北見工業大学と道路維持管理システム「セーフロード V」を共同開発
道路メンテナンス時代に本格的に突入した現在。小規模の地方自治体では予算不足と技術者不足により、道路インフラを管理しにくい状況が続いている。
こうした道路インフラが直面する課題を解決するべく、ソフトウェア開発などを行う株式会社要(代表取締役:田中恵次/本社:東京都千代田区)はこのほど、国立大学法人北見工業大学との共同研究で、道路維持管理システム「セーフロード V」を開発し、予約販売をスタートした。
「セーフロード V」は、どんな車であってもセンサーを取り付けて走行させるだけで、路面の凹凸を計測でき、結果をアプリで管理できるシステムで、従来の専用計測器を使うよりも簡易で低価格で活用できることから、予算や人的資源に乏しい小規模地方自治体での展開が予想される。
現在は北海道・北見市で実証実験を展開、現在、道路管理者との意見交換により、さらにシステムの進化を図っているという。地方自治体が管理する道路でのメンテナンス面で救世主として期待も掛かる「セーフロードV」の開発を担当した、株式会社要開発部所属の松田淳一郎氏に話を聞いた。
低価格帯で道路の平坦性を点検できる
――まず、道路維持管理システム「セーフロード V」とは何か、教えてください。
松田淳一郎氏(以下、松田) 地方自治体が、道路管理をする際に使用するパトロールカーに、測定装置を取り付けて、取得したデータをウェブのブラウザを通すと、地図上の道路の平坦性を可視化できるシステムになります。道路の平坦性について研究されている北見工業大学の研究室と共同開発しました。
国土交通省道路局は2016年10月に、「舗装点検要領」を策定し、地方自治体に対して、市町村道でも舗装の定期的な点検と点検結果に基づく診断・措置および取得データの記録が必須と通達しました。そこでニーズがあると考え、開発を開始しました。
――このような測定装置は他にもありますか
松田 一般的な路面の凹凸測定器は、決められた車両にしか取り付けることができません。機器を準備するだけでもコストが掛かりますが、他社製品では専用車両とシステムもセットとなっており、どうしても高額になってしまいます。すると、費用対効果の点から、高速道路や国道、都道府県道等が対象になり、予算が確保できる大規模な地方自治体等に使用が限定されてしまう欠点があります。このような地方自治体が管理する道路であれば、メンテナンス頻度も高いため導入もしやすいですが、小規模地方自治体向けとは言えません。
当社の「セーフロードV」は、どの車種でも低価格で導入できる計測器とシステムですので、その点で他社との違いがあると考えています。
――専用車両を導入しなくてもよいのはメリットですね。なぜ「セーフロードV」では、専用車両を必要としないのでしょうか。
松田 共同開発した北見工業大学の富山和也地域未来デザイン工学科社会インフラ工学コース准教授は、道路交通工学を専門に研究されていますが、その研究室では簡易路面平坦性測定装置とICT技術を開発しています。これをシステムに組み込むことで、通常車両でも導入できるシステムとなっています。