従業員8名の建設会社、土木施工管理技士の「激務」と「後継問題」

従業員8名の建設会社、土木施工管理技士の「激務」と「後継問題」

従業員8名、土木施工管理技士の「激務」と「後継問題」

土木施工管理技士はたったの2名!

私が勤務している会社は、従業員数8人程度の、いわゆる中小企業です。

平均年齢は社長を入れて53歳。高齢化が進む建設業界の、まさに典型的な「オッサン集団」と言えます。

現場に出て働いているのは6人だけで、そのうち土木施工管理技士として在籍しているのは私ともう1人の、たった2名。

もし私が転職したら、この会社の行く末は……という状況です。

土木施工管理技士は激務!

小さな会社なので、土木施工管理技士である私も当然、現場管理だけでなく、作業員も兼務しなければなりません。

現場によっては、自分で測量して、丁張りをかけて、機械に乗って掘削し、下に降りてスコップ片手に掘削しながら、また高さなどをレベルで確認して、ダンプの運転手もして、施工写真も撮って……と、永遠に動いていないと現場は進みません。

さらに、現場から事務所に帰れば、その日の日報や写真整理、CADを使っての図面作成、明日の現場の準備、計画、材料の手配……と、まだまだやらなきゃいけないことが待ち構えています。

私のような、せわしい境遇で激務に追われている現場管理者は、他にも日本全国に大勢いらっしゃるでしょうが、正直、本当に疲れます。

その結果、例えば、材料の発注をすっかり忘れていたとか、いろいろな抜け漏れも発生してきますので、いろいろな場面で作業効率を考えながら、要領良く施工を進めていく必要があります。土木施工管理技士は激務です!


激務だけど「オールラウンダー」の土木施工管理技士になれる!

しかし、一人でなんでもやっている分、否が応でも、土木工事のオールラウンダーになれるというメリットもあります。

工事が発注されれば、積算もできなければいけないので、積算もできるようになるほか、施工計画、役所との折衝、CAD、写真整理、Excel、Word、その他諸々……嫌いなパソコンもおのずと達者になります。

直営部隊で施工する場合は、現場で機械にも乗りますし、ダンプもチェーンソーも、エンジンカッターも、レベルもトランシットも使えるようになります。自慢しているわけではないですが、やりたくなくても、仕方なくやっていたら、何でも出来る土木施工管理技士になれます。

たしかに、それぞれの専門家に比べたら、レベルは下がるかもしれません。例えば、現場で重力式擁壁の型枠を組むとすると、私よりも型枠屋さんのほうが早くてきれいでしょう。

しかし、3メートル位の延長の擁壁の型枠を型枠屋さんに発注して日程調整するよりも、自分で型枠を組んだ方が早い!コンクリートを打設して、天端の仕上げも、自分で左官さんになりきって仕上げます。

測量に関しても、自分でやったほうが早い。うちの会社のトランシットは古くて、扱い方も難しいので、正直、測量屋さんに頼みたくなる時もありますが、道路の現場だったら、自分で構造物の位置を出したり、縁石の通りを出したりして、いろいろ測量していくわけです。そのほうが、自分のタイミングで測量できるし、測量屋さんを手配する手間が省けて、予算も節約できるわけです。

広く浅くですが、自分でなんでもやっている施工管理技士は、作業効率もよくなる、いや、よくせざるを得ないのが、中小企業の施工管理者のサガなのかもしれません。もちろん会社には重宝がられていますが、とにかく毎日が戦争みたいに忙しい。なんでもできるって、有り難いような、そうでもないような気がしています。

土木施工管理技士は忙しいが、若手教育もしたい!

そんな私も、すでにオッサンです。これからは若い世代を育てなければなりません。

幸いなことに、うちの会社にも、一人だけ若い子がいるので、時々、測量や丁張りの掛け方を教えています(この子がいるから、平均年齢をかろうじて53歳に抑えられています)。

しかし、育て方が難しい。例えば、現場で若い子に「トランシット据えておいて」と頼むと、とにかく遅い!

そこで、ついつい時間がないからと言って、手を出してしまい、ついには自分でやってしまうことがあります。だから、いつまでたっても、若い子は成長しないし、自分も楽になりません。

そのことは十分に理解しているつもりですが、とにかく時間がありません。時間を作るところからやらないとダメだなと、自分の指導方法を見つめ直している今日この頃です。

若い世代にとって建設業という仕事が魅力的に映るよう、私たちオッサン施工管理者もまだまだ努力しないといけません。

……それにしても、土木施工管理技士って、時間がない!

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