土木工事には多くのワナが潜んでいる。いまだに、皆よく普通の顔をして業務をこなせるなーと感心することもあるくらいだ。
年数が経ってある程度の要領が分かってきたため、現場を回すことができるようになったが、初めて施工管理をする時には気をつけなければならないポイントがいくつかある。
図面を疑い、自分の手で作図する
施工管理になって一番初めに驚かされることが、発注図面の間違いが多いことだ。契約後に渡される図面の平面や横断図は、必ずと言っていいほど間違いがある。
実際に計画する構造物が平面図上の全く異なった箇所に書かれていたり、図面上に書かれている寸法がそもそも違っているなど、工事を進めていくうちにどんどん間違いが出てくるケースは少なくない。
特に平面図に関しては、最初にもらった図面を鵜吞みにしてそのまま使って座標を拾ってしまうと、取り返しのつかない状況になりかねない。図面の情報を信用し過ぎず、自分の手で作図を行うことが大切だ。
平面図は横断図等の情報から線形を引くことが多いと思うので、自分で毎回出したいポイントの場所は作図してポイントを出すようにしてほしい。横断図から自分で基準線からのオフセットで作図をしたときに、元々の線形と合わないことがほとんどだからだ。図面を疑うことから覚えよう。
既設部分の施工をまず考える
工事現場では大体、既設部分との摺り付けが存在する。その際に、今回施工する箇所だけを考えればいいというわけではない。既設部分との兼ね合いを考えた施工を行わなければ、最後に工事が止まってしまうこともあり得る。
特に、擁壁や水路など、既設構造物との摺り付けを行う際には、既設部分の高さや位置をよく確認しておくことが必要になる。たまに摺り付け部分の構造物の寸法が大きいことや高さがおかしいということがあるからだ。
事前に現地の調査をしっかりと行い、既設部分との摺り付けをあらかじめ考えて発注者に相談し、施工方法を明確にしておく必要がある。現場に入ってまずは既設部分の施工を考えよう。
近隣住民とのコミュニケーションを怠らない
工事において一番難しいのは、近隣住民とのコミュニケーションだと思う。特に工事に直接関わりのある地主、水道や電気を借りるお宅、隣接する住民など、コミュニケーションを取っておかなければならない人は非常に多い。
工事がはじまった途端、文句を言ってくる人もいる。特に借地、電気、水道等を借りる方に関しては事前の挨拶と、決められた期日を必ず守り、料金の支払いなど遅延なく行うことが非常に重要だ。
私の過去の体験談だが、水中ポンプの電源を借りるため、1週間住宅の電気を借りたことがあった。工事の遅れから電気を借りる期日が延びることが予想されたのだが、工事の忙しさから挨拶に行くのが遅れ、住民の反感を買い、その後工事に関して一切協力してくれなくなってしまった苦い経験がある。
近隣住民が工事に協力的だと現場はスムーズに回る。当たり前だと思うだろうが、新人の頃は業務に精一杯で、これが意外と難しいものだ。挨拶や期日、お金の支払いといったことは紙に赤書で書いておくなどして、絶対に最優先で対応することを心掛けよう。
――今回あげた3つは、多くの土木施工管理が初めての現場でつまずいたり、失敗しやすいポイントだ。最初にこれらのことを意識して現場に入るだけでも、失敗を減らし、業務を円滑に進めることができる。今日も一日ご安全に!
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