CLTに大望を抱く大東建託
『施工の神様』でも幾度となく取り上げてきた、これからの木造建築の未来を占う「CLT(直交集成板)」に新たな動きがあった。
大東建託株式会社は東京都・練馬区で、国内初となるオリジナルCLT工法によるLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)の2階戸建賃貸住宅を建築中で、今年1月中の完成を予定している。
大東建託では、2019年10月より、独自に開発したCLT工法による木造4階建て賃貸住宅「Forterb(フォルターブ)」の販売を開始。2022年7月には、千葉県・船橋市で4階建賃貸住宅の第1号物件を完成している。今後も、規格化・工業化されたCLT住宅の普及に取り組むことで、国内のCLT材の活用を促進するとともに、土地活用における賃貸住宅の可能性をさらに拡大したい考えだ。また、2022年10月には、LCCM基準を満たす賃貸集合住宅の新商品「NEW RiSE LCCM」の販売をスタート。環境に配慮した住宅建築も強化している。
大東建託はすでにZEH賃貸住宅の提案を標準化し、脱炭素社会における住宅建築の拡大を推進している。ZEHやLCCM、そしてCLT工法を野心的に導入する大東建託の環境戦略は一体どのようなものか。

現場見学会にて。左から、大東建託株式会社 技術開発部 技術開発課 チーフの大橋正典氏、技術開発部 部長の加藤富美夫氏、現場責任者であり板橋支店 工事部 課長の高橋清氏、技術監理部 技術課 チーフの佐野俊次氏
大東建託とCLT工法の出会い
大東建託とCLTの最初の出会いは、大東建託の社員が2012年にヨーロッパに視察したことから始まった。視察では木質パネルによる10~12階建ての賃貸住宅を見て回り、養生が不要で、オーストリアを中心にヨーロッパは環境に考慮していた点を確認。そして、CLT工法の導入の必要性を考えた場合、今後、日本の技術者や熟練工が減少することから、精度の高いCLT工法により現場作業を減らしていくことを目的とし、技術開発を進めた。そして、CLT工法による木造4階建て賃貸住宅の販売を開始。先に述べた、千葉県・船橋市で第1号物件も完成した。
一方、国土交通省は2022年7月から「LCCM住宅整備推進事業」を開始し、LCCM住宅の普及促進に動いている。大東建託は国土交通省の基準に合わせて、2022年10月にはLCCM基準を満たす賃貸集合住宅の商品の販売も開始した。

CLT・LCCM普及促進の背景 / 大東建託
集合住宅や戸建住宅でもCO2排出量を削減することは、将来のカーボンマイナスに向けて重要な取組みだ。そして、そのときには「木」と「省エネ」についてしっかりと検討する必要がある。今後、大東建託ではCLT工法などの木質系の材料を活用しつつ、省エネや再エネを組み合わせて、ZEH、そしてさらにその先にあるLCCM住宅につなげていく方針だ。