『ホリエモンAI学校 建築校』を新たに開校したLIFEFUNDの白都卓磨社長

『ホリエモンAI学校 建築校』を新たに開校したLIFEFUNDの白都卓磨社長

現役工務店がホリエモンAI学校「建築校」を開校。「建築AI経営研究会」も発足へ

静岡県浜松市でARRCH・PG HOUSEを展開し、年間約100棟を手がける株式会社LIFEFUND(静岡県浜松市)は、ホリエモンAI学校株式会社(東京都新宿区)とフランチャイズ契約を締結し、建築業界に特化したAIスクール『ホリエモンAI学校 建築校』を新たに開校した。

建築業界は典型的な労働集約型産業でありながら、慢性的な人手不足に陥っている。採用難に加え、人材が定着しないという構造的な問題を抱える中、2024年問題により時間外労働の上限規制が適用され、働きたくても働けない状況が生まれている。個人の業務負担は限界に達し、「残業が当たり前」という業界体質の中で効率化の糸口が見えず、「AIを導入したいが、何から始めればいいかわからない」「社内にAIを理解・活用できる人材がいない」という悩みを持つ企業は多い。

同校では、たとえば「議事録作成」において、従来2時間近くかかっていた業務をわずか10分で完了させる事例などを紹介。AIの知見を深め、「AIを使いこなす会社」へと変革することで、優秀な人材が集まる企業づくりも支援する。8月25日には、建築会社経営者・住宅関連事業者に向けたウェビナーを開催し、「即実践できるAI活用術」を公開。当日は、LIFEFUND代表取締役の白都卓磨氏と、ホリエモンAI学校株式会社 取締役CTOの熊澤秀道氏(『ChatGPTと学ぶPython入門』著者)が登壇。150社以上が参加し、アンケートによる満足度は90%以上を記録。「AI活用が経営戦略として不可欠だと確信した」と高い評価を集めた。さらに同校では「建築AI経営研究会」を発足させ、11月26日に初会合を開催した。

今回は、運営元である株式会社LIFEFUNDの白都卓磨社長に、建築校設立の背景や建築会社におけるAI活用について話を伺った。

ホリエモンAI学校「建築校」設立に名乗り

――ホリエモンAI学校の「建築校」を設立した背景と理由をお聞かせください。

白都卓磨社長(以下、白都社長) 実業家の堀江貴文氏が監修・プロデュースする「ホリエモンAI学校」は、AIを「作る」のではなく「使いこなす」ことをコンセプトにしたオンライン研修プログラムです。未経験者でも業務にAIツールを活かせるスキルを段階的に習得できます。

弊社(LIFEFUND)も、人手不足や採用難といった課題を解決するためにAI活用を模索していました。いろいろなAIスクールに入会したり、AIツールを導入してみたりしましたが、建築業界特有のAI活用事例が存在しないため、どうしても「AIツールの使い方」にとどまってしまい、自社の業務に活用するイメージが持てませんでした。

そんな中、ホリエモンAI学校が業界特化型のフランチャイズ展開を計画していることを知りました。建築業界に特化しているという点が非常に魅力的で、「建築業界でのAI活用事例を広く共有し、業界全体を変革したい。そして弊社自身が日本で一番AIを使いこなす企業になりたい」との思いから、真っ先に建築校として名乗りを上げました。

2025年7月には、福岡のFMラジオ局「CROSS FM」で堀江貴文氏と対談を行いました。その際、「建築業界のようなアナログな世界こそ、AI導入によってイノベーションが起こる可能性が高い」という認識で一致しました。

世の中にAIスクールは数多くありますが、現役の建築会社が運営する建築業界特化型のスクールは稀有な存在です。動画学習に加え、建築会社同士で情報交換や実例共有ができる場として機能させていく構想を持っており、すでに「建築AI経営研究会」としてコミュニティを立ち上げています。工務店だけでなく、設計事務所や施工店など、建築会社という大きな括りで業界全体のAI活用を推進していきたいと考えています。

――8月のウェビナーでも具体的な事例を紹介されたそうですが。

白都社長 はい。8月25日のセミナーでは、いくつかの実践事例を紹介しました。

たとえば「議事録作成」は、建築業界で「言った・言わない」のトラブルを防ぐために必須の業務ですが、新人社員が作成すると2時間近くかかります。さらに上司報告用の要約版や、お客様提出用など用途別に作成すれば、膨大な時間が奪われます。しかし、録音機能とAIを備えた「PLAUD NOTE」などを活用すれば、打ち合わせ内容の要約まで自動化され、作業時間はわずか10分に短縮できます。

「PLAUD NOTE」での議事録作成

――ウェビナーでの反響はいかがでしたか?

白都社長 「実際の活用事例が豊富で、自社の業務に置き換えて考えやすかった」「社内で属人化しているアナログ作業を自動化するヒントが得られた」など、9割の方から満足の声をいただきました。とくに、「生成AIを使わないことが最大のリスク」という言葉が印象に残ったという感想も多く、経営資源としてAIを捉える必要性を強く感じていただけたようです。

手描きラフから5分でプロ並みのパースを作成

――事務作業以外でのAI活用事例はありますか?

白都社長 リフォームや注文住宅の提案業務でも威力を発揮しています。

かつてはAIの画像生成クオリティも発展途上でしたが、最近の進化は凄まじいものがあります。たとえば、インテリアコーディネーターがお客様の要望を元に描いたラフな手描き図面をAIに入力するだけで、わずか5分でリフォーム後の完成予想図を作成できます。従来、CG会社に外注すれば2週間かかり、1枚3万円程度のコストがかかっていたパース作成が、AIなら無料かつ短時間で完了します。

手描きのイメージ図からプロ並みのCGに仕上がる

また、経営面でも活用が進んでいます。競合他社のデータ分析や市場調査の時間を短縮したり、会議資料の準備をAIに任せることで、素早い経営判断が可能になります。

施工管理の領域でも具体的な活用が進んでいます。施工写真から現場の施工状況をAIが分析して報告書を作成したり、お客様への施工報告を写真から自動判定したりしています。また、図面の比較・差分析のアプリをAIを使って自社開発し、図面チェックの効率化も実現しています。営業・技術・監督から経理・総務に至るまで、全職種でAIを活用できるポテンシャルがあると考えています。

――建築校のカリキュラムについて教えてください。

白都社長 ホリエモンAI学校のカリキュラムは、現場の忙しい方でも「いつでも・どこでも」学べるよう、動画視聴が中心です。ChatGPTによる生成AIの活用法に加え、GeminiなどのAIツールや「Zapier」を使った業務自動化など、250以上の講座があります。段階的にAIを学んで身につけ、業務に落とし込んでいけるようカリキュラム化されており、最新のAI情報も随時更新される動画でキャッチアップできます。

建築業界全体の困りごとを解決することを目指し、建築校独自のコンテンツとして、パース作成や議事録だけでなく、見積作成や積算など現場で使える実務事例を建築業界に特化した形でどんどん追加していく計画です。ただし、AIは魔法ではありませんので、「どの業務の、どの部分に、どのツールが使えるのか」を具体的に伝えることが重要だと考えています。

ホリエモンAI学校建築校の特徴

――建築業界における生成AIの浸透度をどう見ていますか。

白都社長 経営者の方は比較的AIに触れたり、使ったりした経験がある方が多いです。しかし、業務として本格的に使っているか、社内に浸透させられているかというと、ほとんどが属人的な活用にとどまっています。社内全体にAIを浸透させられている会社はかなり少ないというのが実情です。だからこそ、「社内にAIを浸透させたい」「品質とスピードを両立させたい」というニーズに応える建築校の役割は大きいと確信しています。

建築AI経営研究会、11月始動

――運営母体であるLIFEFUNDについても教えてください。

白都社長 1972年に静岡県浜松市で創業した建築会社です。建築×不動産によるソリューションを提供しています。具体的な事業としては、新築注文住宅ブランド「ARRCH」、PG HOUSE、空き家再生事業、リノベーション、エクステリアのほか、不動産仲介、相続コンサルティング、民泊事業にも取り組んでいます。

2015年に新築注文住宅事業「ARRCH」を立ち上げました。特に「建築家とつくる家」という領域では、まだ建築家と家をつくることが一般的ではなかった時代からパイオニアとして提供し続けてきました。日本全国の建築家ネットワークである「デザインカーサ」では5年連続の設計数日本一を達成して殿堂入りを果たし、デザイン系住宅の日本を代表するパイオニア的企業となりました。

「PG HOUSE」

また、2025年からピュアグロース株式会社が立ち上げた注文住宅フランチャイズ「PG HOUSE」の日本1号店として、「PG HOUSE 浜松」をLIFEFUNDがオープンしました。施設は地域最大級の自社展示場「PGパーク」を5月にオープンさせ、コストパフォーマンスに優れた高性能住宅として注目を集めています。開店からわずか7ヶ月で34棟の契約を達成しました。この実績はYouTube「青汁王子 三崎優太チャンネル」でも取り上げられ、全国の建築会社から毎月視察に来ていただいています。

賃貸より安く理想のマイホームに住む方法を見つけてしまいました。 / YouTube(三崎優太 元青汁王子)

実装型コミュニティー「建築AI経営研究会」を発足

――「建築AI経営研究会」の初会合も開催されましたね。

白都社長 建築業界を高生産性産業へと変革することを目的に、実装型コミュニティー「建築AI経営研究会」を発足しました。日本で一番AIを使う建築会社のコミュニティとして、最先端の場を目指しています。2025年11月26日に浜松市で初会合を開催しました。初回となる今回は、研究会立ち上げの目的共有に加え、LIFEFUNDのAI活用事例紹介やAIエージェント構築のミニ体験などを実施しました。参加社数は25社で、そのうち17社が継続入会を決めていただきました。北海道から福岡まで、全国各地の経営者が集まる場となりました。参加者アンケートでは満足度95%で、建築AI経営研究会の立ち上げは大成功を収めました。

建築AI経営研究会が始動

私は、この席で「インフレ・衰退期を勝ち抜く『一人当たり売上高1億円AI経営』戦略」をテーマとした基調講演を行い、①必然的に「一人当たり売上高1億円経営」を目指さなければならない理由、②現状維持が「ゆるやかな倒産」を選ぶことと同じ理由、③企業の存続を可能にする唯一の手段がAIの3点について説明しました。第2部では、AI事業責任者による「LIFEFUNDにおけるAI活用事例」を紹介し、①「AI経営」の実現のための改善サイクル、②営業から人事まで――LIFEFUNDのAI活用事例、③AI経営フレームワークと「3つのリスク」について解説しました。

基調講演を行った白都社長

第3部では、ホリエモンAI学校建築校の事務局リーダーである石野祐太朗氏が「AIエージェントを自分で構築しよう」をテーマに、AIによる業務自動化のミニ体験会を開催しました。①「点」のAI活用から「線」の業務自動化へ、②現場の課題を解決するAIエージェント活用事例、③AIエージェント作成をミニ体験について詳述しました。参加者の声としては、「建築現場でのAI活用事例を具体的に聞けたことで、自社での応用イメージが湧いた」「数字や実績を示した経営改善の説明は説得力があり、建築会社経営の判断に参考になった」「AIツールを初めて触れて、建築業務の効率化にどう活かせるか理解できた」「他社の実例共有があり、自社で取り入れられる施策が具体的に分かった」「労働力を減らしつつ生産性を上げる白都社長の事例は、現場管理や経営改善の参考になった」などがありました。

第3部では、ホリエモンAI学校建築校の事務局リーダー・石野祐太朗氏がAIエージェント構築のミニ体験会を実施

AIを導入しない企業は、顧客対応のスピードや品質で劣後し、淘汰されていくでしょう。建築業界で生き残るためにはAI導入は必須です。たとえば、売上10億円・従業員20人の建築会社があるとします。一人当たりの生産性は5,000万円です。仮に売上を20億円まで増やしたければ、単純計算で従業員を40人にすれば可能です。しかし、現在の人手不足の状況で従業員を倍にすることは極めて困難です。しかし、AI経営によって一人当たりの生産性を7,000万円、8,000万円と上げていくことができれば、人手不足の中でも事業規模の成長は可能です。

会社の中にAI担当者が一人いればいいということではなく、社員全員でAIを活用できるような業界の在り方を目指して、課題の解決に取り組んでいきます。

なお、次回の建築AI経営研究会は、2月2日(月)東京・品川にて開催予定です。初回参加は無料ですので、建築業界でのAI活用に関心をお持ちの経営者の方は、ぜひこの機会にご参加ください。

建築AI経営研究会 申込フォーム:https://forms.gle/v2vBk4mcuzvP69oSA

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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