建設トップランナー倶楽部(米田雅子・代表幹事)は、「第18回建設トップランナーフォーラム」を6月21日に都内のイイノホールで開催した。テーマは「DXが地域建設業の未来を拓く」。生産性向上、担い手確保、技術の継承、働き方改革という地域建設業が抱える課題について、DXがどう役立つのか、また地域の守り手であり支え手である地域建設業が取るべき戦略をそれぞれ披露した。
当日は地域の実情に応じて先進的にDX戦略に取り組む6社が自社の事例を発表。また、石川県建設業協会の山岸勇・専務理事が能登半島地震における地域建設業の取り組みについて特別講演も行われ、フォーラムの内容は会場からネット中継した。フォーラムで発表した内容は次のとおり。
▽DXで新たな価値創造を!「農業×土木×教育」=砂子組(北海道)▽農商工による6次産業化のDX=愛亀(愛媛県)▽林道工事のICT活用で生産性向上を!=平賀建設(山梨県)
▽「特別発表」能登半島地震における地域建設業の取り組み=石川県建設業協会専務理事 山岸勇氏▽地方ゼネコンのBIM戦略=美保テクノス(鳥取県)▽地域建設業に求められるDXとは?=金杉建設(埼玉県)▽少子高齢化に対応した無人化施工の挑戦!=中和コンストラクション(奈良県)
今回は、開催の趣旨説明などをまとめ、注目した発表内容についてリポートしていきたい。
未来の地域建設業に何が必要か
フォーラムで趣旨説明をする米田雅子代表幹事
フォーラムの冒頭、米田雅子代表幹事が趣旨説明をした。
「今回のテーマはデジタルトランスフォーメーション(DX)。地域建設業は生産性向上、働き方改革、担い手確保などの課題を抱えており、課題解決のために建設DXが期待される。これまで国土交通省は、公共事業でDXを進め、ドローンなどを利用した三次元測量、ICT建機による施工、施工検査の省力化、遠隔臨場などを推奨してきた。さらにDXは、地方自治体や民間工事へ波及しつつある。
ただし地域建設業の中には、三次元測量を外注に頼る企業も多く、限られた資金力でどこまでDXについていけるか少し不安視される企業も少なくない。今回は、地に足のついたDXを考えることを目的に、自前でDXに挑戦されている先行事例を紹介したい。これらの発表を通じて未来の地域建設業には何が必要か、ともに考えたい」
「i-construction2.0」の取組みで新3Kの実現を
挨拶する斉藤鉄夫国土交通大臣
続いて、斉藤鉄夫国土交通大臣が「建設業のDX推進に向けて」をテーマに挨拶した。
「国土交通省では、建設現場の生産性向上の取組みで2016年からICTの活用の支援を中心とした「i-construction(アイ・コンストラクション)」を進め、2024年4月からこれをより一層進化させて、自動化・省人化・建設現場のオートメーション化を進める「i-construction2.0」を策定したところだ。この取組みで2040年度までに少なくとも省人化3割、生産性を1.5倍に向上させ、「給料」が良い、「休暇」が取れ、「希望」が持てる新3Kの実現を目指す。本日のフォーラムにより地域建設業のDX推進につながり、生産性向上や働き方の変革への一助となることを期待する」
高橋光男・農林水産大臣政務官の挨拶(代読:長﨑屋圭太・林野庁森林整備部長)
次に、高橋光男・農林水産大臣政務官の挨拶を長﨑屋圭太・林野庁森林整備部長が代読した。
「近年では豪雨災害が頻発しており、全国各地で大きな被害が発生した。自然災害が頻発化・激甚化する中で、2023年7月には新たな国土強靭化基本計画が定められた。同計画では、防災インフラ整備に加え、デジタルと新技術の活用による、国土強靭化計画の高度化を新たな柱とし、国土強靭化にデジタルの力を最大限活かす。農林水産省では、同計画に基づき、ICT施工の導入や農業用水や森林の整備などによる国土強靭化の取組みを引き続き実施する。本日のフォーラムでは農業・林業におけるICT施工やデジタル化などの技術を活用した様々な事例発表が行われるとうかがっている。地域の現場の知恵を今後の農林水産施設に活用していきたい」
DXの推進で人手不足の解消を
挨拶する太田昭宏・元国土交通大臣
さらに太田昭宏・元国土交通大臣も登壇した。
「私は2012年の暮れに国土交通大臣に就任した。その直前の同年12月2日に笹子トンネル天井板落下事故が発生した。考えてみれば1990年代は崩壊するアメリカと呼ばれ、橋が落下し、大変な状況になり、同じように日本も高度成長時代に橋、トンネル、道路も整備したため、老朽化対策はとても大切との認識に立った。防災、減災、老朽化対策、メンテナンスに注力するため、2013年を社会資本メンテンナンス元年と打ち出した。また、昨今、「建設業の2024年問題」と叫ばれているが、一番人手があるのは今年である。次に人手があるのが来年だ。これからずっと人手がなくなるときに、どうすべきかを考えた際、3K(キツイ、汚い、危険)という職場ではなく、新3Kの職場にしていかなければ、若い人が入職されないではないか。ぜひ若い力を結集して、新たな推進力になってほしい。地方の建設業で聞いた話によると、私たちはDXの企業と強調すると若い方も入職される事例があり、とても大事な話だと思うと同時に、足らざるところは外国人労働者、何よりもDXの推進により人手不足を解決することが肝要だ。斉藤大臣は新3Kに加えて、カッコいいを含めて新4Kを提唱されているが、デジタルはカッコいいにつながると思う」
【砂子組】DXで土木と農業を融合
左から、砂子組の砂子邦弘社長と高畠優花氏
第1部のテーマは、「農業・林業におけるICT施工・デジタル化」。
冒頭の砂子組の発表では。砂子邦弘社長と企画営業部ICT施工推進室の高畠優花氏が登壇した。同社は情報化施工時代からICTを学び、施工に活かしてきた。2017年(平成29年度)の第1回 i-Construction大賞では、道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事で国土交通大臣賞を受賞。ICTは人材育成では最適であり、企業運営的にも続けることで、効力を発揮するとの認識に立った。同社は、札幌市と旭川市の中間の空知地区にあり農業生産が盛んな地域で、ICT技術を「スマート農業」として農業基盤整備に活用されているという。登壇した高畠氏は地元の農業土木科を卒業し、同社入社後4年目になる。農業土木の現場に従事しつつ、ICT施工に研鑽し、若い力でDXの価値創造を生み出している。
【愛亀】建設業の管理手法を農業へ転用
愛亀 道路管理営業部の西山諒氏
愛亀は、愛媛県松山市に本社を置く舗装工事業者。県内にアスファルトプラント合材を4基構える。同社は12社のグループ会社で構成し、それぞれの強みを活かした連携を図る。その一つに「農業法人あぐり」がある。当時は本業の舗装工事業の閑散期に技能者の仕事が不足するため、雇用の維持や技能職員のマルチ化を図るために設立された。あぐりでは「建設業者が行う農業」の特性を活かし、愛亀で行う工程管理、品質管理、安全管理を活用し、安全で効率的な有機栽培を目指している。
【平賀建設】施工スピードのアップで現場は儲かる
平賀建設の平賀健太社長
山梨県・韮崎市に本社を構える平賀建設は、2018年11月にはじめてICT建機を購入し、現在は約40台に増やしている。社内では「1000万プレーヤーを創出しよう」との目標を掲げた。まず、社内で2000万円のICT測量機器や関連アプリアプリを購入したところ、元々2億4,000万円の売上から2億8,000万円に伸ばした。平賀建設が考えた生産性向上は、「スピード」と結論付けた。さらに圧倒的な施工スピードを実現すれば現場で収益をあげられるとの認識に立ち、現場にあったICTテクノロジーとその使い方をしっかりすれば利益を出せるとした。
この3社の発表を受けて、緒方和之・農林水産省農村振興局整備部長、長﨑屋圭太・林野庁森林整備部長、谷口博昭・建設業技術者センター顧問が発表内容についてコメントを寄せた。
左から、長﨑屋圭太・林野庁森林整備部長、谷口博昭・建設業技術者センター顧問、緒方和之・農林水産省農村振興局整備部長
【石川県建設業協会】能登半島地震で奮闘する地域建設業
石川県建設業協会が取り組んだ道路啓開
続いて石川県建設業協会の山岸勇・専務理事が「能登半島地震における地域建設業の取組み」で特別発表した。
地震発生後の1月2日に協会内に「能登半島地震災害対策本部」を設置し、同日、道路啓開に出動、1月4日には物資運搬を開始、1月6日には砕石運搬を開始、1月12日には被災建築物応急危険度判定の応援に動いた。
道路啓開では、各所で崩土が道路を塞ぎ、また段差や地割れも発生したため、段差を解消し、地割れを埋めつつ、少しずつ北上していく作業であった。また、路肩も大きく崩壊した道路もあり、道路啓開に必要な砕石を補充し、道路幅員を確保しながら進めていった。また山地部も多く倒木も随所に見られた。「倒木除去に大変時間がかかった。まさにほふく前進する形で進んでいった」(山岸氏)
また、国や石川県から道路啓開に必要な砕石運搬の要請もあった。採石場から珠洲市の先端まで約150kmある。関東に例えると、足立区北千住から栃木県日光市の距離である。距離があり、道路事情が悪化しているとのことで効率の良い運搬は困難であった。そこで、のと里山街道の「徳田大津IC」近くに一次集積場を設置し、そこから先の二次運搬に分けて、運搬時間の短縮を図った。この処置により、砕石の安定的な供給が実現した。3月末まで砕石運搬を続け、その量は約3万2,000m3、ダンプトラックにして延べ約6,000台に相当した。また、被災した市や町に飲料水、ブルーシート、土嚢などの物資運搬を行った。
被災地である能登地域の建設業者は、自らが被災者であるため、避難所から現場に通い、道路啓開などの緊急工事に従事。一方、被災が少なかった4地区協会(金沢、白山野々市、小松能美、加賀)ではローテーションを組んで、1班は3~4名の編成で複数班(最大30班/日)が能登地域の緊急工事にあたった。地震発生直後は停電や断水が続いていたため車中泊での現地作業であり、オール石川の総力戦で復旧工事を進めた。被災約100日後の4月19日には道路啓開作業、被災した護岸の補修はおおむね目途がついた。
「建設産業は、能登半島地震からの復旧・復興の原動力である。これから本格的に復旧・復興工事の発注がなされると思われるが建設業界一丸となって対応していきたい。ただ、能登半島では仮設住宅の整備が進んでいる最中。災害がれき処理もこれからだ。被災した建築物の復旧も道半ば。ボランティアの力をお願いする地区も残っているのも現状だ。ぜひ、全国の皆さんのご支援をお願いしたい」(山岸氏)
谷口博昭・建設業技術者センター顧問は山岸専務理事の特別発表を受けて、「事前に県が道路啓開や地域防災の計画を立てて、訓練も行い備えておくことが重要だ。とくに、国土強靭化の加速は忘れてならない。建物では古い基準では被災を受けているが、新しい基準の建築物はそれなりに耐えたため、新たな基準によって、インフラを計画的・先行的な整備を加速していく必要がある」とのコメントを寄せた。
【美保テクノス】「FULL-BIM」への挑戦
FULL-BIMでチャレンジした美保テクノスの新社屋
第2部は「BIM・CIMの対応/インフラ分野のDX戦略」がテーマだ。冒頭、美保テクノスが「地方ゼネコンのBIM」をテーマに野津健市社長と竹内智恵・BIM戦略部課長が発表した。
美保テクノスは、鳥取県米子市に本社を置く、老舗の地域建設会社。従業員数は約220名で売上完工高は年間100億円で推移、鳥取県内では有数な規模のゼネコンだ。
2018年に「BIM戦略部」を設置し、地方ゼネコン型BIMの実現に踏み出した。また、2022~2023年にかけて美保テクノス自身が発注者の立場となる案件が2件同時に進行した。一つは、「鳥取県西部総合事務所新棟・米子市役所糀町庁舎整備等事業」。これはPFI事業で同社が特別目的会社の代表企業をつとめたため、発注者の立場となった案件だ。二つ目は53年ぶりの建て替え工事となった、同社新社屋新築工事。両案件とも、すべての建築生産プロセスでBIMを活用する「FULL-BIM」で対応している。「同時期に発注者の立場でFULL-BIMで思う存分チャレンジできたのは、極めて幸運であった」(竹内氏)
この2物件を通じて次の15項目に挑戦した。①お客様要求事項の可視化②安全管理(施工面)③見えない問題の見える化④空調能力・消費電力の最適化⑤安全管理(建物利用時)⑥クラウド活用による情報共有⑦Digital-Fabrication ⑧鉄工所とのモデル連携⑨ メーカーとのモデル連携⑩ サブコンとのモデル連携⑪ICT施工と建築土工⑫施工図BIM⑬仮囲い・足場計画⑭建て方計画⑮搬入計画
この15項目への挑戦により建設現場で重要とされる品質、原価、工期、安全、環境という「QCDSE」にいい影響を与えることへ証明され、美保テクノスのBIM技術が飛躍的に進歩した。実際、2022年と2023年にアメリカで開催された、オートデスク社主催のグローバル研修会「オートデスク ユニバーシティ」に参加したが、美保テクノスの3Dモデリング、作図技術は世界水準であることを確信したという。
続いて大きな分岐点であったのが国際規格ISO19650「BIMを含む建築及び土木工事に関する情報の統合及びデジタル化-BIMを使用する情報マネジメント」で、BIMを活用した建築プロセスの適正化をこのISO19650に求めた。BIM戦略部全員がISO19650の意図とプロセスを理解し、その後の6ヶ月間の申請期間を経て、地方建設業として初のISO19650を認証に至った。現在は従来の設計フローとISOの仕組みを融合した、独自のBIMワークフローを確立し、設計・施工案件で運用中だ。「着工までに正確な設計情報をとりまとめ、現場と共有し、現場での生産性向上を目標とした。設計手順と必要な情報の明確化、スケジュール管理がきちんと行うことができ、設計業務に従事する若手のスキル向上、早期戦略化につながった」(竹内氏)
ISOを反映させた美保テクノスのBIMワークフロー
建設現場での効果も表れた。設計情報が不完全であることが現場の生産性を低下させる要因になるが、BIM戦略部のスタッフを現場に常駐させ、BIMにより不整合、不正確な点を明確にすることで、BIMによる現場支援を展開した。「複雑なおさまりの点に特に効果が高く3Dモデルによる見える化により職人との相互理解に役立った」(竹内氏)
最後に野津社長は、成果は主に3点に集約されると語った。1つ目は、BIMによる本業の強化。これは、同社の社是は「よい仕事を、早く、安く、安全に」であるが、BIMに適切に取り組むことで工期の短縮、コストの削減、より安全な施工を実現できることを目指し、成果の手ごたえを感じた。2つ目は、BIM周辺事業による収益で、まだ充分には収益化の実現には至っていないがBIM関連事業で収益化が期待できる事業がある。3つ目がBIMのトップランナーとしての強みだ。この効果によりBIM関連人材や技術者の獲得やBIMに関する情報もいち早く入手できる点も見逃せない。美保テクノスは、BIMにより数多く挑戦してきたが、世界でも最先端の仕事が地方ゼネコンでもできることを実証し、広く発信していきたいという言葉で締めた。
【金杉建設】チルトローテータの搭載率を50%へ
国土交通省 江戸川河川事務所では最新の建設技術を活用する取組み「江戸川DXプロジェクト」がスタート。そのタイミングで金杉建設が施工する現場内で最新技術を用いた重機による巨大メッセージを作り上げた。
次は金杉建設の吉川祐介社長が「地域建設業に求められるDX」をテーマに登壇した。この場で金杉社長は、チルトローテータに言及した。バックホウの作業装置(バケット等)をチルト(傾斜)し、ローテート(回転)する事を可能にするアタッチメント。加えて作業装置をワンタッチで付替可能であり多種多様な作業装置を短時間で装着することができる。作業装置の交換により、掴む、掃く、持ち上げる、敷き均す、押し切る等の多種多様な作業が可能になる。
チルトローテータ搭載のバックホウの普及率は北欧では95%に達し、この傾向は日本でも急速に普及すると語った。そこで各種の補助金や税制優遇を有効活用し、他社に先駆けて自社保有建設機械のチルトローテータの搭載率を引き上げることがICT/DXでとるべく戦略であるとし、吉川社長は今後の5年間で保有重機のチルトローテータの搭載率を50%とすることを明言した。最後に地域建設業に求められるDXとして、「人的・物的資源を把握する」「地域の環境を把握する」「顧客のニーズを把握する」「先端技術の動向を把握する」を勘案しつつ、それぞれの会社に応じて最適なDXの投資を行い、生産性の向上を図ることが地域建設業に求められるDXとまとめた。
【中和コンストラクション】少子高齢化での無人化施工の挑戦
「少子高齢化に対応した無人化施工の挑戦!」をテーマに講演する、中和コンストラクションの大浦晃平社長
最後の発表者は、奈良県・桜井市に本社を置く中和コンストラクション。「少子高齢化に対応した無人化施工の挑戦!」と題して大浦晃平社長が語った。
2011年に発生した紀伊半島大水害の災害復旧工事に携わる中で、2度の無人化施工に取り組んだ経験が、同テーマへの挑戦を行った背景である。
地方の中小規模事業者の現場労働力不足の問題は、災害対応時に留まらず、一般土工・インフラメンテナンスなど国土づくりの日常業務の喫緊の課題となっている。この課題を解消するべく、中和コンストラクションは国土交通省のイノベーション創出を促進するための制度(SBIR制度)での「災害に屈しない国土づくり、広域的・戦略的なインフラマネジメントに向けた技術の開発・実証」分野に応募し、採択を受けた(代表会社はORAM)。実施テーマは、「建設施工・災害情報収集における高度化の技術開発と実証」で、その内容は、大規模土工を対象に開発が進む建機施工の遠隔化・自動化・省力化技術を中小規模土工向けの簡易性・汎用性・量産性を向上させ、中小規模土工での建機省人化事業の社会実装を検証する。地域建設業と中小製造業がタッグを組み、無人化施工のイノベーション創出を目指す。具体的な技術開発内容は、メーカーや建機にとらわれずさまざまな重機や作業機械を遠隔で操縦するための後付け装置「RemoDrive®」を開発し、量産化に取り組む。
今後の取組みでは、事業開発プロダクトである「他機種対応後付け遠隔操縦システムRemoDrive®(OPERA対応)」と「他機種通信規格プラットフォーム」を中心に、中小規模の土木工事に向けて最適化した自動化・遠隔化のソリューションを提供し、「建機遠隔操縦事業」を創出し、少子高齢化・人材不足の時代に対応していくことを目指している。
左から、皆川芳嗣・農林中金総合研究所理事長、楠田幹人・国土交通省官房審議官(不動産・建設経済局、現住宅局長)、森下博之・国土交通省大臣官房参事官(イノベーション担当)
森下博之・国土交通省大臣官房参事官(イノベーション担当)、楠田幹人・国土交通省官房審議官(不動産・建設経済局、現住宅局長)、皆川芳嗣・農林中金総合研究所理事長の3名が3社の発表を受けてアドバイスを寄せた。
大石久和氏「挑戦的な取組みに敬意」
総括コメントを寄せた、大石久和・国土学総合研究所長
全体総括のコメントとして、大石久和国土学総合研究所長が「印象を一言で申せば、非常に挑戦的な取組みだ。地方におられる建設会社が新たな技術産業界に持ち込み、より働きがいをもって効率的に仕事ができるよう挑戦されている。皆さんがなぜ頑張っているかと言えば、雇用の場を地方で確保しなければならないとの想いをお持ちだからこそだ。次にインフラを整備することにより人々が暮らしやすい環境をつくる。そこで人々が東京に逃げていかないような環境をつくることについて深く感銘を受けた」と語った。
最後に、斉藤和之・フォーラム実行委員長(北海道)が「デジタル技術の進展に伴い、建設DXの普及が急速に進展する中、限られたリソースを駆使し、必死にi-constructionに取り組んでいる中小建設業界は少なくない。地域のDXが生産性向上や担い手確保、働き方改革などの課題を解決する手段であると考え、全国のトップランナー企業のお集まり、地に足がついた先行事例を発表していただいた。地域建設業はインフラの町医者として、その地域の利便性や快適性、生活の質を高めるという役割を果たし、その地域の安全・安心を守る地域の守り手として、災害などから地域を守る役割がある。生産性の向上は建設業にとって必須事項であり、その歩みを止めてはならない」と語り閉会とした。