1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策32

1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策 工程管理その3「ネットワーク工程表の用語と計算方法」

1級土木施工管理技士 過去問分析に基づく試験合格対策の第32回目は、工程管理その3「ネットワーク工程表の用語と計算方法」についてポイントをまとめます。

ネットワーク工程表に関する問題は、前回の記事の「各種工程表の特徴」だけでなく、「ネットワーク工程表の説明に関する用語」、「ネットワーク行程表の計算方法」と、最大3問がネットワーク工程表から出題されます。

ネットワーク工程表は、多種の作業が複雑に入り組んだ現場を進めていく上で、どの作業が最も重要(遅れられない作業)なのか、各作業の関連性(作業の開始予定・終了予定)を明確にするための工程表です。

そのため、元請として現場に携わっている建設技術者さんはよく目にする工程表かもしれません。日々の打ち合わせなどでよく目にする「週間工程表(バーチャート)」などは、このネットワーク工程表を基に作成されます。

よって、ネットワーク工程表は1級、2級の土木施工管理技士試験だけでなく、建築施工管理技士、管工事施工管理技士の試験でも出題されます(管工事・建築施工では実地での出題もあります)。

ネットワーク工程表の用語

ネットワーク工程表

  • イベント(結合点)…数字の書き込まれている〇印。〇の中には正の整数が記入され、左から順に数字が入っていきます。
  • アクティビティー(作業)…〇と〇を繋ぐ矢線(アロー)で示す。
  • ダミー…作業の順序を規制するために使われ、所要時間がゼロの擬似作業
  • 最早開始時刻…作業を最も早く開始できる時刻(最早結合点時刻とも言う)
  • 最早終了時刻…作業を最も早く終了できる時刻
  • 最遅開始時刻…この時刻までに作業を開始すれば工期(総作業日数)に遅れが発生しない時刻。(工期から逆算して遅くとも開始しなければならない時刻)
  • 最遅終了時刻…この時刻までに作業を終了すれば工期(総作業日数)に遅れが発生しない時刻(最遅結合点時刻とも言う)

※時刻とは、ネットワークの時間の単位によって異なるが、現場で使用するネットワーク工程表では大概、日数のことを指す。

  • クリティカルパス…重要な経路、つまりは遅れられない最重要管理経路(作業)のこと。クリティカルパスは必ずしも1本であるとは限らない。
  • フロート(スラック)…余裕日数。フロート(スラック)が0の結合点はクリティカルパス上の経路となり、最早結合点時刻と最遅結合点時刻は同じになる。
  • トータルフロート…遅れても工期(総所要日数)に影響を与えない余裕日数。
  • フリーフロート…遅れても次の作業に影響を与えない余裕日数。


ネットワーク工程表の計算方法

ネットワーク工程表の計算方法

A作業は0日(最早開始時刻)にスタートし5日(最早終了時刻)に終わる。

B、C、D作業の最早開始時刻は5日、そこにそれぞれの作業日数を加える。

D作業の最早終了時刻は13日、C作業の最早終了時刻は11日、E作業はダミーでつながっているため、C作業、D作業ともに終了していなければ作業開始できない。つまり作業終了が遅い13日以降しか作業開始できない(Eの作業の最早開始時刻は13日となる)。

同様に順に左から足し算、矢線が2つ以上結合点に入ってくる場合は大きい数字(遅い)方を選択。

このルールに従い左から足していくと、全ての作業が最も早く終わる時刻が40日となる。

これがK作業の総所要日数となる。

最遅終了時刻の求め方は総所要日数から逆算することで求めることができます。

先ほどの足し算とは逆のルールで全ての矢線が逆向きで右から総所要日数から引き算していき、2つ以上結合点に矢線が入ってくる場合は小さい方を選択することで求めていきます。

※動画でも解説していますので、さらに詳しく知りたい方は是非ご覧ください。


「足し算と引き算ができれば、だれでも解けるネットワーク工程表 前編」


「足し算-引き算ができれば、だれでも解けるネットワーク工程表 後編」

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大阪工業大学を卒業後、某ゼネコンに就職。現在、一般社団法人全国教育協会(関西建設学院)にて土木・建築施工管理技士の資格取得セミナーの講師を担当している。体育会系で勉強が好きではなかったため、「勉強が苦手な人にわかりやすい解説」をモットーに、業界No.1講師を目指して修行中!
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