありましたし、自営業ならではの辛さもたくさんあります。

近年では建設業界で働く女性が増えつつありますが、私のように家庭を持ち、妊娠・出産となると「産休育休問題」が出てきます。妊娠すれば現場には出られなくなり、復帰するまでのブランクができます。また、出産後は子供の急病などで現場を抜けることもあり、「中途半端になってしまい申し訳ない…」という気持ちでいっぱいになったことも何度もあります。

子供に罪はありませんし、仕方のないことではあるのですが、常に工期や現場管理に追われている現場責任者の立場で考えると、仕方ないと思えない(割り切れない)こともあると、上司である夫から聞きました。

どの業種も同じような状況はあるのでしょうが、やっぱり理解してほしいと求めてしまうのが本音ですね。雇われだろうが、自営業だろうが、親という仕事と本業との両立は本当に大変です。

それでも続けてこれているのは、周囲の理解や協力だけでなく、お客様や職人さんたちとの交流、現場の達成感が勝るからです。現場で学んだことは人生においても活かすことができますし、子供に「パパとママがここを塗ったんだよ」と誇れる仕事だと私は思っています。

建設業へ入ろうか悩んでいる方がいたら、まず言えることは1つ。

「とりあえずやってみよう!」

これが、29歳で全くの畑違いの仕事から建設業界へ足を踏み入れた私からのメッセージです。

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塗装会社を経営する夫を持ち、経理事務、営業、たまに現場を担当。私生活では、年子の子育てに日々奮闘しています。
大型車両、牽引免許保有のちょっと変わった嫁が、現場での出来事や自営業の苦労話などを備忘録として発信します。
8年経った今でも、施工姿の夫にトキメキ中。
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