建設業界に数々のイノベーション!…常識を覆す「OKUTA」のヤバい社内制度とは?

建設業界に数々のイノベーション!…常識を覆す「OKUTA」のヤバい社内制度とは?

建設業界の常識を覆す、OKUTAの「働き方改革」

自然派パッシブデザインを導入した住宅リフォームで知られる株式会社OKUTA(オクタ、本社:埼玉県さいたま市、奥田勇会長)が、建設業界に「新しい風」を吹き込もうとしている。

OKUTAの先進的な「働き方改革」は、建設業界の常識を覆すものばかりだ。しかも、建設業界の中でかなり休日が多いなど頭抜けた福利厚生の充実が、OKUTAの生産性向上を可能にしている。

他社が真似できるかは未知数だが、OKUTAの「働き方改革」の秘密について、OKUTAの執行役員施工監理部部長の高橋拓也さんに話を聞いてきた。

自然派パッシブデザイン住宅のOKUTA

株式会社OKUTA執行役員施工監理部部長の高橋拓也さん

――OKUTAの特徴は?

OKUTA 珪藻土や漆喰、天然の木材を使用した自然派パッシブデザインの住宅リフォームを基幹事業としています。特に、光や風などの“自然の力”を利用してアクティブエネルギーに極力頼らない生活を実現させる「passiv design(パッシブデザイン)」は、2015年度グッドデザイン賞やハウスオブザイヤー優秀賞を受賞しました。

自社で独自に開発した「EM珪藻土」や「EMセルロースファイバー」という断熱材を壁面に使用し、日射遮蔽をコントロールすることで、エアコンを使用しないでも夏は涼しく、冬は暖かいお家に生まれ変わります。自然素材の家を一度体験すると、ビニル製の壁紙に囲まれた生活が息苦しく感じるかもしれません。

また、デザインコンテストでは過去通算300点を受賞し、「平成26年度 先進的なリフォーム事業者表彰(経済産業大臣表彰)」にも選定されるなど、数多くの賞を獲得しています。

――OKUTAはリフォーム業だけ?

OKUTA いいえ、リフォームだけでなく、LOHAS studioプロデュースの新築「LOHASTA home」、土地・建物の不動産仲介、オリジナル建材開発・販売などを手掛ける「OK-DEPOT」などがあり、多角的な事業展開を行っています。

またリフォームにおいても、自然派デザインリフォームの「LOHAS studio」だけでなく、住宅設備の交換や修繕工事を提供する「Handyman」もブランドを分けて展開しています。

さらに、「LOHAS CLUB」という、住宅関連の“生涯サポート”サービスも提供しています。入会すると水道やトイレの修理から、シャワーホースや網戸の交換、エアコンクリーニングなど、最大56種類の住宅メンテナンスサービスを格安で受けられます。現在、約1万4,000世帯の会員登録があり、かなりお得なので私自身も入会しています(笑)。OKUTAの手掛けた住宅以外でも利用可能なので人気です。

――OKUTAの営業方法は?

OKUTA 東京、神奈川、千葉、埼玉など首都圏12ヶ所に「LOHAS studio」という自然素材の空間を体感できる店舗を展開しています。自然素材やデザインリフォームに興味のあるお客様が雑誌やwebなどでOKUTAのことを知り、「LOHAS studio」まで足を運んで頂き実際に空間を体感していただきます。また「LOHAS CLUB」の会員様が住宅をリフォームする際もOKUTAにお任せいただくことが多いです。 最近では、OKUTAのお客様からのご紹介で、リフォームをご依頼いただくケースも増えています。

LOHAS studio立川店

――OKUTAが「自然派」にこだわる理由は?

OKUTA かつては売上至上主義の時期もありましたが、15年ほど前に自然派の住宅リフォーム会社へと経営方針を大転換しました。

創業オーナーの奥田が大きな事故にあい、企業の社会的意義や社会的責任について改めて見つめなおしたことがきかっけで、量的拡大から質的拡充へと大きく舵を切りました。

OKUTAは「ミッション経営」を行っており、OKUTA Family全社員の共通認識と社会へのメッセージとして「ミッション・ステートメント」を定めていますが、そのミッションに「地球環境を尊重する経営」や「持続可能な事業」を加えて方針としたため、それらを実現するための一つの切り口として「自然派」というキーワードがあります。

健康と環境に配慮し持続可能性を大切にする精神は事業だけでなく社員の在り方も同様で、OKUTAの休暇制度がユニークなのも、持続可能な働き方を実現するための一つの方法です。

建設業界における「働き方改革」のトップランナー

――「持続可能な働き方」とは?

OKUTA 一般的に建設業界や住宅リフォーム業界は、ブラックだと言われがちですが、魅力的でない会社には若い社員は入ってきませんし、提供するサービス自体も悪くなってしまいます。

そこでOKUTAでは、社員が快適に働けるように斬新な社内制度を次々と設けて、建設業界における「働き方改革」のトップを本気で目指しています。そして、社員たちがメリハリを持って楽しそうに働いているので、若い新入社員もどんどん入ってきています。社員たちのモチベーションも高いので生産性も向上し、利益も出るという好循環が生まれています。

OKUTAでは、社員や社員の家族、取引先のサプライヤーのことを「OKUTA Family」と呼んでいるのですが、家族のように信頼し、仲間としての絆を持つことで人材も技術も収益も「継続と成長」すると考え、社員とその家族やサプライヤーが幸せになることを最大の目的としています。


秋の大型連休、社内恋愛の推奨。トガッたOKUTAの福利厚生

――例えば、どんな休暇制度がある?

OKUTA 「ロングバケーション・インクォーター」という制度があります。1年のうち3ヶ月間を1クォーターとしクォーターに1度大型連休を作りました。一般的に大型連休はお正月、GW、夏休みとありますが、10〜12月は大型連休がありません。そこでOKUTA では、10月に4日間の連休を設定し、全社員が休暇を取得する制度を設けています。旅行に行く社員もいれば社員同士で趣味を楽しんでいることもあります。

――ほかには?

OKUTA 「バースデー休暇」は、社員の誕生日だけでなく、社員の家族の誕生日も休日になります。これは配偶者や子供の誕生日に遅くまで働いている社員がいたことで生まれた制度で、頑張って遅くまで働くことが家族の為だという固定概念を覆し、家族の大切な記念日を一緒に過ごすことこそが重要だという意味です。

社員約300人のうち約4割が女性社員なので、子育てをしやすいように、在宅勤務や時短勤務などの制度もあります。

―― 社内恋愛や社内結婚も推奨していると聞いたが?

OKUTA はい。「OKUTA Family」の間ですでに30組以上が結婚しています。よく驚かれますが、これも「OKUTA Family」の考え方の延長です。OKUTA では家族ぐるみのイベントが多いので、私の家族は、私が普段どんな人たちと一緒に働いているかを知っています。そのため「社員のAさんと飲みに行く」と言うと、家族はAさんを知っているので安心して送り出してくれます。それと同様、社内結婚であればお互いに労働環境を把握しているので、より情報を共有しやすく安心感にも繋がると考えます。

LOHAS studio練馬店

―― 個人的に気に入っている社内制度は?

OKUTA 沢山あって絞れませんが、「アクティビティ倶楽部制度」は特に気に入っている制度の一つです。業務外での趣味やスポーツの活動費を会社が支援する制度で、サーフィン、釣り、山登りなど共通の趣味を通じて、自然の中で太陽を浴びつつ社員同士が交流することができます。例えば私の場合、新人営業社員との接触は施工講習くらいしかないのですが、アクテビティを通じて同じ時間を過ごすことで、部署の垣根を越えてコミュニケーションを取ることができるようになりました。会社の風通りも良くなって、仕事にもいい影響を与えてくれます。

サーフィン中の高橋拓也さん

――新たに導入を検討している社内制度もある?

OKUTA 昨年11月からは「OKUTA weekday スーパーフレックス制度」という新しい制度を導入しました。会社のキャリアパスに準じた一定のパフォーマンスを発揮している社員を対象に、平日はコアタイムを設けず、自由に出勤・退社できるという制度です。忙しい時も余裕のある時も定時まで待機しているという働き方は非効率的ですよね。これも建設業界の常識を破る制度だと思います。

特に現場監督や施工監理の業界ではほぼ聞いたことが無い制度です。

さらに2012年からは、休憩時間とは別に、眠くなったタイミングで15~20分間の仮眠を取ることができる「POWER NAP制度」も導入しています。眠ることを悪いことだと捉えるのではなく、それを肯定してリフレッシュして働いてもらおうというのが趣旨で、各自のデスクや営業車などで仮眠をとっています。実際に20分くらいの仮眠が作業効率のUPに繋がることが科学的に証明されています。


12現場を同時に施工監理できる技術

―― OKUTAの社内制度を真似したい企業も多いと思いますが?

OKUTA そう仰っていただく企業さんもおります。しかし結果として「まだそこまでできない」という意見が多いようです。

――なぜ他社は無理でもOKUTAならできる?

OKUTA 優秀な社員が多く、各々の自立性が高いことが理由に挙げられると思います。OKUTAでは一人ひとりの生産性を上げるために、社員育成のマネージメントと、現場監理のクラウドシステム化に力を入れています。これによって3~4現場しか担当していなかった施工監理者が、最大12現場まで同時に監理できるようになるなど、生産性向上を実現することで、「働き方改革」も可能になっています。

社員育成のマネージメントで留意しているのは、同じ施工監理の中にも得手不得手があることを考慮する事。スタッフが持つ能力の最大値を引き出すようにしています。例えばコミュニケーション能力が高く仕事が出来る人には、若くてもマネージメント側に回ってもらい、新人の育成を任せることで良い循環が生まれています。

——現場監理のクラウドシステムとは?

OKUTA 各現場の施工監理や生産工程方法について、住宅履歴クラウド【目視録】を使って“見える化”しています。すべての施工監理者が担当する全現場について、施工状況の履歴を見られるようになっています。

また、PDCAサイクルを個人単位ではなく、全体的に繰り返すことで、ミスやムダを大幅に減少させることができます。

【目視録】を使えば、どこからでも現場の状況が把握できるので、1週間に1回しか行かなくてもいい現場も出てきます。こうした効率化を追求することで、工期も短縮し施工監理者一人当たりの生産性を上げることが可能になっています。

——ほかにも使っているアプリは?

OKUTA 職人や現場監督への報告・連絡にはMAILやLINEを積極的に活用しています。 電話だと作業の手を止める必要がありますが、LINEであれば相手の時間が空いたタイミングで読むことが出来ます。

便利なテクノロジーがあれば、現場の発案で積極的に活用し、現場の効率化を図る習慣がOKUTAにはあります。恐竜ではありませんが、時代の変化に適応しながら進化していくことが、競争に勝ち残る上で重要なことだと考えています。

―― OKUTAの未来の展望は?

OKUTA 全てはOKUTAのミッションステートメントに定めています。ミッションを確実に遂行し、100年後もOKUTA Familyが持続可能な企業であり続けることを目指します。

OKUTAでリフォームしたい、OKUTAで新築した家に住みたい、というお客様を一人でも増やし、ご満足していただけるようにこれからも精進いたします。

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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