空調の施工管理者は「電気と内装」も管理すべき?

空調の施工管理は、電気も内装もやる!

空調の施工管理では、電気や内装まで一括で依頼してくる客もいます。そして理不尽な事態に巻き込まれることも少なくありません。そんな空調の施工管理で体験した、すったもんだ劇をご紹介します。

ちなみに、私の会社では、オフィスビル改修工事、原状復旧入居工事、営繕工事、保守点検などが仕事の中心で、営業から支払いまで施工管理技士一人で行う事がほとんどです。

小規模工事の空調施工管理

現場は、都内のテナントビルの新築工事。吹き出し口の移設工事を、ビル管理会社の下で行うこととなり、現場調査後、客先に見積りを提出しました。

工事内容は、吹き出し口2か所の移設のみだったので、非常に簡単な仕事でしたが、客先の担当者が新人で、天井の埋め直しも行ってほしいと言われたことから、徐々に歯車が狂ってきました。

天井の埋め直しについては、同じビル管理会社の下でよく一緒に仕事をしている会社に依頼し、見積りをもらいました。再度、客先にその見積りを持っていったところ、客先は一言目から「高い」と文句。内装会社の経費に自社の経費が乗ってくるので高くなるのは当然ですが、結局、内装の仕事は抜きでの発注となりました。

内装会社は、ビル管理会社から発注すると聞いていたのですが、いざ発注を受けると、内装会社分の安全書類や工程、図面の提出、現場監督までが私に押し付けられました。当時、まだ空調施工管理の経験も薄かった私は、内装工事のことはなおさら分からず、こうした事態に驚きました。しかし、小規模な工事の場合は、客先も予算がなく、このような理不尽が日常茶飯事であることに、次第に慣れていきました。

もちろん内装会社が事故を起こすと、ビル管理会社からは私が悪いと責められ、現場での監督業の不備だとか、内装業者の安全書類の不備だとか、内装工事の事を何も解っていないのではないか、などなど何かにつけ、いちゃもんをつけられたものです。

それでは、前置きはこれぐらいにして、空調の施工管理と電気・内装工事の、すったもんだの事例をご紹介します。


オーナービルの空調更新工事

これは、空調機の保守点検をしていたオーナービルからの依頼で、空調機の更新工事を実施した時の話です。

オーナーから注文があり、私は内装業者・電気会社・空調工事会社・重量トビ・空調機メーカーなどの会社を手配することになりました。ただし、電気会社に関しては、客先のお抱えである電気会社を使用し、内装会社はその電気会社に紹介された会社に施工させてほしいとのことでした。正直、面倒臭いわけですが、「建物のことを色々知っているので、こちらにお願いしたい」と客に言われた手前、こちらも断るわけにはいかず承諾し、見積もりを依頼することとなりました。

そもそも、施工要領や書類管理、取引先信用調査などの書類を最初から作らないといけないわけですし、電気会社と内装会社は客と「通通」な関係である訳ですから、何か役損なことが起きるとすぐに客側にクレームが入ることが考えられます。しかも、電気・内装のことは「空調屋よりも自分らのほうが詳しい」という大きな態度を取られることが容易に予想できます(実際、電気・内装のことは、空調の施工管理専門の自分は詳しくありません)。

そして一番厄介なのが、この電気会社も内装会社も、これまでに自社と取引がなく、これからの取引もないぶん、融通や優遇が効かないという点です。工事現場では「手間ついでに」とか、「ちょっとお願い」と言った感じで、たびたび手間をお願いすることが多く、これまでに付き合いのある会社であれば、ちょっとしたことは文句なくやってくれるので便利なのです。

実際、見積もりで最も叩かれた部分は、電気・内装の部分。おそらく客と電気・内装業者間で相見積もりされていたのでしょう。空調分はほぼノータッチでした。事務所を開設し、各現場担当者に集まってもらっても、電気・内装会社は「他の現場が入って」ということで来てくれないこともあったり、安全書類は作ってくれるが間違えだらけで、こちらが徹夜で修正、提出するという手間も発生。手順書に関しても、こちらが作成し、電気・内装会社に確認してもらうという手順でなければ、期日に間に合わないという有様でした。

電気会社と内装会社の勝手な行動

いざ工事が始まっても、電気会社に関しては、配線ミスに加え、工事着工前から準備していたらしく工程内に来ないなど勝手な作業を繰り返し、その結果、空調機が1日使えないという事態も発生しました。しかしこれも当然、私の責任にされ、電気会社への伝達ミスということになりました。さらに、電気業者が作ると言っていた図面に関しては、2週間も猶予があったにも関わらず、着工前日になってもできておらず、現場で作り始めてました。

内装会社もひどく、当初は足場や工具を持ってきてもらう手筈でしたが、工具は持って来たものの、足場はありませんでした。朝礼で聞いてみると、「もともと持ってくることになっていないし、普段から持って来ることはない」とのこと。現場担当者に連絡しても、ノラリクラリ言い訳ばかりでしたので、こちらですぐさま手配し、なぜか内装屋に文句を言われながら、作業を行ってもらいました。

私は電気・内装の大きな工事の経験がなく、同僚も忙しいため、同じビル管理会社の下でよく一緒に仕事をしている会社の担当者に色々聞きながら、要領書・手順書を書きました。しかし、協力会社でもなく、自社以外での手配会社(客先指定)の会社は、やはり言うことを聞かずに作業は行うし、今日初めて電動工具触りましたという職人もいらっしゃり、慣れていない工事はやはりやるべきではない、各担当者に任せた方がいいと感じました。普段から一緒に仕事している会社であれば、信頼もありますが、客先指定の会社は、細かいディテールを結構テキトーにやられておりました。

散々やり直しを指示された電気工事の自社検査

それでも工事は怪我人も出さずに、工期内に完工しましたが、電気・内装などの、自社の仕事(空調)以外の畑違いの仕事を信用の置けない会社に任せておくと、後始末も大変になります。

客先検査は難なく通りますが、自社検査では、部長(元電気会社勤務)が検査に来て、電気工事を中心に客先のいないところで、散々やり直しを指示されました。

その上、再度、自社検査を行うとのこと。約2週間、週末の夜間に是正工事に入り、是正しました。もちろん客先指定の工事会社ではなく、自社の選定会社にて行いました。その後、自社検査も無事通りました。

ちなみに内装工事のほうは、部長も詳しくないため、再検査は電気ほどではありませんでした。

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