左から、オープンハウス・ディベロップメントの開発事業部部長代理の須藤光輝氏、同部主任の大田拓夢氏

左から、オープンハウス・ディベロップメントの開発事業部部長代理の須藤光輝氏、同部主任の大田拓夢氏

「戸建賃貸」という”第4の住宅市場”開拓へ。オープンハウス・ディベロップメントとケネディクスが供給目標2万戸に向け連携強化

株式会社オープンハウスグループは、ケネディクス株式会社が展開する戸建賃貸住宅「Kolet(コレット)」の累計供給戸数目標2万戸達成に向け、協力体制を構築した。グループ内で土地仕入れおよび戸建の建築を担う株式会社オープンハウス・ディベロップメントがKolet向けに戸建住宅を供給し、戸数および対象エリアを拡大する。なお、オープンハウス・ディベロップメントにとって戸建賃貸住宅向けの用地買取は初のケースで、Kolet向けの供給戸数は年間1,000棟を目指す。

オープンハウス・ディベロップメントは、戸建分譲で培ったノウハウが詰まった建築施工体制を活かし、2021年からケネディクス社へ新築戸建住宅を供給してきた。2025年9月からは、現在の分譲エリアから一歩離れた東京都八王子市、千葉県千葉市エリアなどにおいて順次、用地仕入・住宅建築を新たに行い、Kolet向けの供給規模を拡大させた。対象エリアで土地の買取(仕入)から戸建の建築までを一貫して行い、ケネディクス社がファンド組成物件として取得し、Koletとして展開するスキームだ。賃貸募集や物件管理は東急住宅リース株式会社が担当する。

今回、この新たな取組みについて、オープンハウス・ディベロップメントの開発事業部部長代理・須藤光輝氏、同部主任・大田拓夢氏に話を聞いた。

不動産アセットマネジメント大手ケネディクスとタッグ、市場開拓へ

ケネディクス社は、5兆円を超える受託資産残高を持つ国内最大級の不動産アセットマネジメント会社だ。戸建賃貸という新しいライフスタイルを提供するKoletなど、様々なビジネスに果敢に挑戦しており、2025年10月には三井住友ファイナンス&リース株式会社の100%子会社となった。

Koletは、原則として東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の一都三県に所在する2~3階建ての物件で、ゆとりのある間取りが特徴だ。騒音やプライバシーへの配慮、ペットとの暮らし、二世帯同居、趣味を楽しむためのスペースなど、多様なライフスタイルに応え得る住まいの選択肢となっている。また、再生可能エネルギーの活用やスマートホーム化などサステナビリティにも貢献し、広く快適な住まいを求める人々にとっての新たな選択肢として注目を集めている。

ケネディクス社は、一都三県で100万戸を超える市場規模(同社調べ)の大きな潜在的需要を見込み、戸建賃貸を投資対象としたファンドを業界に先駆けて組成した。

戸建賃貸「Kolet(コレット)」

一方、オープンハウス・ディベロップメントは、高い設計・施工ノウハウ、強力な土地仕入力に加え、製販一体のビジネスモデルやスケールメリットによるコストダウンを実現している。この強みを活かして戸建賃貸をケネディクス社のKoletへ供給することで、供給物件数の増加と取引エリアの拡大を実現することが期待されている。

「戸建を借りる」という第4の市場を創出

オープンハウス・ディベロップメント開発事業部部長代理の須藤光輝氏は、連携の背景にある転換点について次のように解説する。

ケネディクス社は2021年8月に戸建賃貸ファンド事業を開始し、オープンハウスグループら大手戸建分譲住宅事業者との協調体制を構築した。この際、広さを求める借家世帯の未充足ニーズを捉え、「マンションを買う」「マンションを借りる」「戸建を買う」に加えて、新たに「戸建を借りる」という第4の市場の創出・拡大を目指したのである。

この協調体制に基づき、ケネディクス社はオープンハウスグループから、今回の規模拡大以前に合計約2,000棟の戸建分譲を購入した。最も多く購入した年間ベースでは800棟に達する。これらの戸建を貸し出したところ、入居率が安定していることもあり、オープンハウスグループとの協業をさらに深めるに至った。そこでオープンハウス・ディベロップメントは、ケネディクス社のKolet向けに土地の仕入れを当初から行い、一気通貫で販売する体制を2025年1月から整備。同月には社内にKoletの専属チームを立ち上げることとなった。

2024年秋、オープンハウスグループはケネディクス社の「ファンドをより大きくしたい」との意向に深く耳を傾け、それが専属チームの設置や従来の連携の大幅な更新につながった。

「この専属チームの責任者は私で、土地の仕入れ担当は4人いる。チームとは別に、当社には首都圏に200人の営業スタッフがおり、ケネディクス社向けの土地情報があれば、その中から精査して買取りを行う。その土地情報を精査するスタッフは2人で、私を含めると7人のスタッフで構成している」と須藤氏は体制を説明する。

Koletの着工前の土地

オープンハウスグループの土地仕入れは、「便利地、好立地」に代表されるように、通勤や通学に便利で暮らしやすい人気エリアが中心であり、戸建分譲をメインに販売してきた。対してケネディクス社は、昨今の都心部の不動産市場動向を受け、戸建賃貸の需要はオープンハウスグループの分譲エリアの少し外側で高まると予測している。

一方、オープンハウス・ディベロップメント開発事業部主任の大田拓夢氏は、ケネディクス社が連携を深めた理由として、「当社の戸建賃貸住宅の供給力、土地の情報力、反応のスピード力・柔軟性」などを挙げた。

「2021年8月時点での連携において、ケネディクス社は当社の実需物件(分譲住宅)を金額が合えば購入していた。これは現在でも続く連携内容だが、これに加えて都心部から少し離れたエリアでKoletをより多く供給し、累計2万戸の目標達成に寄与することが一歩踏み込んだ連携内容だ」と大田氏は力を込める。

戸建賃貸向けに「一歩離れた」新エリアを開拓

オープンハウス・ディベロップメントが新たに仕入対象とするエリアは、東京都では八王子市、東村山市、あきる野市など、神奈川県では相模原市、厚木市、海老名市など、千葉県では千葉市全域、四街道市、野田市など、埼玉県では春日部市、越谷市、所沢市などが該当する。2025年9月からKolet向けにこれらエリアで新たに用地仕入・住宅建築を行い、供給を開始している。ただ、千葉市内でも分譲戸建用と賃貸戸建用の土地に分かれるケースもあるという。

「たとえば千葉市では、本千葉駅・西千葉駅周辺では分譲戸建向けになるが、一歩離れた千葉モノレール路線地域は、戸建賃貸向けの仕入れ用地になる」(須藤氏)とエリア選定の機微を語る。

Kolet累計目標2万戸供給に向け、都心部から一歩離れた新エリアで用地買い取り・建築開始

日本人は所有欲が高いため、戸建住宅は分譲がはるかに多く、賃貸のニーズは少ないのではと考える向きが大勢だったが、潜在的な需要を掘り起こしたのがケネディクス社であった。まずケネディクス社は、投資対象エリア内(東京都、さいたま市、千葉市、川崎市、横浜市、相模原市)で一定の賃貸世帯条件に対して、4,000世帯規模のアンケートを行ったところ、実に77%の回答者が「戸建賃貸に居住しても良い」と回答したのである。

「アメリカでは戸建賃貸は普及しており、日本でも市場があるはずだが顕在化してこなかった。ケネディクス社では戸建分譲を買い取り、賃貸に出したところリーシングがついたため、需要があることが分かった。日本で戸建賃貸市場が未整備であった要因は供給側にあり、大きな潜在的な需要があることを確認した。これが都心マンションであれば賃料が高く、アパートであれば狭い。これまで都心部から一歩離れたエリアで、80㎡の2~3階建て・車庫付きの戸建賃貸がなかったため、誰も需要の確認が取れなかった」と須藤氏は、ケネディクス社による需要調査・分析を説明する。

1兆円規模の資産で2万戸の供給へ

ケネディクス社は、2025年12月時点でKoletとして累計約3,583戸、約1500億円を投資済みだが、国内外の機関投資家や法人からさらに投資を呼び込み、中長期的に1兆円の資産規模、2万戸の供給を目指す。リーシングをかけ、日本一の戸建賃貸プラットフォームの構築を図る構えだ。

首都圏では新築・中古のマンション価格が数年前と比較しかなり高騰しており、マンション購入を断念した層が戸建分譲や賃貸物件に移行する傾向もみられる。そこでケネディクス社は、広い間取りの戸建賃貸は需要が高いと見て物件数をさらに増やす戦略だ。

そこで須藤氏は現在、2つの顧客層が存在すると指摘した。「都心部に広くなくてもいいから住みたいという方と、70~80㎡の戸建で車庫有であれば賃貸であってもいいという顧客層が切り分けられている。後者の層は今後さらに伸びるとケネディクス社は考えており、今後、Koletへの供給を強化していく」と意欲を見せる。

DXによるスマートホーム化で差別化

オープンハウスグループの分譲住宅とKoletの仕様の違いは、スマートホーム機能を付加している点にある。Koletは、戸建賃貸という新たな住まい方の需要を喚起するためにDXを推進している。スマートロック、ドア窓センサー、宅内カメラなどでセキュリティ対策を強化し、赤外線マルチリモコンによるスマート家電化にも対応して遠隔操作を実現するほか、チャットで管理会社に対してメンテナンスのリクエストも可能だ。

このほか、全物件実質再エネ100%を実現し、原則として設置可能な全物件の屋根に太陽光パネルを設置、全物件にEV充電コンセントを取り付けるなど、Koletでは脱炭素も強力に推進している。

「戸建ではあるが、マンションより不便であってはならないという視点で、セキュリティなどをテックを駆使して備えている」(須藤氏)

戸建賃貸住宅でスマートホームを実装。デバイスは物件により異なる。

年間1,000棟の供給目標については、まだ道半ばとのことである。「戸建賃貸をもっと身近なものにしていくことが大切だ。オープンハウスグループのイメージが都心なので、土地情報も都心に集まっているのが実情。これからは八王子市や春日部市など、都心から少し離れた土地の購入をアピールしていくことが重要で、その認知を広めていけば、土地情報も集まっていく」と須藤氏は胸を張る。

そこで営業手法は現行の方法を踏襲するという。「Kolet向けの土地情報を収集するため、新たなエリアでの不動産仲介業の店舗に訪問する回数は今後増やしていく」方針だ(須藤氏)。

須藤氏はインタビューの締めくくりとして、「従来、日本には新築分譲戸建・マンションを購入する需要はあったが、昨今のマンション価格や賃料の高騰を受け、理想の住まいを手に入れるハードルは高まりつつある。ライフステージや働き方に応じて賃貸が向いている個人や、転勤者用に法人契約する企業など、戸建賃貸のKoletは、潜在的な需要を掘り起こし、新たな価値を提供できる」と総括。そして、この未開拓の「戸建賃貸」市場を確立させるためには、より多くの企業の参入が不可欠だと須藤氏は分析する。

「プレイヤー同士で切磋琢磨することで、戸建賃貸の市場がさらに広がることを期待している」。

その言葉には、業界全体を巻き込んで新たな市場を創造しようとする、パイオニアとしての強い気概が滲んでいた。

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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